軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

名人久太郎の社畜人生のスタート

「督も婿殿も待て。本人と取次役を連れてこさせるから、しばし待て!小五郎、堀殿と京六郎殿を連れてまいれ」

「ははっ!」

忠次は家康の命令を受けて、秀政と京六郎を呼びに行き、連れて来ると

「まあ!間近で見たら、美丈夫度合が素晴らしい!」

「まるで昔話で聞いた南北朝時代の北畠顕家公の様な!」

督姫と氏直の興奮は更に加速する。その様子に呼ばれた理由を察した秀政は

「あの、徳川様?もしや、こちらのお二人は京六郎殿にお会いしたいと申し出たのですか?」

それでも一応、呼ばれた理由を家康に聞く。聞かれた家康は

「その通りじゃ堀殿。まあ、儂から先に二人の事を紹介しておこう。北条家当主の北条左京大夫殿と、左京大夫殿の正室で、儂の娘の督姫じゃ」

二人を紹介して、家康の紹介に続いて

「北条左京大夫新九郎と申します」

「嫁の督と申します」

二人は丁寧な挨拶を秀政と京六郎に行なうと

「堀久太郎秀政にございます。京六郎殿、挨拶をしてくだされ」

「ははっ!堀様の紹介にあずかりました、柴田京六郎と申します」

秀政と京六郎も挨拶を返す。京六郎の挨拶に督姫と氏直は

「柴田家の殿方?と言う事は」

「京六郎殿、もしや貴殿の兄君は柴田播磨守殿ではないのか?」

京六郎の兄が六三郎ではないのかと質問する。勿論、隠す事ではないので京六郎は

「はい。拙者は柴田播磨守の弟です」

正直に答える。京六郎の答えに督姫氏直夫妻は

「あの柴田様にこれ程の美麗な弟君が居らしたなんて。左京様、例の事しっかりと聞いてください!」

「京六郎殿でしたな。京六郎殿には妹は居ますかな?居るのでしたら、拙者の嫡男の嫁候補にどうですかな?」

勝之尉への元服祝いの事など忘れて、京六郎へ色々と質問していた。2人の圧に若干引いていた京六郎は、秀政へ

「ほ、堀様」

助けを求めた。秀政は京六郎の傅役でも何でもない、ただの付添人だが、困っている若者を助けようと思ったのだろうか

「北条左京大夫様、督姫様。申し訳ありませぬが、京六郎殿のご実家の柴田家では、兄の六三郎殿の嫁取りで苦労した過去がありますので、京六郎殿の嫁取りも

姫君達の嫁ぎ先探しも、「とても」慎重になっております。姫君に関しましては、向こう十年前後は嫁ぎ先を厳選する期間としております」

京六郎を助けつつ、「柴田家では幼い内に嫁に出さないよ」と、京六郎から道中で聞いていた茶々と初の嫁入り話を少しアレンジして、督姫氏直夫妻に伝えた

それを聞いた二人は、

「そ、そうでしたか」

「その様な事情があるのであれば、今すぐにという訳にも行きませぬな。京六郎殿、失礼した」

何とかと言うか、一応と言うか、この場は引いてくれた。そして、京六郎から

「北条左京大夫様、督姫様。我々は、兄上の側室の高代殿が、子を授かり動けない中を徳川様のご厚意で保護していただいている事へのお礼と、安産祈願の品を持って来たのです」

浜松城へ来た理由が伝えられて、秀政から

「ですので、あまり長居をしても良くないと思い、そろそろ出立をしようと思っていたのです」

遠回しに「そろそろ帰る予定なんです」と伝えられる。それを聞いた家康は

「そうであったか、いやいや、少しばかり手間を取らせて済まぬな。それでは挨拶はこれで済ませた事にするから、出立の準備に取り掛かってくだされ」

早く帰してやろうと言う優しさなのか、それとも娘夫婦に少しばかり忠告しようと言う親心かからなのか、京六郎と秀政へ、帰る準備を促した

家康の言葉を受けて2人は

「「ははっ!失礼します」」

返事をして、大広間を出て行った。そして、そのまま安土城へ向けて出立した。勿論、その道中でも京六郎を見た女子達が群がりそうになるが、

遠藤喜太郎率いる面々が、顔で威嚇して面倒事にならない様に対策しているので、何事もなく道中を進みながら、安土城へ到着すると

天正二十二年(1594年)六月二十五日

近江国 安土城

「久太郎!京六郎達を連れて浜松城へ道中、何事も無かった様じゃな!感謝する!」

信忠は秀政へ労いの言葉をかける。秀政は感謝の言葉を返しながら、帳簿を信忠へ渡す

「勿体なきお言葉にございます。それと、こちらが浜松城にて預かっていただいておられます人数を書いた帳簿にございます」

信忠は、帳簿を受け取って目を通すと

「池田勝三郎達も合わせて三百人か。まあ、多すぎない人数じゃから、織田家から生活費を送っても懐は痛まぬな!うむ!改めてじゃが、久太郎!此度の働き、感謝する!」

再び、秀政へ礼を述べた。その礼の後に信忠は、秀政の社畜人生をスタートさせる、ある者からの文を秀政へ伝える

「それとじゃが、久太郎。実は、東国へ長旅をしておる父上から文が届いたのじゃ。その内容がな、お主宛なのじゃ。読んでくれ」

「は、はあ」

秀政は不思議に思いつつも、信忠から文を受け取り、読み出す

「では。「久太郎!久しぶりじゃな!勘九郎を五郎左と共に支えてくれている事、感謝する!それでは本題に入るが、実は三介の処分に際し、

六三郎から、「儂の弟達で、市と歳の近い者達を柴田家で預かる」との事で、話がまとまったのじゃが、柴田家に行かせる者は、又十郎、源五、中根の三人に決めた

そして久太郎!お主、その三人が要らぬ事を企てない為の見張り役兼柴田家の次男、京六郎の色々な事を教える師匠として、しばらく柴田家に世話になれ!

権六には、この文を見せたら良い!六三郎も承認しておる!なので、儂の弟三人と六三郎の弟の事、任せたぞ!」と、ありますが、殿?」

文を読み終えた秀政は、信忠を見る。しかし信忠は

「まあ、そう言う事じゃ久太郎!儂からも柴田家の領地の中から久太郎達への領地を出す様に頼む文を出す!だから、しばらくは柴田家で働いてくれ!」

秀政に頑張ってくれ!とだけ伝える。こうして、名人久太郎こと堀秀政は、織田家のポンコツ3人を見ながら、京六郎に色々と教える社畜人生がスタートした。