軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

名人久太郎は帰りたかったが

なんとか全員をまとめて、徳川家が預かってくれている人数が300人だと分かった秀政は、自身と京六郎の持っている名簿に記載漏れが無い様に、細かく書いていた

本音としては、今すぐにでも帰りたかったが、流石に来た当日に帰る事は失礼にあたるので、翌日に帰る事に決めた。そんな慌ただしい1日目の夜、

秀政は従兄弟であり、家臣でもある 奥田監物直政(おくだけんもつなおまさ) と共に、酒を呑み交わしていた

「殿。お顔がかなり疲れておりますが、やはり移動が原因でしょうか?」

秀政が直政の顔を見て、移動が原因かと質問すると

「監物よ、移動は大した事ではない。戦ではないのじゃから、素早く動いたわけではないのじゃからな」

移動が原因ではないと伝える

「では、徳川様とのお話し合いにて、疲れる程、大変だったのですか?」

「まあ、それも少しだけあるな。ほぼほぼ原因は京六郎殿じゃが」

「あの若武者が、何か我儘な事を?」

「京六郎殿が我儘を言ったのではない。京六郎殿はむしろ、我儘を言われておる立場とでも言えば良いかのう」

「と、言いますと?」

「監物、お主も京六郎殿の美麗な顔を間近で見ておったから分かるじゃろうが、京六郎殿はあちらこちらの女子から言い寄られるだけでなく、

姫を嫁がせたい大名からも言い寄られておる。池田様は包み隠さずに、「娘と見合いしてみないか」と言い、

徳川様は薄らとではあるが、「許嫁や見合い予定はあるのか」と聞いてきた。幸いな事に京六郎殿は賢いからこそ、柴田様とお市様と六三郎殿との話し合い次第と

誤魔化してくれた。はっきりと申すが、これで京六郎殿が、「嫁を探しております」なんて言ってしまったら、見合いの話が十や二十どころか、百に到達していたかもしれぬ!

そんな状況になったなら、間違いなく儂が京六郎殿の傅役みたいな形になって取次役もやらされてしまう!お役目をやるのは構わぬが、

それはあくまで「織田家からのお役目」じゃ!織田家以外のお役目は拒否したい!」

秀政の心からの本音に、直政は

「殿。仰っている事は理解出来ます。しかし、柴田家は越前守様の御正室が右府様の妹のお市様、当主の播磨守様の御正室が、

右府様の御正室の帰蝶様の姪にあたる姫君という、どちらを見ても織田家の一門にあたる家ですし、もしもこの状況を右府様が知った場合、殿にその立場を命令すると思うのですが」

「信長がこの事を知ったら、任されるかもよ?」と、フラグ発言を口にする。直政のフラグ発言に秀政は

「やめてくれ!誠に実現しそうで恐ろしいではないか!」

現実に起きそうだから、やめてくれと伝える。そこから

「しかし、柴田家とは誠に不思議な家じゃ。お父上の柴田様はかつて大殿の御舎弟様に仕えておった事もあって、

そこから大殿の信頼を強くする為に働きに働いて、そのせいで嫁取りが四十歳を超えてからになり、数年後に六三郎殿が産まれたのじゃが、

遅くに産まれた子であるが故に、子煩悩になるかと思ったら、幼い六三郎殿を放ったらかして働き続けて、その結果、六三郎殿は幼い頃から一人立ちしていた様な神童と呼ばれる子になり、

元服前に初陣を経験して、織田家に大量の銭をもたらしたかと思えば、十一歳で元服して見事な武功を挙げて、そこから柴田様へ嫁をくれ!と殿へ懇願して、

それでお市様が柴田家へ嫁いで、柴田家か織田家の一門の仲間入りをしたかと思いきや、六三郎殿の正室は帰蝶様の姪の姫君に決まったが、

常識的な若武者や怠け癖のある若武者なら、織田家一門である事を良い事に働かないじゃろう。しかし、六三郎殿は逆に働いた

それこそ戦とは関係ない三七様と三介様の伊勢国の国主を決める争いに参加し、三七様を勝利に導いたと思えば、

その後、穴山討伐にて三七様の御舎弟の源三郎様の初陣を補佐して、この戦も勝利した。その結果、源三郎様は武田家の姫君を正室に迎え、讃岐守の官位と讃岐国を拝領した

他にも、上杉との戦、毛利との戦、北条家の内乱を鎮める戦に出陣したからのう。それ程の戦に出陣しておきながらも、

隠居した柴田様を播磨国切り取りに出陣させる視野の広さを持っておる。とんでもない武将じゃ!これで、もしも弟の京六郎殿までもが、

武将としての才があろうものならば、末恐ろし過ぎて身震いする!」

秀政は柴田家のこれまでの流れを思い返しながら、京六郎が六三郎と同等の武将だったら。と考えて身震いしていた

そんな秀政に直政は

「まあまあ、殿。そんな足利尊氏公と直義公の様な兄弟が居たのであれば、織田家が割れてしまいますぞ。ですが、京六郎殿は初陣を経験しておらぬのですから

それは杞憂に終わるでしょう。それこそ、京六郎殿が元服しても、播磨守様が先陣を切らさないと思います」

「そんな足利尊氏と直義みたいな兄弟、居ないでしょう」と気楽な発言をしていた。そんな直政の言葉を聞いた秀政は

「それもそうじゃな。まあ、京六郎殿の嫁取りは我々堀家が考える事ではないから、触れないでおこう!この酒を呑んで、明日の出立の為に眠ろう!」

そう言って、最期の一杯を飲み干し眠りについた。しかし、秀政の「京六郎殿の嫁取り話」は先延ばしになるだけで、堀家が関わる事になる事を本人は知らない

翌日

遠江国 浜松城

「父上!勝之尉へ元服祝いの品を持って来たのですが、あの美丈夫はどの家の殿方ですが!?」

「義父上!あれ程の美男子、きっと親族の姫も見目麗しい筈!新次郎の嫁候補として、是非とも紹介していただきたく!」

北条家の氏直と督姫夫妻が勝之尉の元服祝いの品を持って来た時に、京六郎を見てしまった。これで秀政の残業と仕事の増加が確定した。