軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

祖母からの文に孫娘夫婦が動くと周囲も動く

天正十八番です(1590年)二月十五日

相模国 小田原城

「殿!武田家からの文が届きました!」

虎次郎と於大が文を書いて2週間後、小田原城へ文が届くと、一目散に於大の孫娘で、新次郎の母の督が受け取るが、

「督、気持ちは分かるが、父上に読んでもらおう。良いな?」

「は、はい。申し訳ありません」

氏直に宥められ、義父の氏政に文を渡す。受け取った氏政は、

「それでは、読みあげるぞ、しっかりと聞く様に。「北条左京大夫殿へ、初めて文を送ります。武田家当主の武田虎次郎と申します。

以前、受け取りました文の返信ですので、前置きを省きます。新次郎殿は無事です。現在のところ、武田家の居館内限定ですが、

自由に動く許可を出しております、そして、新次郎殿は武田家の客将の柴田従五位下播磨守殿の家臣から理財を含めた色々な事を学んでおり、無駄な時間は過ごしておりませぬので、ご安心くだされ

武田家からの返信は、ここ迄です。これより先は、新次郎殿の曾祖母の、徳川家の於大様が書いた内容になります

武田虎次郎殿の後に書いております、徳川於大です。私も前置き無しに話しますが、督と婿殿!新次郎の事が心配ならば、文を武田家に送るだけでなく、

自分達が動いて織田家と徳川家に頭を下げて、新次郎を取り返す様にしなさい!あなた達の子供なのですよ!あなた達が動かないでどうしますか!

督の舅の相模守殿にも、ご迷惑をおかけしていると思いますが、もしも、督と婿殿を織田家と徳川家に向かわせても良いと決断してくださるのであれば、

二人を出立させながら、一度、武田家へその旨を書いた文を送ってもらえませんか?年増女が出しゃばるなと、

お思いかもしれませんが、無駄な戦、やらずとも良い戦が起きない様に、甲斐国の復興が遅くなった事への恨みを家臣や領民達が持たない様に、武田家及び関係者は動いております

次は、督と婿殿が動いて、事を収める様、お願いします」と書いてあるが、督よ、お主の祖母は女傑と呼ぶに相応しいお方じゃな!」

読み終えると、笑いながら、督に話を振る。振られた督姫は

「祖母が申し訳ありません。ですが、理財を含めた色々な事を自ら学んでいるなんて、小田原城に居た時には考えられません!新次郎が、武芸以外を頑張るなんて!」

新次郎の武田家内での過ごし方に驚いていた。そんな督姫に、氏直は

「督よ、新次郎がそこまで変わったのであれば、新次郎に理財を含めた色々な事を教えている者を期間限定で、北条家に来てもらうと言うのはどうじゃ?」

新次郎の教師役になっている源四郎を、期間限定で北条家の客将にする提案をしていた。それを聞いた氏政は

「二人共、その提案は良いかもしれぬが、新次郎の件をどうするか決めたのか?」

話を本題に戻して、2人に確認する。2人のうち、氏直が

「そうですな。先ず、督の実家の徳川家と、織田家に文を送って、どうにか話し合いをして、頭を下げて新次郎を返してもらえる様に動きます」

そう提案し、督姫も

「左京様の提案が、一番確実でしょうから、私もそれが良いと思います」

氏直の提案に賛成したので、氏政は

「ならば、出立の準備をして、早く徳川家への文を書いておけ。武田家への文は儂が書いておく」

自分が武田家への対応を担うからと、息子夫婦に早く出立する様に急かす。こうして、大まかではあるか、北条家の方針が決まった

北条家の方針が決まった同時期、北条家の動きを見張っていた奥州の4つの大大名家と、1つの小さな大名家が動き出す。先ず4つの大大名家とは

近い順に

天正十八年(1590年)三月一日

安房国 某所

「殿!北条家が動いたとの報告です!」

「どの様に動いたのじゃ?」

「ははっ!何でも、当主夫婦が織田家の元へ向かったとの事です!臣従の申し出か否かは、申し訳ありませぬが」

「細かい内容が分からないのは仕方あるまい!他には無いのか?この里見家が、北条より有利になれる様な情報は?」

「殿、有利になれるかは分かりませぬが、不思議な情報として、武田家の領国である甲斐国の復興を、織田家の重臣である柴田播磨守という若武者が陣頭指揮を取っているとの事です」

「ほう。その柴田播磨守とやらは、およそ何歳か分かるか?」

「確か、二十四、五歳だったと」

「ほう。誠に若武者じゃな!しかも、柴田という事は、あの鬼柴田の息子か。縁を繋ぐには良い家柄じゃ!誰ぞ、使者に立てて甲斐国へ行かせよ!

その柴田播磨守を通じて、織田家への臣従と領地の安堵を申し出て、北条を攻撃する機会を得ようぞ!文を今から書く!準備せよ!」

「ははっ!」

天正十八年(1590年)三月二十日

常陸国 某所

「殿!北条の当主夫婦が上洛するという情報が入りましたぞ!」

「誠か!くそ!織田家が関東攻めを行なう時に臣従の申し出をするつもりが!計画が狂ってしまった!こうなれば我々佐竹家は海路で上洛を!」

「殿!その事ですが、もしかしたら、ですが北条より先に臣従が成し遂げられる可能性のある情報として、

現在、武田の領国である甲斐国にて、復興の陣頭指揮を取っているのが、柴田播磨守という若いながらも織田家の重臣に登り詰めている者が居るそうです!

その者を通じて、臣従の申し出をしたという実績を作れば、微々たる程度かもしれませぬが、北条より有利な条件を認めてもらえるかもしれませぬ!」

「分かった!急ぎ、その旨の文を書く!お主は健脚の者達を集めて、出立の準備をさせておけ!」

「ははっ!」

天正十八年(1590年)四月十五日

陸奥国 某所

「殿!北条が上洛したの情報が入りました!」

「なに!?遂に織田と北条が、天下を争う大戦を行なうと言う事か?」

「いえ、それが、北条の当主夫婦と護衛だけの百人も居るかどうかの人数らしいです。それ以外は具体的な情報がありませぬ」

「ううむ。織田と北条が戦をしないのであれば、両方が疲弊した所を、我々伊達家が漁夫の利で倒そうと思ったのじゃが

今は形だけでも臣従しておいた方が良いか。しかし、今から上洛するとなると、伯父上が気になるのう」

「殿、その心配を打ち消す可能性のある情報として、武田の領国である甲斐国で復興の陣頭指揮を取っているのが、

織田家の重臣で、殿と歳の近い柴田播磨守という者がいるそうです。その者を通じて織田家への臣従を頼んでみてはどうでしょうか?

殿が文を書いて、拙者か他の者が甲斐国まで行って、文を渡しながら等、やってみても良いと思いますが」

「ううむ。その方が伯父上や伯父上に操られた者が攻めて来ても大丈夫かもしれぬか。分かった。そうしよう」

天正十八年(1590年)五月十日

出羽国 某所

「殿!北条が上洛したとの情報が入りました!」

「誠か!?これは、織田と北条が天下分け目の大戦でぶつかるという事か!」

「いえ、手の者によると、北条は当主夫婦と護衛達のおよそ百名程で出立した様です。恐らく、戦とは別の用件かと」

「そうか。それでは、織田が関東攻めを今すぐに実行する事は無さそうじゃな。実行したのであれば、甥よりも先に我々最上家が臣従の申し出をしたのじゃが」

「殿。その事で、殿が先に動ける可能性のある情報があります。実は武田の領国である甲斐国で陣頭指揮を取っている、

織田家重臣の柴田播磨守という若武者が居るそうです。その者を通じて、臣従の申し出をするのはどうでしょうか?

殿の文を拙者か家臣の誰かしらに託して行かせたら、会津から攻められても大丈夫と思いますが」

「それが良いじゃろうな!よし、今すぐに文を書こう!お主は健脚の者達を揃えて出立の準備させておけ!」

「ははっ!」

天正十八年(1590年)五月十五日

常陸国 某所

「殿!北条が上洛の為に、当主夫婦と護衛の者達を出立させたとの情報が入りました!」

「誠か?それならば、今から小田原へ出陣」

「殿!それはなりませぬ!確定したわけではありませぬが、北条の当主夫婦はもしかしたら、織田へ臣従の申し出をするかもしれぬ。との事です!

これが誠であれば、北条を攻撃した我々小田家は、即織田の攻撃対象になります!」

「では、どうすれば良いのじゃ?」

「殿。その事で、殿が北条より先に織田に臣従し、領地を安堵してもらえる可能性として、現在、武田の領国である甲斐国で復興の陣頭指揮を取っている、

織田家重臣の柴田播磨守と言う若武者を通じて、臣従の申し出をしましょう!畿内よりはその方が近いですから!そして、この事は殿自ら動きますべきだと、

拙者は思います!万が一にも、殿が居ない間に攻められても、殿が戻ってくるまで耐えます!なので!」

「分かった!儂自ら、その柴田播磨守の元へ向かおう!」

こうして、歴史にその武勇を残す4つの大大名家と、一部で「不死鳥」と呼ばれている小さな大名家が、六三郎の元へ来る事と、六三郎の事務作業での過労が決定した。