軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

阿呆公方の釣り出し開始

天正十四年(1586年)九月十六日

安芸国 某所

「それでは皆!策のとおり、儂達の五千は、負けを装って逃げる。毛利殿の軍勢に紛れた皆は、目立たない様に過ごせ!そして、万が一にも公方や公方の共の者達が策に気づいた場合を考えて、

六三郎殿の軍勢が毛利殿の軍勢の後ろを進む!公方や共の者達が策に気づいた時は、六三郎殿!頼んだぞ!」

「ははっ!」

皆さんおはようございます。朝も早くから、阿呆公方釣り出し作戦のの改善案として、官兵衛さんの提案で秀吉の軍勢一万のうち、五千を秀吉本人が引き連れて、残り五千を毛利家に紛れ込ませれ、公方が

毛利家の方が織田家より軍勢が多く装って、勝ち確と油断させて出陣させる。という流れに持っていく事になりました。俺の軍勢は毛利家の後ろを進んで

万が一にも策がバレて、阿呆公方の屋敷から援軍が出陣したり、阿呆公方達が逃げて来た場合の処理役です

この為に毛利家当主の輝元さんは、城下の職人に阿呆公方を乗せる輿を作らせて、それを俺達の本陣まで運ばせたので、策が決まってから実行するまでに

10日かかりましたが、いよいよ、阿呆公方釣り出し作戦スタートです。先ずは秀吉達がスタートします

天正十四年(1586年)九月二十一日

備後国 某所

「ええい!あの織田の家臣の若造め!征夷大将軍の儂の事を阿呆と言いおって!忌々しい!」

織田家と毛利家の合同の公方釣り出し作戦が始まって5日後、ターゲットの足利義昭は、六三郎に阿呆よばわりされた事を今でも根に持っていた

幕臣達も、そんな状態の義昭には何を言っても無駄だと分かっていたので、何も言わなかった。しかし、そんな空気を変える報告が義昭に届けられる

「公方様!!屋敷の周囲を見張っている者達より、織田の者達が毛利との戦に負けて、敗走していると報告が入りました!畿内へ向けて山陽道を走っているそうです」

「誠か!」

義昭が報告を聞いてから間もなく、

「撤退じゃあ!!」

「急げ!」

「毛利が追ってくるぞ!」

義昭の屋敷からは秀吉達の姿は見えないが、声が聞こえる事に義昭は

「憎き織田を叩く好機だと言うのに、軍勢を出せないとは!何ともどかしい!」

この状況を好機と捉えながらも、自らの軍勢が無い事に地団駄を踏んでいた。そんな状況から1刻後、

「公方様!織田の軍勢を追っている毛利家当主の安芸守殿より、お頼みしたい事があるとの事で、謁見を希望しておりますが、如何なさいますか?」

「直ぐに会おう!儂の前に連れてまいれ!」

「ははっ!」

輝元が会いたいと願い出ている事を聞いて、テンションが上がっていた義昭は、物事が自分の都合良い、いや、都合良すぎる展開を何も疑っていなかった

そんな状態で輝元に会った義昭は

「毛利安芸守!儂に頼みたい事があるそうじゃな!どの様な事じゃ?」

笑顔で輝元に面会する。輝元は

「ははっ。公方様もご存知かと思いますが、現在、我々毛利家は織田の軍勢と交戦中です。先の戦で織田の軍勢を撃退して、推定になりますが織田の軍勢は二万から五千に激減しております。一方の我々は二万の軍勢です

そこで、これから織田を追撃する為に、全ての武家の棟梁たる征夷大将軍である公方様に、軍勢の総大将に就任していただきたく存じます」

おべっかを使って義昭を煽てる。それを聞いた義昭は

「ほう。儂に総大将になれと申すか」

平静を装っているが、内心の喜びを隠しきれない様で、笑顔になっている。それを見ていた輝元は

(羽柴殿と柴田殿と黒田殿が言っていたとおりの、気位だけが高い阿呆じゃな。柴田殿の人心の読み方が素晴らしいのか、それとも公方が分かりやすい阿呆なのか。恐らく後者じゃな)

内心で義昭をバカにしていた。側に控える元春も

(この様なあり得ない、自らに都合の良い状況が続く事を疑いもしないとは。六三郎殿が阿呆と言い切るのも分かるのう。こんな阿呆のせいで幕府が終わるとは

自らも家臣も血を流して、苦しみの末に幕府を開いた足利尊氏公が不憫、いや不憫すぎる!)

義昭をバカにしていた。そんなバカにされている事を知らない義昭は澄まし顔で

「安芸守よ。お主の忠節、誠に嬉しく思う。よって、お主の頼みを受けて、織田を追撃する軍勢の総大将になってやろう!」

上から目線で総大将に就任すると伝える。その言葉を聞いた輝元は

「ありがたき!それでは、今すぐにでも出陣しましょう!総大将に就任していただく公方様に相応しい輿を準備しましたので、是非とも輿に乗った状態で高みの見物をしていただきたく!

公方様が軍勢に居るだけで、間違いなく軍勢の士気は上がり、家臣達もいつも以上の力が出るでしょう!」

おべっかのレベルを上げて、更に義昭を煽てる。完全に気を良くした義昭は

「うむ!安芸守よ、直ぐに出陣じゃ!」

「ははっ!」

こうして、完全に煽てられた義昭は出陣準備に取り掛かり、準備を終えて、屋敷の外に出ると、

「おお!これが、儂の乗る輿か!儂に相応しい豪華絢爛な輿じゃ!早く乗せよ!」

輿を見て、興奮度合いが上がる。その義昭に輝元が

「公方様。戦は我々毛利家が請け負います。なので、公方様は刀など持たずに、采配だけを持ち、我々に命令してくだされ!我々が手足の如く動きます」

刀を奪う為の、甘い言葉を投げかけると、

「そこまで儂の為に戦うと!うむ!織田を滅ぼしたら、安芸守には幕府の要職に就いてもらおう!刀を持つが良い!」

喜びを爆発させて刀を渡す。そして、輝元に続き元春も

「公方様の共の方々は、幕府再興が成った際、公方様をお支えする為に必要な人材ばかり!前線は毛利家が請け負いますので、後方にて、ごゆるりと過ごしてくだされ!公方様の御身は、我々が前線で守りますので」

強引に義昭と共の者達を引き離した。こうして、六三郎考案の甘い状況と言葉による、公方釣り出し作戦の後半戦がスタートした。