軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

進みたくとも進めず退きたくとも退けず

勝家が運び込まれた本陣は一気に慌ただしくなった

「柴田様が倒れられたぞ!」

「急ぎ寝所を!」

「薬草も準備せよ!」

「柴田様を死なせてはならぬ!」

「薪を更に燃やせ!柴田様の身体を温めよ!」

医術の心得の有る者達が右往左往しながら、勝家に対応している。

利家と成政は、大粒の涙を流しながら

「親父殿!頼むから目覚めてくだされ!」

「そうですぞ親父殿!まだ戦は終わっておりませぬぞ!」

勝家に声をかけていた。2人と一緒に本陣に到着した信長も

「権六!この様な、この様な」

勝家に声をかけたいが、言葉に詰まる程、動揺していた。殿軍を請け負っていた光秀達が戻って来て、

「大殿、前田殿、佐々殿!柴田殿は」

状況を確認すると、信長が

「今は医術に心得の有る者達が見ておる。見ておるが、まだ目覚めておらぬ」

「そんな」

信長の返答を聞いた光秀も

「柴田殿!予定通りならば、六三郎殿がそろそろ来るのですぞ!目覚めてくだされ!」

勝家に声をかけるも、やはり勝家に反応は無い。それを見た信長は

「今は医術の心得の有る者達に権六を任せよう。儂達は、これからどうするかの軍議じゃ。当面は儂が権六の代理を務める」

「「「ははっ!」」」

こうして、4人での軍議が開かれる事になったが

「大殿!上杉の居城を包囲して攻撃しましょう!あ奴らのせいで親父殿が!」

成政は強硬策を主張するが

「いや待て内蔵助!上杉が此度の様な奇襲を何度も仕掛けて来た場合、土地勘の無い我々では翻弄されて、どうにも立ち行かなくなる!だからここは様子見で良いと儂は思う」

利家は現状維持を主張する

「前田殿も佐々殿も、今は柴田殿の体調を考えましょう。戦を進めたいのは当然ですが、柴田殿が目覚めない現状では」

光秀は勝家が目覚めてからの行動を主張する

3人の主張は、どれも納得出来る理由なだけに、信長も簡単に決断出来ずに居た。その為、軍議の場は

3人が信長の決断を待つ時間が流れていた。そして、信長はかなり熟考した結果、

「上杉が攻撃して来ない場合は、犬の提案した現状維持を取る!そして、もしも、もしもじゃが、権六が目覚めぬという最悪の事態になってしまった場合は、

儂が総大将を請け負う!だが、今は周囲の警戒をしつつ、権六が目覚める様、祈るしかない!皆、済まぬ!」

そう言う信長の顔には涙が流れていた。これまで、信長の父の信秀の代から織田家に仕えてきた忠臣で、

お市と再婚した事で義弟にもなった勝家の最悪の事態を考えると、滅多な事では弱さを見せない信長でも

胸に来るものがあったのだろう。それを見た3人は、

「大殿!親父殿が目覚める事を信じて、待ちます!」

「親父殿なら、きっと目覚めてくれるはずです!」

「そうです!柴田殿ならきっと目覚めます!それこそ、六三郎殿の声を聞いたら!」

と勝家が目覚める事を信じてやまない言葉を伝える。それらを聞いた信長も、

「うむ!口惜しいが、今は無理をせずに権六が目覚める事を信じて、上杉に攻め込まれない様、警戒に徹する!」

「「「ははっ!」」」

現状維持と警戒に止める決断をくだした。北陸方面軍の本隊が、そんな大変な状況の頃、六三郎が引率する別働隊はというと、

天正十二年(1584年)十二月三十日

信濃国 某所

「皆様!甲斐国から急ぎ足で進みましたが、体調は大丈夫でしょうか?」

「儂ら徳川軍は大丈夫じゃ!」

「武田軍も問題はないですな!」

「ならば大丈夫として、更に進みます!」

皆さんこんにちは。甲斐国から2日半で信濃国の中央くらいに移動するという、史実の秀吉の中国大返しを真似した移動をしております柴田六三郎です

赤備えの皆の里帰りと墓参りをした事に後悔はないけど、流石に予定時期より遅くなると、親父だけじゃなく、大殿からも叱責されてしまうので、

申し訳ありませんが、三郎様の徳川軍も、典厩様の武田軍も、引率する俺のペースに合わせてください

これはあれだよ、昔から見た戦に関する故事で、

「牛が先頭だと狼の集団も進みは遅く弱くなるが、狼が先頭だと牛の集団も進みは早く強くなる」的なものを

見たか聞いた記憶があるので、それに因んだ感じです。で、信濃国出身の真田親子に色々と確認しましょう

「喜兵衛!それから息子達!確認したい事がある!」

「「「何でしょうか?」」」

「これから越後国へ進む道として、中山道をそのまま進んだ方が良いのか、それとも中山道に入らない道で進んだ方が良いか。お主達の故郷であり、庭でもある

信濃国からはどの様に進んだ方が良いか、教えてもらいたい」

「そうですなあ。上田の地から北上すれば、中山道を通るよりは早く越後国に入れるかと」

「父上。確かに早く入れますが、それだと上杉の居城近くに出てしまう可能性があります!」

「それに、近くの川中島を通るのですから、あそこは地侍達の縄張りなので、場合によっては戦になるかと」

「ふむ。3人共、大体分かった。早く進むには上田という地を進まないといかんが、進んだ先は上杉の居城近くであり、更に上田の近くの川中島という場所は、

血気盛んな地侍達が多く、場合によっては戦になるかもしれぬと。しかし、通らないといかぬ場所でもある。そう言う事じゃな?」

「「「はい」」」

「分かった。三郎様、典厩様!越後国へ早く入れる道はあるそうですが、その場所は戦になる可能性が高い場所だそうです!通りますか?それとも、別の道を通りますか?」

「六三郎殿!徳川軍はその道で良い!」

「六三郎殿!武田軍も同じく!」

「忝い!それでは、その道を進みます!喜兵衛!源三郎!源二郎!案内を頼むぞ!」

「「「ははっ!」」」

と言う事で、危険多めだけど早く進むルートを選びました。何事も無く進めたら良いなー!

※六三郎の希望はフラグになります。