軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アホボンの兄と普通の人の弟と初対面

天正七年(1579年)七月五日

美濃国 岐阜城にて

「さて、三介と三七よ!お主達が協力しないために、伊勢国において、民達の暮らしに差が出ておる!

そこでじゃ!協力出来ないのならば、どちらかの家に伊勢国を丸々与えて民達の暮らしの差を解消する為に、内政で優劣をつける為に争え!ただし、武力を使う事は禁ずる!

来月から始めて、一年間で儲けが多い家に伊勢国一国の太守とする!」

皆さんおはようございます。現在、織田家の次世代の序列争いに巻き込まれております柴田六三郎です

1年間で銭を多く儲けた方が勝ち!という血は流れない長期間の兄弟喧嘩で、不利な方の三七信孝様側に助っ人として参加する事が決まったのですが、

対戦相手の三介信雄様は、かなり余裕綽々な様で

「父上!三七が無駄なあがきを見せているから、民の暮らしに差が出ているのです!父上の権限で、拙者の北畠家にくだる様に言ってくだされ!」

と、戦う前から「ウチが勝つんだから、やっても無駄だよ」的な発言をしているんですが、殿からの返答は

「三介!貴様の領地である南伊勢は、大きな湊が有る事と、北畠家の名声があるから貴様の様に内政に力を入れない者でも、

どうにか出来ているのだぞ!貴様が頑張っているのではなく、家臣の者達の頑張りと土地と家名が有るおかげである事を理解せよ!」

と、「お前が頑張ったわけじゃないから調子に乗るな!」と言う内容でした。で、馬鹿にされても耐えている三七様は

「父上。拙者の領地は確かに小さい湊しか有りませぬが、三介兄上の領地の様に、儲けが不安定ではありませぬ。

確かに、現状の儲けは少ないですが、それでも領民達と共に開墾して、暮らしを良くしようと励んでおるのです!

それを三介兄上が奪おうものなら、北伊勢の民の暮らしは苦しいままです。なので」

「三七。お主の言いたい事は分かる。だがらこそ、協力出来ないのであれば、伊勢国の統治を任せる一人を選ぶ為の争いを実施するのじゃ」

「分かりました」

三七様は弱々しい返事をする。それから殿は、

「三七よ。お主の言いたい事のひとつに、「今の自分の領地では勝てない」との思いが有るのだろうが、

お主を手助けする者を一人連れて来た。三介よ。それくらいの手助けはしても良いな?」

「一人や二人、手助けする者が三七についても拙者の勝ちは揺るぎませぬ。それくらいは良いでしょう」

「言質は取ったぞ。後から「それは言ってない」は聞かぬぞ?」

「その様な言葉、言うわけがありませぬ」

「よし。それでは三七。お主を手助けする者を紹介しよう。権六の隣に居る若武者じゃ。自己紹介せい」

殿が俺を指名する。自己紹介しておきますか

「柴田六三郎長勝にございます」

「柴田という事は、権六の倅か?」

「はい。その通りです」

俺と三七様のやり取りの後に

「はっはっは。どんな内政上手だと思ったら、三七よりも歳下の若造ではありませぬか。まあ、そこまでやっても拙者の勝ちは揺るぎませぬがな。

父上。争えと申すのであれば、そろそろ領地に戻り、勝つ為の準備、と言ってもいつも通りの内政をやれば拙者の勝ちですが、出立してもよろしいですかな?」

「まあ待て三介。争いの決め事として長月から開始とし、半年過ぎた来年の弥生になったら、帳簿を持って来て中間報告をせよ!

そして、来年の霜月に一年間の総決算を行なう!その時に最終的に儲けの多い者を勝者とし、その者を伊勢国の太守とし、朝廷を通じて伊勢守の官位を与える」

「「ははっ」」

「うむ!両名とも、しっかり励め!」

殿の締めの挨拶で話し合いは終わって、三介様、いや、もうアホボンでいいな。アホボンは急いで領地に戻る準備にかかった

で、俺はというと、

「さて、改めてですが三七様。よろしくお願いします」

「うむ。だか、六三郎よ。お主はまだ年若い様じゃが、内政の経験はどれ程、いや、そもそも内政に携わっていた事はあるのか?」

三七様にそう聞かれて、答えようとすると

「はっはっは。三七よ。六三郎は今年で十五歳の若武者じゃが、七歳の頃から権六の助けが多少はあったとはいえ、実質的に一人で領地を統治しておったぞ」

「そんな幼い頃から内政を」

「更に言うなら、元服前に初陣を経験しておる。お主や三介、更には勘九郎よりも早く初陣を済ませておる。

お主も聞いた事があるであろう?七年前に武田の軍勢が、美濃国で織田家に負けた話を」

「あれは、佐久間玄蕃と森武蔵の両名と家臣達が獅子奮迅の働きがあったから勝てたのでは?」

「確かに獅子奮迅の働きは必須だっただろう。だがな、その獅子奮迅の働き以上に、六三郎が作り出した新しい武器と軍略のおかげで、武田を潰走させたのじゃ」

「父上。それはいくら何でも」

「疑うのならば、この名は聞いた事が無いか?「柴田の神童」と呼ばれていた子供の名を」

「それは聞いた事がありますが、その子供が六三郎なのですか?」

「そうじゃ!そして、元服した今は「柴田の鬼若子」と呼ばれておる」

「その様な恐ろしい二つ名がつく様な恐ろしさは、当人からまったく感じられないのですが」

「まあ、戦の時に鬼若子と呼ばれる意味が分かる。普段は普通、と言ってよいかは分からぬが、良く働く若武者じゃ。

つい最近まで、三河国の財政改善を岡崎松平家の者達と協力して一年半で達成した実績がある。だから、お主の手助けにつけたのだぞ」

「三河国の財政を一年半で」

「そうじゃ。だからこそ、六三郎や六三郎の家臣達と協力して、三介との争いに勝ってみせよ。ほれ、早く領地に戻り、行動せんか」

「ははっ!」

俺の実績を聞いて、希望が見えたのか、顔にやる気が出ていた。三七様も秀吉に人生狂わされた人だし、是非とも三七様に勝ってもらいましょう。