軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

美濃で出来た事は三河でも出来る

天正六年(1578年)二月五日

三河国 岡崎城にて

「三郎様。浜松城より戻ってまいりました」

「六三郎殿。弟と妹の食事の不安を解消してくれた事、誠に感謝する。父上からも文が来ておるが、

美濃国と同じ食事時にしたら、いつも以上に飯を食べたとある。儂も徳も、文を見て思わず納得してしまった。

確かに六三郎殿の領地で食った飯は美味いだけでなく、楽しかったからな。二人にとって、楽しかった食事がいきなり、父上と祖母様だけしか居ない食事になっては、辛かったのだろう。誠に六三郎殿!感謝する」

「三郎様。頭をお上げください。お二人の事は、もう大丈夫でしょうが、岡崎城、ひいては三河国の財政改善はまだまだ道半ば、油断は禁物です」

「うむ。弟と妹の事で安心していたが、六三郎殿を義父上からお借りしている本来の目的は財政改善であった。それでじゃが、六三郎殿」

「何でしょうか?」

「六三郎殿の領地では、麦粉が京や堺で売れて織田家に莫大な銭が入っておるそうじゃか、その元となる麦はどの様に粉にしておるのじゃ?

岡崎は勿論、三河国の麦畑でも同じやり方が出来るならば、より銭になるかと思ったのだが」

「それならば三郎様。一度、近くの田畑を見に行ってみてはどうでしょうか?治水工事の時に、それぞれの田畑に安定して水が行く様に取り付けた物がありまして、

美濃国では、その物と石臼を組み合わせた物で麦粉を作っております。人の力でやるよりも早いですぞ」

「ふむ。一度は見てみたいと思っておったが、明日にでも行ってみようでないか。石川!百姓達に触れを出しておいてくれ」

「ははっ」

翌日

三河国 某所

「おお!六三郎殿、あの風車の様な物が、各田畑へ水を行かせておるのか?」

「はい。水車と名付けましたが、内側に枡をつけておりまして、枡に水が入ると水車が回る仕組みになっておりまして、

それを乙川のそれぞれの場所に設置して、その先にある田畑にも水が行く様に枡で水を取る形になって、そこから流れて。を繰り返していくのです」

「確かに。以前ならば、水が流れてなかった場所にも水が届いておる。これならば、有り得ぬ程の天候不順にならないかぎり、豊作が期待出来そうじゃ」

「油断は禁物ですぞ。そして、此度、新たに水車を設置する場所が有りますので、そこに石臼を置く為の小屋を作ってもらいました。石川殿、準備は完了しておりますか?」

「ええ。三郎様。こちらです」

で、石川殿の案内で進みまして。

「こちらです」

小屋の中に入ると、石臼があって、木製の歯車かあって、その歯車と噛み合って回す、もう一つの歯車が芯となる木材に繋がって、小屋の外にに出ていて、

あとは水車と合体させるだけだった。

それを見た三郎様は、

「六三郎殿。石臼の上に嵌っているあれが、石臼を回すのじゃな」

「はい。あれを回す為に水の力があれば、人の力よりも早く回せるのです」

「何とも見事な考えじゃ。石川!これは、その内、父上のところでも広めたいのう」

「はい。財政改善が成されたら、それも良いと思います。三郎様。丁度今から水車を取り付ける様です」

石川殿が指差した先にで、職人達が数人がかりで水車を運んでいる。そして中心の穴に芯を刺して

「おお!回りだした!小屋の中は、どうなっておる?」

急いで見ると、

「石臼が、ゆっくりではあるが休む事なく回っておる!成程。これが、水の力か。石川!六三郎殿、これを三河国全域に作るには、やはり財政改善してからでないと厳しいか?」

「どうでしょうか石川殿?」

「三郎様。一年前の同じ時期に比べたら、布団が売れたお陰で余裕が出来ましたが、それでもまだ、借銭の半分を少し越えただけですので、

水車を三河国全域に設置出来るのは、早くとも来年かもしれませぬ。急がなければ、三年後には問題なく設置出来るでしょう」

「水車を設置するにも銭が足らぬか。だが、布団の売上が見込めておる今年は、去年よりも銭が入る。今は忍耐の時期という事じゃな」

「はい。三郎様。殿も織田様も忍耐の時期があったから、今があるのです。少しずつしか進めませぬが、三郎様を中心に、一丸となれば」

「うむ。改めて、皆よろしく頼む。そして六三郎殿。まだまだ先は長いが、よろしく頼む」

「はい。銭を生むのは長い時が必要ですから。殿からも、しっかり働いて来いと言われておりますので、

お気になさらずに、それに浜松城で古茶様にも言いましたが、親が暗い顔をしていると、子供まで暗い気持ちになりますから、明るい顔を見せましょう」

「うむ。竹千代は産まれてからずっと、我慢させておったのだから、また更に儂のせいで我慢をさせては

申し訳ない。うむ!気持ちも新たに、財政改善をやろう!」

「「「ははっ!」」か

三郎様も希望の光が見えているからか、やる気も増した様だ。