軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第131話 〜進路2〜 アメリア・ローズクォーツ目線

「この前知り合った魔族の人はどうなんだ?仲良くなっていただろ」

ラスティは確かに魔族だけど、魔族とは思えないほどいい子だ。

しかも"正義の味方"になりたいらしく、マヒロのような魔族とは考え方が真逆である。

ここまでなら力になってくれるかもしれないのだが、ラスティには案内を頼むにあたって致命的なことが一つある。

「お前たちはラティスネイルのことを嫌っていると思っていたんだが……。まあ、悪いがそれは却下だな」

この人たちはただ単に寄り道をしたくないだけだと思うけれど。

そう思いながら、アキラと目を合わせて頷く。

私はアキラのセリフを引き継いで言葉をつないだ。

「もちろんそれも考えていた。けれどラスティ曰く、自分は魔王城の中なら案内できるけど魔族領はあまり出たことがないから分からないって」

ラスティが魔族領を案内できるか聞いてほしいとアキラに言われ、つい先ほど会ったときに聞いてきたのだ。

私たちが魔王城に用があることを告げて、案内を頼めるか聞くと、笑顔で首を振られた。

『僕って、いわゆる箱入り娘なんだよねぇ。生まれも育ちも魔王城!魔王城から外に出たこともないし、魔族領を見たこともないよ!だからこうして家出したわけなんだけれど……』

『じゃあ、どうやってここまで来たの?』

『それはね、……飛んできたの!』

『え……?』

なんだかわけが分からない会話だったけれど、ラスティが嘘をついていないことは分かる。

本当に魔族領に出たことがないようだった。

私がそう答えると、反対していた二人も納得したようだ。

「で、条件ってなんだ?」

勇者の言葉に、アキラが初めて口ごもった。

一方でクロウはあらぬ方を向いてこちらの話を聞いてない。

「ああ、……それ、な」

無言になるアキラの顔を見ると、目を彷徨わせてどう誤魔化そうか考えているようだ。

本当の条件とやらは言うつもりがないらしい。

「ちょっとした手伝いだ。クロウが老化してできなくなってしまったことを手伝うんだよ。だからそんなに人数は要らない。……いや、俺一人で十分だ」

アキラはそう言い切った。

クロウのどこか感心したような顔を見る限り、嘘は言っていないらしい。

ただ、核心には触れていないだけだろう。

「そうか、なら俺たちは先に出発していよう。どこかで合流したいが、どこがいいだろう」

「それならここのあたりがいいんじゃないですか?魔族領に近く、それでいて獣人族領内でもある」

地図を広げながら勇者とジールが話し合っているのを聞く。

耳で聞きながらアキラの顔を窺うと、どこか迷ったような眼をしていた。

『強制睡眠』はただ眠らせるだけで、悩みを解決するような効果はない。

アキラが寝不足になってしまった原因がクロウからの条件であるとみて間違いないようだ。

「……そこはやめろ」

そっぽを向いていたクロウがそこに決まりそうになった瞬間に話に参加してきた。

「なぜです?ここならいつでも行動に移れますし、魔族領に一番近いですよ?」

ジールが言うと、クロウは面倒そうにため息をついた。

「……いんだよ」

「え?」

ぼそりと呟かれた言葉に思わず聞き返すと、ギンッと音が出そうな速さで睨まれた。

元から目つきが悪い人がすると冗談抜きで怖い。

「だから、そこにババアがいるから行きたくない。と言ったんだ」

ババアとは何だろうかと一瞬考える。

祖母のことを指しているのだろうか。

「アメリア、クロウが言っているババアというのはクロウの母親のことだ」

アキラが私にそっと囁いた。

なるほどと納得する。

いや、でもクロウの母親がなぜまだ生きているのだろう。

クロウに老化が起きているということはそろそろ寿命が近いということなのだから、母親が生きているわけがない。

どういうことかとアキラに目を向ければ、クロウを見て苦笑しているため私と目が合わなかった。

アキラはクロウの母親が生きていることを知っていた?

「それより、そこから西に行ったところに無人の小屋がある。昔パーティーのセーフハウスにしていたところだから色々と物は置いてあるはずだ」

その言葉にハッとする。

そういえば、魔族領を研究する五十年間の間にいくつものセーフハウスを設けて、効率よく調査を進めていたと噂で聞いたことがある。

「では、合流地点はそこにしましょう」

クロウに対する謎は深まったけど、これで大まかな進路は決まった。

最近厄介事に巻き込まれすぎている気がするから、出来れば安全に移動できればいいけど。