軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

元海賊達との宴会

貨物船の船長と和解した夜に元海賊達とクックも呼んで焼き肉パーティーをすることに。場所は貨物船の船着場だ。貨物船の船員の希望者も参加してもらった。元海賊達に今までの恨みをぶつけてもよし、海賊達の境遇を聞いて貰うも良しだ。

肉はマギュウを提供する。1匹分丸々提供しても食べ切れないだろう。タレ焼きはカルビのみ。他の部位は塩コショウでいいな。

総勢100名弱の準備はなかなか大変だったが、皆で準備を協力し合ったのも良かったかもしれない。準備を始めた当初は貨物船の船員達は元海賊への当たりが強かったが、元海賊達はそれに一切反抗せず、ひたすら謝り続けてよく働いたのだ。

そして……

「そうか、お前らはやりたくてやってたわけじゃないのか」

「本当にすまなかった。俺達も貨物船を襲うのが当然の仕事だと思うようになり、あのまま捕まらなかったら人を殺していたかもしれん」

海賊行為を続けるうちに罪の意識も薄れ、そのうち荷物を奪う為なら何をしても良いと思うようになり始めていたらしい。そこにマーギン達に討伐され、衛兵に捕まり牢で今までの事を考え続けていたとのこと。

「もう海賊をやることはねぇんだろ?」

「あぁ、 親分(マーギン) が俺達を雇って仕事をくれるらしい。それに人質に取られていた孤児院も俺達の手で運営しろと引き取ってくれたんだ」

酒の入った海賊達はそう言ってホロホロと泣き出した。

「そうか、そうか。ならもう悪い事をせずに済むな」

「うん」

そんな話をした後に、元海賊達は海に酒を流した。

「討伐で何人か仲間が死んでいった。あいつらもちゃんと捕まってりゃ、こんなに旨い酒も肉も味わえたってのによ……」

前回の討伐の時に、サメやセイレーンに食われた仲間も結構いた。今までも仲間が死ぬことはあったが、やっとこんな人生から解放されたのだと祝いにも似た弔いをしてきたが、今は違う。こんな人生が待っててくれるなら生きてくれていた方が良かったと悲しんだのだった。

元海賊や船員達が死んだ海賊を弔っているなか、マーギンとマーロックは今後の話をしていた。

「マーロック、お前らにやってもらいたい事がいくつかある。それと聞きたい事もある」

「まず何を聞きたい?」

「船とかは自分達で作ってたのか?」

「そうだ。船大工がいるから全部自作だ」

「なら小型貨物船と討伐船を作ってくれ」

「小型貨物船は分かるが討伐船ってなんだ?」

「これから海の魔物が増える。ライオネルに大型クラーケンが出た。そいつは俺が討伐してきたが、毎回毎回俺が討伐に行けるわけじゃない。他にも討伐出来る奴が必要なんだよ」

「それを俺達にやらせようってのか?」

「お前らには前に話した流通の仕事以外に、海の魔物討伐、陸の魔物討伐、ハンナリー商会の護衛、そのうち作るタイベの店、蚊取花の栽培と蚊取線香の生産とかをやってもらいたい。後は漁に使う網の生産だな」

「ずいぶんとやることが多いな」

「流通業だけだと人をもて余すからな。それに今はお前らだけだが、漁師の中に海賊業をやってた奴もいるだろ? そいつらも全員巻き込め。お前らが捕まったことによりしばらく鳴りを潜めているだろうけど、金に困ったらまたやりだすだろ?」

「かもしれん」

「犯罪者の末路は哀れなもんだ。好き好んでやってる奴はどうなろうと知ったこっちゃないが、やむを得ずやってたやつは真っ当な世界に戻してやってくれ。お前なら誰がそうなのか分かるだろ」

「俺達の事をよく知らないくせに、そんな重要な事を任せるとか気は確かか?」

「確かに良くは知らないが、期待はしている」

「俺達に期待だと?」

「あぁ。海賊とはいえ組織のトップにいる奴を見たらだいたいどんな奴らの集団なのか分かる。お前の仲間達は結束も固いし、お前は自分より皆を優先した。それだけでも信用するに値する」

「はんっ、それで俺達が裏切ったらどうするつもりなんだ?」

「その時は俺の見る目が無かったということだな。俺はお前らの身元引受人になっているからその時は責任を持って討伐するに決まってんだろ」

「俺達全員を相手にするのか?」

「人間相手なら何人いても問題ないよ」

マーギンはそう言ってマーロックに笑顔で答えた。マーロックにはその笑顔が怖い顔に見えてブルッと震える。

「お、俺達は裏切らねぇ。お前は恩人だからな」

「俺もお前らが裏切るとは思ってないけどな。だから頼みたい事を引き受けてくれると助かる」

「あぁ、何でも引き受ける。他にもあるなら遠慮せずに言ってくれ親分」

親分はやめろ。

討伐船のイメージや細かな内容は明日にもう一度話そうとなり、他の皆と合流して宴会を楽しむ事にした。

「マーギン、話は終わったの?」

「あぁ、終わったぞ」

マーギンを待ちかねていたカタリーナ。

「このお肉、硬くて食べにくいの」

「モモ肉は強火で焼きすぎると硬くなるからな。弱火でじっくり焼くか薄切りにしてさっと炙って食え」

「やって♪」

そう屈託なく笑うカタリーナ。

「ったく、お前は。何味が良いんだ?」

「前に中庭で食べたやつ」

あぁ、すき焼き風焼き肉か。

マーギンは割り下を作ってモモ肉の薄切りを漬けてからさっと炙っていく。

「ほら、溶き卵を付けて食え」

「わーいっ。んーっ、おいひいっ」

ローズにも同じものを焼いて取り皿に入れてやる。

「す、すまない。うむ、旨いっ」

「ローズ、溶き卵を付けるともっと美味しいのよっ。はいっ溶き卵!」

「な、生の卵はちょっと……」

「さっ、食べて食べてっ」

生卵を嫌がったローズにカタリーナは溶き卵をべちょっと付けてローズの口にグイグイと押し付ける。ローズは口を開けようとしないので、口の周りがヌルヌルになっていく。うむ、何かエロくて宜しい。

ジュッ

「熱っつぅぅぅ」

「おっ、すまん。飛んだか?」

「焦げた肉がなんで飛んでくるんだよっ」

マーギンの腕に炭のようになった肉を投げて来たオルターネン。マーギンはバレないように心の中で頷いたので、ローズがエロいと思った事はバレてないはず。どうやら食ハラをするカタリーナには何も出来ないので、代わりにマーギンに嫌がらせしたようだ。

「俺にやらずにカタリーナにやれよっ」

カタリーナ? と、周りにいた者達がマーギンの顔を見る。

「あっ、いや…… この焼きすぎた肉は硬りーなー」

と、下手くそなダジャレでなんとか誤魔化した。

「うはははっ ほなら行くでぇぇ。ラリパッパ!」

違う場所で誰かが持って来てくれた魚を食べさせてもらってご機嫌になったハンナリーが盛り上がる皆にラリパッパを掛けた。

「ひあうぃーごーー!」

盛り上がる元海賊と船員達。クックまで踊ってやがる。

「ほれ、お前も踊って来い」

「ローズ行こっ」

いや私は…… というローズを無理矢理引っ張ってカタリーナは踊りに行った。

「あれは何をやっているんだ?」

と、不思議な顔をするオルターネン。

「ハンナが皆にラリパッパという魔法を掛けたんだよ。あれに掛かると頭の中に音楽が流れて踊りたくなる。ああやって楽しむ事も出来るけど、強烈に掛けられたらぶっ倒れるまで魔法が解けずに踊り狂う恐ろしい魔法だよ」

「そんな魔法があるのか?」

「ハンナのオリジナル魔法だね。俺も初めて見た時は驚いた。ハンナはここにいる元海賊達を捕まえるのにあの魔法を使ったんだよ」

「それをまた掛けたのか?」

「多分、前に何をやったか聞かれて元海賊達に説明したんだろ。それでもう一度やってみてくれとか言われたんじゃないかな」

「おっ、姫様も踊るんか。ほならラリパッパ!」

「イエーーーッイッ!」

カタリーナと共にラリパッパを食らったローズも踊り始めた。

「ローズまで何をやってやがる。あれでは護衛も務まらんだろうが」

「ちい兄様はそういうけど、あの魔法は抵抗不可能だよ」

「強い意志を持てば大丈夫なのではないのか?」

「そういうタイプの魔法もあるけど、ハンナのラリパッパは強烈だ。まず抵抗出来る者はいないだろうね。試しにちい兄様も掛けてもらったら?」

「ようし、試してやろう。サリドン、ホープ、お前らも来いっ」

オルターネンは特務隊全員でラリパッパに抵抗出来るかどうか試しに行ったがあっさり全員食らった。

しかし、貴族がラリパッパを食らうと社交ダンスになるんだな。

初めは皆と同じように踊っていたカタリーナとローズも特務隊が参戦したことで優雅なダンスに変わっていく。オルターネンがカタリーナに挨拶をしてペアになり踊る。

おおー、まるで映画の中の世界のようだ。二人の優雅なダンスを見てラリパッパを食らってないマーギンにも優雅な音楽が聞こえてくるようだ。

そして、サリドンがローズと踊り出したことで状況が一変する。

オルターネンがカタリーナとのダンスを終えて、サリドンを妨害し始めたのだ。オルターネンが剣に手をやるとサリドンも応戦するように剣に手をやる。そして二人同時に剣を抜いて戦い始めた。

「なにやってんだ?」

周りも危ねっという感じで二人から離れると、オルターネンとサリドンは模擬戦というより、ダンスを踊るように戦っている。

「おー、あれは剣舞か。騎士ってあんな事も出来るんだな」

他の皆達も一瞬緊張した為ラリパッパが解け、二人の剣舞を「わーっ、すっげぇ」とか言いながら観戦にまわる。

うむ、これは金が取れる演出だな。

マーギンもそう思って近くに観戦しに行くと、

「あんたも踊りぃーな」

と、いきなりラリパッパを掛けられた。ちゃんかちゃんかと踊り始めるとカタリーナが手を繋いで来たので、社交ダンスを踊れないマーギンは剣舞の横でフォークダンスをカタリーナと二人で踊ったのだった。

「カオスね」

そんな声がどこからか聞こえたのであった。