軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

やることの説明

宴会で一躍人気になったハンナリーとカタリーナ。元海賊達も貨物船の船員達に許してもらえたようで、楽しそうに酒を飲むようになっていたのだった。しかし、マギュウ肉を1頭半も食うとは思わなかったな。北の領地で仕入れたワインも一樽なくなったし。よっぽど飢えてたのかもしれん。

「親分っ、ご馳走でしたっ。あんな美味い肉と酒は初めてですっ」

そりゃ王様も王妃も美味いと言った肉だからな。それより親分と呼ぶな。

「腹いっぱい食ったか?」

「はいっ」

一応解散となったが、まだ皆はここに残って騒ぐらしいのでマーギン達は宿に戻ったのだった。

ー翌朝ー

貨物船の所に行くと、そこで寝ている元海賊達。

あー、こいつら船がないとアジトに帰れないのか。うっかりしてたな。

「おう、親分。ずいぶんと早ぇな」

マーロックもかなり飲んでたはずなのにちゃんと起きていた。

「お前ら住むところは前のアジトか?」

「あそこにしか家はねぇからな」

海賊達の船はアジトに置いたままだ。マーギンは前に預けた戦利品の船がどうなったか衛兵に聞きに行った。

「あの船はそのまま預かったままになっております」

「じゃあ返してもらっていいかな」

と、マーロックを連れて船の所へ行き返却してもらった。

「半年ほど乗ってなかったから手入れしてやらんとな」

マーロックは仲間を乗れるだけ乗せて、アジトに船を取りに行ってまた戻って来ると言う。

「じゃあ先に昨日の話の続きをしようか」

マーギンは各役割の人数をだいたい決めていくのと、討伐船の説明をした。

「大型の矢を発射するやつがバリスタというのか」

「そう。船首には特製のバリスタを装備する。後は手持ちタイプのバリスタ、クロスボウってのを作って来るわ」

「そんな物が作れるのか?」

「あぁ。あまり教えたくない代物なんだけど背に腹は代えられん。クラーケンだけならバリスタでいいんだが、そのうちフィアースとかマルカとか出始めるだろ」

「なんだそいつは?」

「フィアースはサメ型の魔物だ。普通のサメが大きく凶暴になったやつだと思ってくれ。こいつは船に噛み付いてきて船を砕くぞ」

サメは餌と間違わない限り襲っては来ない。が、魔物のサメは手当たり次第襲ってくるのだ。

「マルカはシャチ系の魔物だ。こいつは集団で狩りをするからやっかいだ。海の魔物の中ではかなり知能が高い。こいつらと戦うには弓では太刀打ち出来ない。船首からしか攻撃出来ないバリスタだけだと不利過ぎるから、横や船尾からでも攻撃できる強烈な武器が必要になってくる。イメージとしては移動式の小型バリスタみたいな感じの物を持って戦うということだな」

「かなり強力な武器なら相当力が必要になるんじゃねーのか?」

「そこは工夫してくる。お前らは春までに船を作りあげてくれ。後こっちにも拠点を作れ」

「こっちの拠点は孤児院じゃダメか?」

「そうか、孤児院があったな。じゃあ孤児院をこっちの拠点にしてくれ」

「分かった」

「これは支度金だ」

マーギンはドンと大金貨の入った袋を渡す。

「なっ 何だこの大金は……」

渡した金額は1億G。

「正式にハンナリー商会に雇うのは来年の春か夏になってからになる。それまで商会から給料を払ってやれんからな。これは正式に雇うまでの給料代わりの金と船を造る為の資金だ。これで足りるだろ?」

「足りるどころか……」

「余るようなら身なりも整えてくれ。見てくれを良くするのも商会で働く者としての必要事項だからな。それとこれを渡しておく」

グラマンに作ってもらったロングソードとショートソードを渡す。

「こんな見事な剣を見たことがねぇぞ」

「知り合いの腕の良い工房で作ってもらった剣だ。ハンターと護衛になるやつに渡してくれ。今回は時間がなくてこの数が精一杯だったんだ。防具はこっちで調達してくれ」

「これ相当高いんじゃねぇのか?」

「あぁ、誂え品じゃないけどいい剣だ。これからタイベでハンターとして戦ってもらう奴にはこれぐらいの性能が必要になってくる」

「俺たちゃ陸の魔物に詳しくねぇぞ」

「分かってる。春にもう一度来るからその時に訓練してやる。それまでは船を造るのに注力してくれ」

「分かった」

こうしてマーロック達のやることを指示して後は任せる事にした。

宿に戻ると、

「朝早うからどこ行ってたん?」

と、呑気なハンナリー。

「マーロック達にこれからやらないといけない事を伝えて来たんだよ。何をさせるかはナムの村に行くまでに説明するわ」

「マーギン、ナムの村ってなぁに?」

カタリーナ達は先住民が信仰する神によって村が分かれていることを知らないので聞いてきた。

「タイベはシュベタイン王国民と先住民が混在しているのは知ってるな?」

「うん」

「この街から南に進み、イルサンという街を経由して、まだ南に行くとパンジャという街がある。そのパンジャはシュベタイン王国民と先住民が混在する街なんだ」

「そのパンジャに行くの?」

「そこでちょっと遊んでから、先住民の村に行く。先住民の村は信仰する神によって分かれててな、今回行くのはナムの村という水の神様ナムを信仰する村だ。その村が今回の目的地になる」

「へぇ、そこには何があるの?」

「防刃服の素材になる草を刈ってもらってあるのと、餅米ってのを作ってもらってある。それを使った料理や甘い物を年明けに作ってやるから楽しみにしとけ」

「うん♪」

「で、ローズ」

「なんだ?」

「タイベでのカタリーナの護衛は俺がする。ローズはちい兄様の指揮下に入って特務隊として行動してくれ」

「私ではやはり護衛として力不足なのだな……」

「まぁ、正直に言うとタイベではそうなる」

マーギンがそう答えると落ち込むローズ。

「と言うかタイベでは特務隊にもカタリーナの護衛は任せられない」

「えっ?」

「なぜなら、タイベには初見の魔物が多いからだ」

マーギンは前にカザフ達に説明した事を皆にする。

「特務隊にはタイベの魔物に慣れてもらう為にカタリーナとハンナの防御を気にせず戦ってもらいたい。それとローズは一度自分の実力を魔物相手に思う存分試してみた方がいいと思うんだよ」

「私は今更……」

「本当は強くなった自分の力がどれほどなのか知りたいだろ? カタリーナの護衛は気にするな。自分が本当にやってみたい事をやれ」

「私は要人の護衛任務に就きたくて騎士に……」

「それはこういう世界を知らなかったからだろ? 訓練だけの世界から本当の実力だけが物を言う世界を知ったんだ。強さを求めて努力してきた者がそれを体験してみたくなるのは当然なんだよ。もう自分の心に嘘を吐くな。ここで思いっきり力を出してみないとずっと心に残るぞ」

「マーギン……」

マーギンの言葉に切ない顔をするローズ。

うむ、美人のこういう顔は宜しい。

ゴスっ

「ふぉぉぉぉぉっ」

「何を嬉しそうな顔をしている」

「しっ、してねえしっ」

「ニヤニヤしていたではないかっ。今の話は特務隊隊長として引き受ける。ローズ、今日から特務隊臨時隊員として入隊を認める。しっかり戦え」

「ちい兄様……」

「今日から隊長と呼べ。いいな」

「はいっ、隊長!」

自分の責任と感情を上手くコントロール出来ていなかったローズは、特務隊の隊長命令ということで心に決着を付けてもらった形になったのだった。

オルターネンのシスコン攻撃を食らったマーギンは蹲る程ではないが、しゃがみ込んで治癒魔法を掛けようとする。

「マーギン、痛いの? さすってあげようか?」

止めなさい。

カタリーナの優しさはセクハラになるのであった。

イルサンには徒歩で向かう。特務隊を先頭にして中にカタリーナとハンナリー、最後尾にマーギンだ。

「結構歩いている人多いのね。みんな馬車かと思ってたわ」

カタリーナが振り返ってマーギンに聞いてくる。

「イルサンに行く人は馬車に乗るだろうな。歩いている人は他の村に行くんだと思うぞ。街道から横道が何本も出てるだろ」

「そこには行かないの?」

「別に用事がないからな」

「何があるの?」

「多分畑だな」

「何を作ってるの?」

「さぁな。野菜とか米とかサトウキビとかだろ」

「サトウキビ?」

「そう。砂糖の原料になるものだ」

「そうなの? なら見に行こうよっ」

「この時期は見に行ってもサトウキビはもらえないぞ。収穫時期じゃないからな。大きな草を見に行くのと変わらんから却下だ」

「えーーっ」

こんなやり取りをしながらイルサンに向かうが、何度も、「マーギンっあれは何っ?」と呼ばれるのに疲れたのは言うまでもなかったのだった。