作品タイトル不明
蜂の巣をつついたよう
[激昂蜂✕12を倒しました]
[1200HGを入手しました]
「あ、ありがとうございます!」
「良いんだ。こういうのは助け合いだからな」
爆弾愛好家が格好付けてる最中に、2人の女性プレイヤーに視線を向ける。
プレイヤーネーム“黒豆”。
スナイパーライフルを持っており、超遠距離攻撃タイプと見える。
あそこまで大量のモンスターに接近されては、流石に対処しきれなかったのだろう。
プレイヤーネーム“鬼巫女”。
その名の通り金棒を持っており、超近接攻撃タイプのように見える。
黒豆の弱点をカバーしようとしたのだろうか。
「2人は何故、激昂蜂の群れに追われてたんだ?」
「それなんだけど……」
「その……私達、巨大な洞窟を見つけたんです」
黒豆曰く、ある洞窟を発見したら、突然激昂蜂の群れが出てきて返り討ちに会ったのだそう。
その洞窟の中は、遠目ではっきり分かる程の蜂の巣だらけなのだとか。
「そりゃ、2人じゃ厳しそうだな」
「良かったら、俺達も一緒に行ってみて良いか?」
2人の女性プレイヤーはお互いに顔を見合わせる。
そして、納得したそうな表情でこう答える。
「はい。宜しくお願いします」
「とっても助かる!」
[プレイヤー 黒豆からパーティ申請を送られました]
[承認/拒否]
俺と爆弾愛好家は承認を押す。
もしかしたら、そこにダンジョンがあるかもしれない。
そんな期待を胸に秘めながら、2人に付いていった。
その道のりは意外にも長かったが、その歩いた先では確かに大きな山を見つけた。
「あそこです」
その崖には無数の激昂蜂が巡回しており、入り口である洞窟を守っているようだった。
その洞窟の奥には気味が悪い程の蜂の巣がズラリと並べられている。
「確かに蜂の巣だらけだな……」
「――――こういう時こそ、俺の出番って訳よ」
ふと爆弾愛好家の方を向くと、その手には既に『 推進弾発射砲(ロケットランチャー) 』を構えていた。
「「えっ」」
――――まさか。
「汚物は消毒じゃあぁぁぁぁ!!!」
爆弾愛好家の『進弾発射砲』から発射された弾は、一直線に洞窟の中へと飛来し、大爆発を起こした。
「――――皆、戦闘準備だ」
その洞窟の中から無数の激昂蜂が飛び出して来た。
住処を攻撃された事に激昂しているようで、その目は我々を敵対者として認識し、絶対に逃しはしない意思を感じる。
「見た所、出てきたのは30匹前後か。案外火力高いんだな、そのロケラン」
予想では50匹程出現すると思っていたが……意外にも、そのロケランの威力高いな。
多くの激昂蜂を同時に倒せる程の範囲火力を持っていたらしい。
「け、計画通り!」
「強がってないで殲滅するぞ。【極性災雷】」
俺は雷弾をばら撒くように発射する。
激昂蜂はお互いが引き寄せ合い、隊列が乱れた。
更に連鎖的に雷撃が発生する。
「【蛮勇ノ祝福】」
鬼巫女は武器遺物を『蛮勇のお祓い棒』に切り替えており、【蛮勇の祝福】で周囲の味方に攻撃力バフを撒く。
黒豆も動きを止めた激昂蜂に対し、正確に『 静寂の長銃(スナイパーライフル) 』の弾を当て続ける。
どの激昂蜂も頭を貫いている。
精度の高さが伺えるな。
対する爆弾愛好家はいつの間にか『巨黒爆弾』を抱えており、それを前方に放り投げた。
「【起爆】ッ!」
ドッカァァァァァン!!!
空を切り裂く程の爆破音を掻き鳴らし、残った激昂蜂は全滅した。
[激昂蜂✕32を倒しました]
[3200HGを入手しました]
[ランク21になりました]
「中々派手なアイテムだな。それか、遺物か?」
「あぁ、これも遺物だ。絶大な破壊力を持つ俺特性の爆弾でな。爆破した後は再構築されて俺の元に戻ってくる」
まさしく範囲火力の鬼だな。
先程のロケランと言い、雑魚狩りには持ってこいのビルドをしている。
「でも爆弾愛好家さん、ちょっと身勝手過ぎますよ」
「えっ」
「それは俺も指摘しようか迷ってた所だな」
「うんうん」
確かに今回ではこれ以上の無い程の適役だっただろう。
彼が居なければ、ここまで楽に殲滅出来ていなかった。
それはそれとして、初っ端パーティメンバーの事を考えに入れず行動したのは良くない行動だっただろう。
「今はソロじゃなくてパーティだからな。今度は皆の許可取ってからやってくれ。じゃないと木こりに好かれないぞ?」
「本っ当に申し訳無かった!」
分かれば宜しい。
身勝手過ぎると、他プレイヤーから不快に思われても仕方が無いからな。
それが自分自身が好いているであろう相手からも、失望される可能性がある。
そんなこんなで洞窟周辺の殲滅が終わった。
俺達はその中に入っていくと、遠目で見た通り、ぎっしりと隅から隅まで蜂の巣が出来上がっている。
更に――――
[未知のダンジョンを発見しました]
「知ってた」
もしかしたらと思っていたが……本当にあったな。
俺としては入っても良いが――――
「皆はどうする?」
「ここまで来たら、行ってみても良いと思います」
「私も!」
「勿論、行くに決まってるでしょ!」
全員一致で入る事になった。
ここ『ムシムシ密林』初めてのダンジョン――――
楽しみだな。