軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

嵐の前の静けさ

『蜜密洞窟(1F)』

「何か、凄ぇ綺麗だな……」

ここ『蜜密洞窟』は案外神秘的に作られており、壁や地面にはキャラメルのような色使いに六角形の模様が掘り込まれている。

シャンデリアのようにぶら下がるのは固形化した蜂蜜。

その先端から光を放つ塊が付けられており、ここ独自の文化が根付いているようだった。

「これ、舐めてみたら甘かったりしないかな?」

「どうだろうな、ゲームの製作者がそこまで丁寧に作り込んでいたら天晴だが」

「鬼巫女、ふざけて無いで先に進みますよ」

黒豆はしっかり者なのか、よく活発な鬼巫女を抑制しているように見える。

遠距離武器を選んだのも、そういった 全(・) 体(・) を見る力が強いから、性に合ったのかもしれんな。

「……! 危ないっ!」

次の瞬間、 ド(・) リ(・) ル(・) が飛来した。

鬼巫女は危機を察知して、『鬼の金棒』で弾き返す。

――――いや、あれはドリルではない。

ブーン……。

蜂だ。

その蜂は針がドリルのようにトグロを巻いていた。

「爆弾愛好家」

「合点承知!」

爆弾愛好家はその蜂に狙いを定め、『推進弾発射砲』を発射した。

ロケットが水平に、そして正確に飛来して、ドリルの蜂を撃ち落とす。

[採掘蜂を倒しました]

[300HGを入手しました]

「あんな蜂も存在するのか……」

「突然の奇襲に気を付けた方が良さそうですね」

死角から飛来するドリルの突撃――――

不意を突かれれば、簡単に身体を貫かれそうだな。

「……あそこと、あそこにも潜んでいますね」

「撃ち落とせるか?」

「やってみます」

黒豆は『静寂の長銃』を構え、集中する。

一発、そしてまた一発――――

正確に採掘蜂を貫いた。

[採掘蜂×2を倒しました]

[600HGを入手しました]

「中々順調じゃないか?」

「そうだな。こんなに順調だと後が怖いな……」

「……どういう意味だ?」

「……いや、何でも。気の所為だと良いんだが」

ここ『ムシムシ密林』のダンジョンが、そう簡単に攻略出来るとは考え辛い。

俺の予感だと、これは「嵐の前の静けさ」だと見た。

その予感が的中しているか否かは、進んでみれば分かる事だろう。

「前方、巨大な蜂が居ます」

黒豆の報告通り、目の前には巨大な蜂が漂っている。

その巨大な蜂がこちらを見た瞬間、勢い良く体当たりをしてきた。

「そんな単調な攻撃当た――――」

爆弾愛好家がそう呟こうとした瞬間、巨大な蜂は壁を 反(・) 射(・) した。

「危ないっ!」

何とか鬼巫女が庇い、間一髪の所で回避した。

あと一瞬反応が遅れれば、爆弾愛好家は自身が血の爆弾へと変えられていた所だろう。

「【極性災雷】」

バババババババンッ!

バンッ!

バンッ!

俺と黒豆はその巨大な蜂を撃ちまくり、その身体を蜂の巣へと変えた。

[風船蜂を倒しました]

[500HGを入手しました]

「あ、ありがとう。鬼巫女」

「無事で良かった!」

「油断一つが命取りだな」

「ですね……」

次からは見知らぬ蜂が居たら警戒した方が良さそうだ。

今みたいに初見殺しでやられる可能性がある。

ブーーーーーーン。

ふと長い羽音が聞こえた。

振り返るのと、細長い蜂が飛んでいた。

その細長い蜂は羽音を出し続けながら、こちらを睨みつけていた。

ブーンブーンブーンブーンブーン

ブーンブーンブーンブーンブーン

壁から、地面から、天井から、あらゆる場所から比較的小さめの蜂が一斉に飛び出して来る。

バンッ!

ババババババババババババン!

俺は細長い蜂に青の雷弾を当て、周囲の小型蜂に赤の雷弾を的確に当てる。

すると、細長い蜂に次々と小型の蜂が吸い寄せられていっており、徐々に身動きが取れなくなっているようだ。

「今だ!」

「【起爆】ッ!」

ドッカァァァァァン!!!

爆弾愛好家が『巨黒爆弾』を投げ込み、洞窟内に爆音を響かせながら一気に殲滅した。

[指揮蜂を倒しました]

[小蜂×16を倒しました]

[860HGを入手しました]

[ランク22になりました]

「やっぱ爆弾の火力凄いな」

派手過ぎるのも考えものだが、範囲火力という1点のみを見れば彼は随一のプレイヤーだろう。

こういう雑魚が多く出る道中では頼りになるな。

「皆〜階段あったよ!」

鬼巫女が階段を発見した。

案外呆気なく見つかった階段に拍子抜けしながらも、これから来る 嵐(・) の予感が身体を伝っていた。