軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第977話 瘴気のお勉強②発動

「そこで、まず使う魔素の座標を定義していきます。発動したい魔法の規模により座標は変えていきます。不安定になる魔素に方向性を持たせることで、威力は底上げされます。手元に出したいような時、座標は……」

あの式、座標だったんだ。

魔法陣を描く時の意味がわかると面白いけれど、どんどん専門的になっていき、わたしの脳は聞くことを諦めている。聞いているけど内容がちっとも入ってこない。

うーーん、わたしはやっぱり魔具を作る時もほぼスキルで作っているんだなと確信。

ただ、一番簡単な発動の魔法でさえ、編むのは困難だ。こりゃイメージの方が楽だわ。

もふさまを撫でて心を落ち着かせる。精神安定剤だ。

「これらを覚えると複雑なこともできるのです」

トルマリンさんは嬉しそうに言った。いや、そんなん覚えられないでしょ。

と思うと、ダニエルが手をあげる。

「それは発動条件2を、これに置き換えるとひとつの式なのに3つのことができるから、ということですか?」

「その通りです!」

ダニエル会得してる……。

「では、この数値をかけることにして、2の代入式を、連立していけますか?」

アダム、魔具作ったことないくせに、いきなり6つの動作を入れ込もうとしている。これだから頭のいい人って……嫌だわ。

アラ兄も顔が引きつっている。アラ兄が独学で何年もかけたことを1発で会得してるもんね。特にダニエル、アダムはもう魔具も作れるだろう。

ブライとロビ兄とわたし以外は、魔法を編むことが新鮮で適度に難しくて楽しくなっている。わたしは楽しいのは途中までだった。

演習として一応描いた魔法陣で水を出すことはできた。

イメージで使うより、さらに少ない魔力で出すことが可能のようだ。

でも、これ、無理。編む、難しい!

「皆さま、素晴らしいです。初めて編んだもので術が発動するとは!」

本当に、みんな優秀ね。

わたし魔具作りの下地があっても、水を数滴出すので息切れだよ。

脳が糖を欲しがってるよ。

「慣れてくるとこういった紙でなくて宙に描いても発動します。

さて。呪術を使う時の編み方は基本的に同じです。

ただ最初に申し上げました通り、瘴気は扱い方に注意が必要です。

特に瘴気の元々少ないお嬢さまにはおすすめできません」

トルマリンさんは心配げにわたしを見た。

「たとえば先生に描いてもらった完璧な魔法陣を、わたしが完全に模しても厳しいですか?」

「瘴気は術師を選びます。編まれたものが完璧であっても、術師が気に食わなければ牙をむきます」

なんて扱いづらい!

結局、わたしは見ていることになった。

瘴気の図柄を教えてもらう。瘴気は13の倍数にして最後に1を引く、それが瘴気を動かす条件。

意思が強い人しかいないから姿勢は問題ないとのこと。姿勢ももちろんいいしね。ただ、意思が強い人こそ乗っ取られるとどうにもならないことになるので注意は必要とのことだ。

それから指の関節を5つ以上動かす動作。この5というのも瘴気が嫌いな数のようだ。自分の中で意味を持たせる動作だといい。瘴気に引っ張られそうになった時に、自分の拠り所になるんだって。

それから何かあった時は、言葉も有効。言い切る形で、心を強く持つこと。

最悪は「去れ」でいいから一歩も引かないことと注意が続いた。

魔法陣の内容を教えてくれて、みんなで同じことをやる。

瘴気を使った術で石を移動させる。

魔素を集める時に質問があった。魔素を集めて使うということは、魔法陣で編む時、自分の中の魔力は発動条件でしか使わないのかと。その答えは編む時の指定範囲の魔力量によるそうだ。座標の0は自分となる。だから自分も含まれている。編んで指定すれば、自分からの魔力は少なく後は周りの魔素で補う、逆に自分の魔力が少なくなっている時、自分からマイナスされる魔力は少なく、他は魔素から術を成すこともできるそうだ。なるほどメリットのひとつだね。

わたしは学園や領地であれば、自分の魔力とそこを漂う魔素が馴染んでいるから、取り込んで使うことができる。編み方を覚えれば、それが馴染んでない場所でもできるってことだ。

瘴気も同じ。座標は0を含むから、発動条件で内なる瘴気が使われる。

ひとりずつ先生が見守る中、やってみる。

机の上の石を移動させた。

最初はアダム。難なく成功。次がロビ兄、ブライ、ダニエル、アラ兄、イザーク、最後がルシオ。みんな成功した。

「皆さま、素晴らしいです。皆さま、呪術師に適しています」

と太鼓判を押した。

わたしは少し離れてみていたんだけど、やはり瘴気が集まってくるらしくて、一回聖水を口に含んだ。

マジでわたし瘴気と相性悪いな。

いくら縮小させたとしても、瘴気の中でわたしが作業するの、難しいかも。

「お嬢さま、少しは瘴気をお伝えするお力になれたでしょうか?」

わたしはトルマリンさんにお礼を言った。十分すぎるほどだ。

そして最後にお願いをする。

まずトップシークレットなことを伝え、この玉の中に瘴気をぶっ放してくれないかのお願いをした。器を作る成分に瘴気も入っているので、そのまま瘴気を集めると同化してしまうかもしれない。だから瘴気を集めて入れるのではなく、現象としての瘴気を中に入れたいんだというと、思案顔。そして

「それは瘴気を中に閉じ込めることが目的ですか?」

と聞かれた。ま、そうだよね。中に封じた瘴気をぶっ放されてもダメージを受けるのはわたしのような瘴気が少ないものだ。それを攻撃に使う人はいないだろう。ものすごい濃度とか、誰かの中に瘴気を入れ込むみたいなことでなければ、瘴気はそこまで害はない。だからトルマリンさんにすれば、瘴気を玉に込めて何がしたいんだろう? 閉じ込めることが目的?と疑問が湧いたのだろう。

「その通りです」

トルマリンさんは宙に描かずに魔法陣を紙に描いた。

そしてその設計図の成り立ちを教えてくれた。

説明を終えると、同じ魔法陣を空に描き発動させた。

玉が少し揺れて収まる。

せっかく入れてくれたのを謝りながらアダムがそれを投げつける。

瘴気が出た。みんな??だったけど、わたしにはわかった。

玉に瘴気を入れられた。成功だ。

お願いして、3つ瘴気玉を作ってもらった。そしてその魔法陣を描いた設計図もいただいた。