軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第951話 わたしたちの王さま⑩不審点<後編>

「申し訳ありません!」

隊長が頭を下げ、一拍遅れてケルバーさんも頭を下げる。

「謝るところではない、お前がすべきことはなんだ?」

「ケルバー」

ロサに促され、ケルバーさんを呼んだ隊長の声は暗かった。

「ロンゴ隊員を確保」

ロンゴ隊員の後ろにまわったケルバー氏は、彼女の手を後ろで合わせて縛りつける。

「な、何を? 隊長、どうして? 何をするんです?」

「お前は重大な規律違反をした」

ロンゴ隊員の目が見開かれる。

「規律違反? なんのことですか?」

「調書を取ったと言ったな。ということは、デルコーレにシュタイン嬢の服装を漏らしたな?」

「そんなことしていません。デルコーレ嬢が言ったんです!」

「デルコーレ嬢が会ったのはシュタイン嬢ではないようです。調書はここまでです。ご足労いただき、ありがとうございました」

隊長がわたしに向き直り、しっかりと頭を下げた。

「隊長! なぜですか? デルコーレ嬢が会ったのはシュタイン嬢です。このドレスとぴったり一致しています」

「ありえない」

「は?」

「他の場所で行われるパーティーならわかるが、王宮の祝賀会だぞ、正装だ。正装が……この衣装ではないはずだ。その衣装でいたらマナーを重視する身分の高い方々が見逃すはずはない。悪目立ちする」

ロンゴ隊員の目が見開かれて、わたしの服装を目が確かめている。

「シュタイン嬢はコートを着て詰所に来られた。この姿を見たのは我ら3人だけ。さらにシュタイン嬢を見た後にデルコーレと接したのはロンゴだけ。

この服装をデルコーレが口にしたのなら、お前がそう告げたということだ」

「ま、待ってください、隊長。信じてください。私はそんなことはしていません」

隊長にすがりつくような声をあげ、わたしを睨み付ける。

「その姿で祝賀会に向かったのでしょう?」

「まさか」

「着替えたなんて言わなかった!」

「着替えや手洗いの回数まで報告するものですの?」

「……ちなみに祝賀会へと向かった時の衣装のお話を伺っても?」

ロンゴ隊員のことを信じたいのか、ケルバーさんがわたしに尋ねる。

「ロンゴさんの前で言うのは嫌です。映像を見た方が確かだと思いますので、後で兄が録画した映像をお渡しします。兄はわたしが着飾った姿を録画して映像に収めますの。家族みんなとも写っておりますわ」

アラ兄たちと正装した姿をちゃんと写したからね。記念のつもりで、証拠として提出することになるとは思わなかったけど。

「バルコーレとも、その後ろにいるものとも繋がっているはずだ」

ロサが冷たい声で言った。

「ハッ」

隊長が答える。

「自分の部下を調べにくいというなら、違う部隊に引き継がせるが?」

ロサは鋭い目を隊長に向ける。

「いえ、これはケジメです。我らにやらせてください」

隊長は真摯な眼差しでロサを見つめる。

「よし、行け」

ケルバーさんに引き連れられて、青い顔をしながらまだ睨んでくるロンゴは連れていかれ、隊長はわたしと父さまに深々と頭を下げて出て行った。

「詳細がわかりましたら、その旨をお伝えします。今日はこのままお引き取り願えますか?」

丁寧に言ってくれたロサにわたしたちはただ〝はい〟と頷き、頭を下げた。

調書の終わった兄さまと合流。そして外で待っていた双子兄と合流して、映像を提出してもらう。

騎士たちはわたしと兄さま以外の服装が映像と同じであることをチェックしていた。

2つの馬車に乗り込んで、バイエルン家へと向かう。

みんなに馬車で別れて移動をした時のことから調書のことなどを話した。

祝賀会が終わったら、ルーム経由で町外れの家に戻るつもりだったけど、王都の家の執事はお休み中。なので、バイエルン家で報告があるまでお世話になることにしたんだ。セカンドハウスもお客さま部屋がいくつもあるところがすごい。

母さまに王宮で何かあったと伝えてしまうと、せっかく落ち着いている王宮アレルギーがぶり返してしまうかもしれない。なので、全てがわかってから母さまには報告することにし、今日は兄さまのセカンドハウスにお邪魔することになったと濁すことにした。

その夜、ロサからきた知らせは、ロンゴ隊員はわたしの服装をバルコーレ嬢に漏らしていないの一点張りだそうだ。

次の日、アダムたちがバイエルン家へ顔を見に来てくれた。

ダニエルとブライはここにくる前、ロサのところに寄ってきたようだ。

リノさまは昨日聞いた通り、気がつかれてからは気丈に振る舞い、公爵家にお父さまと一緒に帰られたそうだ。明後日からお妃教育が再開されるらしい。

本日中にロンゴ隊員が口を割らない場合、第三部隊ではなく第七特殊部隊に身柄が移されるそうだ。

騎士でありながら、犯罪に関わっているかもしれないことは、一般人より責めは重たくなる。まぁそれは、貴族も同じ。爵位の高い人ほど、信頼も厚く手本になるべきなのだから、罪を犯した場合、罰は信頼度や影響度により重たくなる。

お茶を飲みながら、昨日双子兄たちに話したことを、今度はみんなに話す。

兄さまがフレデリカさまに会って話したのを、本気でアダムが羨んでいる。

あの時はフレデリカさまと直では話せてないものね。

ってあれ、やっぱりセイン国、第三王子のミッナイト殿下とお城でバトルっていた時に兄さまもいた。ってことは……

「兄さま、フレデリカさまと初めましてじゃないじゃん」

「フランツとしてご挨拶したんだよ。あの時はバイエルンだったからね。フレデリカさまはわかってらしたと思うよ」

え、そうなの?

もふさまをチラリと見れば、うんと頷く。

そ、そうなの? なんか釈然としないんだけど。

「パメラ・ロンド、か。騎士になれたってことは、ちゃんと調べられているはずだし」

とブライが唸る。

「ロンゴ家は誠実な一家だったと思うけど……」

とダニエルが首を捻っている。

「どうした?」

イザークが促す。

「ご子息がいた覚えはあるけど、ご息女がいらしたとは……」

ダニエルは情報ミスの記憶に納得いってない感じ。

「それ昨日ブレドから聞いて調べたんだ。パメラは養子だった」

アダム、昨日の今日でもう調べてたんだ。

「養子?」

「どちらのご令嬢だったんだい?」

ダニエルがアダムに尋ねる。

「平民のようだ。ロンゴ家は武力系の繋がりが全くないから、騎士の素質のあるパメラを見つけ、養子にし、そちらの筋で婚姻を結びたいと考えていたようだ」

平民だったのか。だから王宮のパーティーは正装となることをよくわかっていなかったし、爵位のことがわかってなくてあんな態度だったのかな?