軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第911話 Get up②囮の報酬

フランツとアダムの間に入り込む。

「フランツ、これはわたしの〝囮〟の件?」

フランツは表情を変えない。

「ありがとう。でも、わたしの問題だから、わたしがケリをつけるのが筋だと思う」

「リディー」

切ない目をするフランツ。

「わたしはみんな仲いいのが好きなの。フランツと誰かが喧嘩してというなら話はわかるけど、わたしが理由でヒビが入るのは嫌。だから自分でやる。

わたしはね、フランツ。力がそうあるわけじゃないから、それをネタに効果的に使える時に、支払ってもらおうと思ってるの。だから手を出さないで。

ロサへの〝お願い〟ができなくなっちゃったわ」

わたしがそういうと、ブライたちは驚いた顔をした。

「いいよ、リディア嬢。効果的なところで支払うよ」

ロサが自虐気味に笑う。

よし、王子への〝お願い権〟を手にしたぞ。

「あ、私も同罪ですので」

ダニエルが片手をあげた。

だよね、そうじゃないかと思ってた。

「ダニエル、ブライ、イザークもよね? ルシオは知ってたの?」

わたしはニコニコしながら尋ねた。

「……すみません、なんとなく」

「謝らないで。しっかり効果的なところで〝お願い権〟使わせてもらうから。手札が6枚も、ふふふ」

王子さま=権力、アダム=情報、ダニエル=貴族社会情報、ブライ=騎士、イザーク=魔法士、ルシオ=神殿。

みんなちょうどよくばらけているのよね。堂々と力を貸してもらえる。

そんなわたしをみんな若干引き気味に見ていた。

もちろんお兄さま2人は、「リーは賢いな」と頭を撫でてくれた。

仕切り直し、聖樹さまから得た情報を皆と共有する。

「聖樹さまは世界が滅びるなら、それもまた世界の定めと思っているみたい。

バッカスが世界樹の葉を集めていた。それに心当たりはあるけれど、いうつもりはなくて。

聖樹さまが世界樹の葉を渡したわけではない。

聖樹さまの葉は絶えず生まれているし、枯れて落ちているもの。

それは人族は見えてないだろうわかりにくいもの。わたしが入学するまで長い間人々と話したりはしていなかった。

学園を守るのは友達に頼まれたから」

わたしが聞いたことを伝えると、みんな自分の思いに彷徨いだす。

その静けさの舞い降りた時間に耐えられなくなったらしく、ブライが声をあげる。

「え? それってどういう意味だ?」

ブライは眉をひそめて、ロビンお兄さまもわからないと口にした。

「確かなことは2つ。

聖樹さまはバッカスの邪魔もしない、けれどそれを抗うのも邪魔しないってこと。それが中立って意味だと思う。

それから、組織には人族以外の者が 与(くみ) してる。精霊を捕らえて使役してたからそうだとは思っていたけど……。

うまく聞けば聖樹さまから情報をもっともらえるかもね。よく考えてからじゃないと危ないけど。

ここに来る前に学園に寄って見てきた。世界樹の落ち葉は見ようとしないと見えない。逆に見えると思っていれば見えたわ」

それから、瘴気を分散させる案を出す。

みんな驚いていたけれど、できるかどうかやってみるべきだなと言ってくれた。

引き続き調べていくことを、みんなで確かめあう。

・カザエルのこと

・グレナンのこと

・バッカスのこと

気になることがあり、聖女さまの未来視を教えて欲しいと訴えた。

「聖女さまも君に会いたがっている。直接話せる機会を持てるといいんだけど。君は何が聞きたいんだい?」

ロサに促される。

「ユオブリアがいくつものところから攻撃されて王都が手薄になるのは聞いたけど、具体的にそこはどこか。どこが誰が守っているかもわかるといいな」

なるほどとダニエルが頷く。

「一応今までの未来視での流れだと、最初に西、南、東、北、王都だった。誰が守ったかまでは東と北しかわからないな。北はシヴァ・シュタイン・ランディラカ辺境伯だ」

シヴァってシヴァか……。

「そういえば聖女さまって……今までも候補ではあったろ? 何をされていて、そんな忙しいんだ? 学園にもほとんど来られてないよな?」

ブライが尋ねればルシオが答えた。

「女神さまからいただいた力を、自分で使えるようになるのが最初の課題。同時に……聖女の力は使い方を間違えると自分の命を縮めるんだ。そうならないよう今までの聖女さまが残してきたものなどで学ばれていらっしゃる」

「その女神さまからの力ってのはどれくらいで使えるようになるんだ?」

「個人によって違うよ。ほとんどの方は3年から5年。7年の方もいらっしゃった。アイリスさまは2、3年ぐらいではないかと神殿は見込んでいる」

「え? そんなにかかるもんなの? パッとできたりしないんだ? 難しいってことか」

ブライが気持ちよくズバリと聞いてくれる。

「こればっかりはわからない。統計を取るにも聖女さまの絶対数が少ないから。確か……9代目の聖女さまだけは、力を授かってすぐに使えるようになられたらしいけど」

すぐ使えるのは稀ってことか。

静かだなと思ったら、もふもふとぬいたちはお皿に山のように用意されたお菓子を黙々と食べていた。用意する方ももふもふたちをよく知っているし、もふもふたちも勝手知ったるって感じだし、当たり前のように食べている。

わたしも聞いてみることにした。

「……聞いていいことなのかわからないけど、授かった力ってどんなの? っていうか、世界の終焉にその力ってのが関係してくるの? その力が開花しなくて世界が終焉にってあり得るの?」

たとえば3年先に聖女さまが力が使えるようになる。終焉危機がその前にやってきてエンド、とか。と、例を出してみた。

「授かった力は〝神殿〟と〝王〟には知らされているけれど、あとは聖女さまの判断になるから僕からは言えない」

ルシオが宣誓するような気高さで宣言する。

個人情報だもんね、本人が教えてくれたらわかるってことよねと思っていると

「未来視から検討する聖女さまの授かる力は、瘴気を浄化するようなそういったものだと思っている。未来視では終焉は2年後あたりが多くなっていて。そのとき聖女さまは力を使っている」

アダムの注釈でそっか、と納得する。