軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第714話 デビュタント②領地の栄華

ウチの領地は経営がうなぎ上り。

そこまで広くはないものの、栄えていることと、住みやすく、リターンも大きいということで、移住希望者が殺到している。昔と比べるともうかなり人が増えた。

町と大きな村の間や、大きな村と小さな村の間の開拓を進めれば、居住地はもっと取れるんだけど、これ以上スペースを広げ、その分の増えた領民たちを含め自分がなんとかできるのかを、父さまは悩んでいて親戚の皆さまに相談しているらしい。

シュタイン領はユオブリアの北に位置し、これより北は山脈と砦しかない。砦の流通は特別ルートだから、流通もここでストップだ。そんな北の端にあるにもかかわらず、商業ギルド、冒険者ギルドがある。人が集まってきたから、ランパッド商会さんが頑張ってくれて、王都で人気な物もこんな端っこで買えるともあり、そこらへんも評価されている。ウチの領よりずっと広くていくつもの施設が揃っている隣の領、イダボアに追いつく勢いだ。

次世代を背負って立つ子供も5人いて、わたし以外は容姿端麗でスペックが高い。

特に長男、次男であるアラ兄とロビ兄は去年1年での成長が著しい。麗しくかっこよくなったことも手伝って、女の子たちの黄色い声が凄い。

業界の人たちしか知らなかった、アラ兄が水路づくりの一人者であることを隠さなくなった。年齢を考慮してやっかまれたらと、公けにはしていなかったのだが、それが解禁された。

ロビ兄はクラブ活動を通して演舞のうまさをかわれている。演舞がうまくても魔法の鳥を長く出しているのは難しいらしく、それが一番うまくできるのがロビ兄らしい。

ロビ兄のクラブは魔導騎士クラブ。魔導騎士に憧れている人の集まりだ。魔導騎士とはなんぞやというと、騎乗隊に含まれる部隊。騎乗隊とは戦う時に馬や調教済みの魔物に乗って闘う人たちのことを指す。だけど馬や乗れる魔物には限りがある。そこで派生したのが魔導騎士と呼ばれるもので、自分の属性の魔法で生き物のようなものを作り、それに乗って移動&闘うことをする。魔力の量が多くないと難しい。その人の属性の水だったり、風だったり、火だったり、土だったりで生き物の形を形成するらしい。

ロビ兄がよくこしらえる魔法の鳥は、仕草がかわいい。本当に意思を持っているかのような動きに見える。そんな評価が高くて、動きもかっこいいので、魔導騎士クラブの練習中は女の子がワンサカ群がる。

アラ兄とロビ兄はモテモテなのだ。

まだ領地からあまり出ていないエリンとノエルにしても、すでに期待値でなのか、評判がいい。

つまり何が言いたいかというと、シュタイン領の評判もさることながら、未来も希望が持てるとして、ウチと仲良くなりたい人が大勢いて、それには子供が婚姻を結ぶのが手取り早く。婚約の申し込みもすごかったのである。それ以前ももちろん申し込みはあったけど、今は途切れることがない。

一時期外国からのそれもすごくて慄いたけど、国が国を通して連絡をしたようだ。

わたしが聖獣と神獣に守られていると国のトップには伝えられた。それはあの家に何かしたら、怒った聖獣と神獣に国を潰されるだろうと言い渡されたのと同じことだそうだ。

実際はわたしが聖獣と神獣、たまたま友達になっただけ。護り手や守護者には〝大地の〟と枕詞がつく。特定の人族に思い入れなどしないというのが本当のところだけど、各国が勝手にウチは肩入れされていると思い込んでいるのだから、誤解していてもらおうと思う。

国として国が潰されるのは困るから手出し禁止と思っているけど、民にそう伝えた場合、国を偽って何かすれば、その国を滅ぼしてもらえるんじゃ、とか、何かしなくても聖獣や神獣をただ見てみたいと何かするものが出てくるかもしれない。

そこで各国は、手を出したその人ピンポイントに何かが返ってくるだろう、わたしが聖なる加護と神の加護両方を持っていると伝えたみたいだ。片方を持つ者はいるが、両方の加護があるのはレアで、しかも死角なしって認識になるらしい。

そんなわけで、外国からのアプローチは今はなりを潜めている。ガゴチぐらいかな、わたしをまだ諦めていないのは。留学してきたガインがうるさい。隠れても、おつきの鳥かネズミに居場所がバレる。

アダムは第1王子としてガインと会っている。第1王子は罪人、そして亡くなったが、学園で顔を合わせ、一瞬驚いた顔をしたけれど、全て察したみたいだった。アダムも脅されたり何もされていないそうだ。その何もないのも不気味だけど。

もふさまが顔を上げ、リュックからもふもふ軍団がでてきてぬいぐるみを解いた。デルが御者台にいるので、部屋に入るまでいつもぬいぐるみでいるんだけど。

え、もふさまが大きくなって。

ロビ兄にも抱えられた。

馬車が急に止まる。傾いてる?

抱え込まれていたので、衝撃は少なかったが驚いた。

今跳ねたよね、馬車。

「おぼっちゃま、お嬢さま、お怪我はありませんか? 申し訳ございません」

デルが大きな声をあげた。

「こっちは大丈夫だ、何があった? デルは怪我してないか?」

ロビ兄が中から声をかける。

「私は大丈夫です。すみません、道が悪かったようです。……車輪が……」

ロビ兄がわたしを離して、もふさまに預ける。

「ちょっと見てくる」

そう言ってドアを開けて、馬車から飛び降りた。

少ししてドアが開く。

「車輪が外れた。リー、家まで歩けるな?」

わたしはもちろん頷いた。

もふさまとレオが顔を見合わせたから、なんか嫌な感じだ。

でもわたしと目が合うとレオはすまして小さくなり、リュックの中に入った。

アラ兄が先に降りて、屈んで降りようとしたわたしを抱きおろしてくれた。小さくなったもふさまは自分から飛び降りた。

追い越して行った立派な馬車が少し前で止まる。

そして中からゴージャスな身なりの人が降りてくる。

ハの字の髭をはやしている。

「これはアランくん、ご機嫌よう。困りごとかね?」

「ドナイ侯爵さま……」

アラ兄が呟いた。