軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1181話 レクリエーション④合同授業の報告

クラスの委員長であるスコットとレニータ、風紀委員であるというかクラスのボスであるイシュメル。それから貴族のオスカーと何もわかっていないけど同じ貴族ということでわたしも一緒にヒンデルマン先生のところへ行った。

委員長たちは元々この合同授業の報告をすることになっていたそうだ。

大勢で押しかけたからか、先生はちょっと目を大きくした。

「どした? 問題か?」

「問題にならないといいなーという感じの問題です」

「隣の 室(へや) へ行こう」

先生は察したのか、隣の会議室にわたしたちを招いた。

みんなが椅子に座ると先生は促す。

「それで、何があった?」

みんなスコットを見たので、スコットは微かにうなずく。

スコットはあったことを先生に話した。

1年B組との合同授業は和やかに始まったこと。

先生が質問を考えてくるように1年生に言っていたようで、スムーズに質問箱にその質問を書いた用紙は集められた。

4年生がその箱から質問用紙をひく形で、それに答えていった。

最後の質問は先生と意見が違う時、どうするかというものだった。

回答者はキャシーで、キャシーはひとりで先生に意見して、もし怒られたらと思うと怖いから、怒られたとしても自分の何がおかしかったのかも言ってくれるだろう友達のいるところで、尋ねると言った。

キャシーは自分を怖がりで臆病者だと言いながら、自分の意見を胸にしまっておく選択肢はなかったと先生に告げる。

スコットはキャシーの答弁で、先生と意見が違った時、言わない選択肢はないんだなって思ったんだろう。

なるほど、そういうことか。わたし、そこまで考えてなかった。

でも、確かにそういうことだ。キャシーは怖いとか言いながらも、自分の思ったことは伝えるスタンスだってことだね。意見が違うから黙っておくって考えはない。

スコットは続ける。

「その答えに1年生が勇気づけられたみたいで、その質問を書いた子が自分が書いたと挙手したんです。そして自分も勇気を出して言うと」

スコットはひと呼吸置く。

「先生は平民に聞きたい質問をかけと言ったみたいなんです。

その子は学園の理念とも違うし、わざわざ「平民」って質問に言葉を入れるのもバカにしているようで嫌だった。友達にも聞いてみたら、そうしなくて成績に影響があるのは嫌だから、質問に「平民が」って言葉を入れたようです」

「そういう質問があったのか?」

「はい、ほとんどに平民に向けての言葉が入っていました。貴族のクラスだとそういう考えになるのかなって俺は思ってたんですけど……」

「その子がはっきりと違うと思うといったら、先生顔を青ざめさせて怒りそうになったんです。そうしたらオスカーが……」

スコットに続けて言ったレニータは、上目遣いにオスカーを見た。

「派閥問題がより深刻化しているみたいですね。でもそれを生徒に押しつけるようなことをしたら、〝お仲間〟からも排除されてしまいますよ?って言いました」

オスカーはさっき1年の先生に言ったことを繰り返す。

ヒンデルマン先生はあーーと言うように目を伏せた。

「そしたら先生、合同授業は終わりですって終わらせて出ていったから、質問したやつが泣き出しちゃって」

イシュメルはそう一気に言ってから、今度は慎重に言った。

「先生、俺さその子に大丈夫だって言っちゃったんだ。あの勇気を哀しい記憶にしちゃいけないって思ったから。先生、俺は大丈夫にするために何ができる? 何をすればいい?」

先生は場違いに嬉しそうな顔をした。

「は? 何笑ってんの? 笑えること言ったつもりないんだけど」

イシュメルが声を荒げる。

「いやー、みんな成長したなーと思って。人のことをそんだけ思いやれるようになったんだと思ったら、感動しちまったよ」

先生は感慨深そうだ。思ったより本気で感激している感じ。

ある意味、失礼だけどっ。

「俺はオスカーの言った意味がわからない。派閥問題って何? それがなんで平民にこだわった質問をしろってことになるの?」

スコットが尋ねた。わたしも同じ気持ちだ。

「あー、それなー。派閥のことはあんまり生徒に言いたくないんだけど」

先生は頭をかいた。その仕草はワイルドで、公爵家の人間で、理事長とは思い描きにくい。

「教師は貴族だ。それは知ってるな?」

わたしたちはうなずく。

「貴族は王を支える。君主には心から仕えたい。だから王に対して並々ならぬ想いがある。派閥とはその想いが分かれてできるものだ」

「派閥の意味はさすがに知ってますけど」

スコットが拗ねたような声を出す。

先生は口をへのじに結んでうなずく。

「学園の教師も真っ二つに割れてるんだ、思想が」

「真っ二つ、ですか?」

そういったオスカーにとほほ笑いを向ける。

「思想は2つだろ。そのどちらにも属したくない派がひとつ増えて、3種類に分かれはするけどな」

なるほどね。

「一つは平民を貶せ思想なんですか?」

レニータの言葉に思わず笑いそうになる。笑い事じゃないんだけど。

だって平民を貶めろって思想って、なんかパンチがありすぎる。

「んーだからな。現王太子は平民に寄り添った思想をお持ちだ。それをよく思う派と、よくなく思う派がいるってことだ」

あー、それで王太子を支持する派と、王太子は違う人がなるべき派となって、違う人がなるべき派は平民に卑下思想に行きがちなのね。

「そんなのは別にいいよ。んで、1年生は大丈夫なのか? あの先生に嫌がらせとかされないか?」

イシュメルはブレずにそこをプッシュした。

「B組は不運続きだな」

と先生がこぼした。

「どういうことです?」

「学園に入った初年度に担任が2回も変わったら、きついだろうと思ってな」

「え? まだ1学期中なのに、すでに1回、先生が変わってるんですか?」

先生がちらっとわたしを見る。

ん?

「解雇されたんだ。ゲラント・オマリー先生は」

ルン髭? ルン髭って1年B組の担任だったの?

「ってことはあの女性の先生も解雇になるんですか?」

「生徒に強要するのは見過ごせないことだから職員会議にかける。

もちろん担任、それから生徒たちにも話は聞く。

思想的には平民寄りの王は他国から簡単に落とせると思われがちだし、貴族でばっちり固める政治を良しとしている派でも、教職をとってるものは基本的に子供のことを大切に思っているから、子供に強要とかは嫌うんだ。

オスカーが言ったように、同派閥からも子供にそんなことをしたとわかった時点で爪弾きにされる。だったら解雇にした方が本人のためにもいいかもしれない。

本人の希望も聞くことになるだろうけどな」

なんかわたしとしては、先生から先生に、「平民を下に見るなんて教師がそんな態度とっちゃダメでしょ」って注意が飛んで、先生も「すみませーん、気をつけます」そして表面的には「みんなもごめんね、先生反省した」って感じで丸くおさまっていくんじゃと思っていたんだけど、どうやらもっと深刻なことになりそうだ。