軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1120話 逆の定義②目的と手段

ブライ以外のメンバーが秘密基地にそろった。

ブライにはフォンで参加してもらうって手もあったけど、盗聴されていたら厄介なので、事後報告となる。

ちなみにドラゴンの件は簡単にではあるが伝えてある。

みんなドラゴンをわしゃわしゃしている。もふもふ軍団をもふってきたアラ兄、ロビ兄もだ。赤ちゃんの成長はいちじるしく、相変わらずわたしにひっつきたがるものの、他のことにも興味津々。気になったものに突撃しては、驚いてわたしのところに帰ってくるを繰り返している。

いくどか来ているメンバーには慣れてきているみたいだ。みんなもドラゴンが寄ってくるのが嬉しくてかまい倒すので、遊んでもらって大喜び。

兄さまとアダムには完全に慣れた。もふさまとレオには言わずもがなだ。人族とは違うってわかるのかね?

「何かわかったのか?」

ソファーに座り、お茶を一口飲んで、ロサが切り出す。

兄さまが答えた。

「シュタインの父上にフォンを入れたんだ。ドラゴンの件の詳細を話そうとしたら、何やら騒がしくて。昨日来たお客さんにより話が進展したように思われたらしく、リディーに側室入りを祝う贈り物がひっきりなしに届いているらしい」

カップを置くと赤ちゃんが顔を突っ込むので、テーブルに置けない弊害が。

と思ったら、イザークはそのままにしてクリスタルちゃんに紅茶を飲ませた。

というか、カップに顔を近づけ、熱さに驚いたようで飛び退く。

そっか、自分で気づかせた方がいいのかとみんなもカップをテーブルに置いたので、赤ちゃんたちはそれぞれ興味あるカップに近づき、熱さに驚き興味を無くした。

「それはまた、失礼だな」

ダニエルが憤慨する。

「その通りだ。リディーの婚約者である私はもとより、ロサ殿下に対しても失礼な話だ」

兄さまがいうと、ロサも大きく頷いた。

「話が進展したと思わせた客人は誰だったんだい?」

アダムが尋ねる。

「モンティス公爵さまだ」

みんな息をのんだ。

「な、なんだって廃妃の父上が、シュタイン家に?」

イザークが驚いた声をあげる。

赤ちゃんたちはテーブルの上に飽きたようで、今度は集団でレオに挑み出した。レオはいい感じにあしらっている。

「少し前に、廃妃が9年前シュタインの母上にしたことを知ったそうだ。

その実行犯が馬車の転落事故で亡くなった。実行犯が王都に向かっていたのはモンティス公に呼び出された。だから連絡がいったのだけど、モンティス公は呼び出したりしていない。

モンティス公は普段から命を狙われているそうだ。それも今までやってきたことの報いだと思っていたけれど、このことで廃妃のしたことも含まれているんじゃないかと思ったそうだ。それでどこの誰だかはわからないけれど、9年前の呪いの件で動き出したものがいるかもしれないということを、父上に知らせに来た」

「……どうして〝今〟なんだ?」

ロサが苛立った声を上げる。

「リディーもそう言った。それで思ったんだ。私たちの受け取り方が逆だったのではないかと」

「受け取り方が逆?」

口に出したロサだけでなく、みんなも眉根が寄っている。

かくいうわたしも、兄さまがあれ以上説明してくれなかったので、みんなと同じ状態。意味がわからない。

「シュタイン家への攻撃は、誰かが時期を選んでぶつけてきたものだったんだ」

「時期を選んで? 何年も前からのことを調べ上げ、今、ぶつけてきた、と?」

アダムの問いに、兄さまはうなずく。

「今ぶつけることに何の意味が……?」

と考えこんだアダムが顔をあげる。

「そいうことか!」

「どういうこと?」

ロビ兄が眉根を寄せている。

レオへの突撃に飽きたのか、今度は赤ちゃんたちは揃ってごろんとしていたもふさまのお腹に寄り添った。甘えている。

「シュタイン家を潰すとか、それが目的ではなく手段だったんだな?」

アダムが兄さまに確認とばかりに尋ねる。

「恐らく」

と兄さまは答えた。

うとうとしだしたのはグロウィングちゃん。他の子はまた気になるところへと動き出し、わたしの手には銀龍ちゃんが頬を寄せてきた。

「オレもわからない。手段ってどういうこと?」

アラ兄が不安そうな顔だ。

ロサの手にいた稲妻ちゃんがパタパタと羽ばたいてアラ兄の頭に辿り着く。

飛ぶのが上手くなった。

「シュタイン家への攻撃をも追求の意がある試験が始まったから、余計に思いつかなかったけれど、元々これは王位継承権を誰かが得るために仕組まれたこと、そう仮定すると一気に筋が通るんだ」

ええっ?

わたしたちが固まると、手を止めたわたしたちを促すように赤ちゃんたちが一斉に鳴き声を上げる。

ああ、ごめんと銀龍の首をカキカキする。

「王位継承権を巡ってだとして、なんでウチがかかわってくるんだ?」

ロビ兄がわたしの聞きたいことを聞いてくれた。

「それは多分リディア嬢に執着して害をなそうとしている者が、この騒動のバックにいるからだ」

「待って。わたしに恨みのある誰かが、わたしを巻き込もうとしているのはわかる。この一連のことが王位継承権を巡ってことに仮定するとして。今までの状況と何が変わるの??」

わたしはそこがわからない。

「今までは別個の問題だと思っていた。けれど、君を絡めているのは執着だとすれば、見えてくる筋がある」

え? 見えてくる筋?

首が傾ぐ。

「わたしは見えない」

わたしが挙手すると、ロビ兄、アラ兄、ルシオ、イザークも手をあげる。

他の人、見えてんの?

「誰だかはわからないけど、私のこともバンプー、そしてコリンのことも潰す気なのはわかる」

え? ロサとバンプー殿下、コリン殿下も?

「王位継承者だけではなく、ユオブリアを潰そうとしているように感じるな」

と呟いたのはダニエルだ。

「〝ドラゴン〟を使ってか」

とアダムがため息。

ちょっと少数で話を詰めないでよ。置いてけぼりなんですけど!

「ドラゴンをユオブリアに持ち込んだのは、セローリア家を陥れるだけでなく、ドラゴンたちにユオブリアを壊滅させようとしたってこと?」

ルシオが乾いた声をあげると、ロサがうなずく。

「多分、ね。よくよく考えてみれば今までもなんで〝今〟と思ったことがある。それがひとつならそういうこともあるかもしれないが2つ揃えばそれは偶然じゃない。

たとえば9年前の関係者がもうひとりいた」

「「「マハリス!」」」

イザーク、ルシオ、アラ兄が声を揃えた。

そうだ。集会の関係者と思われるひとりは、マハリス邸事件の縁者。事件があったのは9年前。なぜ今、と思ったけれど、わたしに難癖つけるために集められて出てきたのかと思えば、前のことだけれどそういうものかと思ってしまった。

ウチを巻き込みたいのは必須みたいだけど、兄さまのいう通り順番が逆だとしたら? ウチを傷つけたいのではなく、王位継承権を奪うためにウチを手段としているなら? 9年前のマハリス邸。9年前の母さまへの呪い。それも利用する気なら?