軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

09-45 突入

正面、と思しき出入り口。開いたままのそこからランド61から80が突入してから約15分。

礼子、アン、そして仁の身代わり人形『デウス・エクス・マキナ』も入っていった。

「間違いありません。ここは昔の砦跡です」

構造を確認したアンがそう言った。

出入り口を入った所がホールのように広くなっている。転移してきた兵士の待機所である。

ヤダ村の遺跡と同じく、奥の床に 転移門(ワープゲート) の名残が残っている。とはいえ、残っている部分はわずかで、再現できる望みはない。

砦を放棄した際に破壊したのであろう。

そこから正面に通路が延びる。通路への出入り口にはかつては警備兵がいたであろう窪みがあり、今はそこにゴーレムがいるのだが、ランド隊に破壊されて動かない。

「少し行けば階段があるはずです」

アンの先導に従い、進む3体。

その言葉通り、20メートルも進むと、上下階へ通じる階段となっていた。

「地下は兵器庫、階上は司令室へ通じます。どうしましょうか?」

礼子の判断を仰ごうと、アンが振り返った、その時。階下から何者かが上がって来る足音が響いてきた。

「!」

礼子は一瞬身構えたが、魔力パターンを感じ取ると、それがランド隊のものであるとわかり、剣の柄に掛けた手を放した。

上がってきたのはランド70と71であった。

「これはお嬢様。地下は兵器庫だったようですが、壊れたゴーレムや、使い物にならなくなった魔導具ばかりでした。ランド41から60も合流しまして引き続き調査中です」

その報告を聞き、礼子は上を目指すこととした。

「上へ行きましょう」

そこでランド70、71も連れて階上へ。

「おや、先客が」

2階廊下に出る扉は開け放たれており、廊下には西側から入ったはずのランド91から100がいた。

「お嬢様、雑用ゴーレムがいるばかりです。全て無力化しましたが」

ランド100が礼子にそう報告した。

「おそらく司令室に相当する場所は4階です、行きましょう」

アンがそう促した。礼子は肯き、ランド100達に声を掛ける。

「あなたたちは引き続きこの階を調査して下さい」

そして礼子達は3階へ。

3階への扉も開け放たれて、そこにはランド81から90がいて、調査を進めていた。

礼子達はそこもランド隊に任せ、4階へ。

階段はそこで終わり、丈夫そうな扉が行く手を塞いでいた。

「お嬢様、まずは私たちが」

ランド70はそう言って、71と共に扉を押した。が、びくともしない。

「中でかんぬきが下ろされている感じです。どうしますか?」

開ける手立ては幾つかある。それを尋ねたのだ。

その時仁が連絡してきた。身代わり人形が口を開く。

『今、ランド61達が 統一党(ユニファイラー) 員を見つけた。全部で17人いたが全部無力化した。そいつらを尋問した結果、司令室は4階らしい』

「今いる階ですね」

『そうだ。おそらく『黄金の破壊姫』もいるだろう。十分注意しろ』

「わかりました。この扉はどうしましょう? 力ずくで開けますか?」

『そうだな、 超高速振動剣(バイブレーションソード) で叩き斬れ』

仁が、身代わり人形『デウス・エクス・マキナ』の口を借りて指示を出した。

「はい、お父さま」

礼子が答え、剣に手を掛けたが、扉前にいたランド70が自分の 超高速振動剣(バイブレーションソード) で扉を斬り裂いていた。

礼子は少しだけがっかりする。そんな礼子に身代わり人形が、

『礼子、お前は真打ちだから、やたらと前に出なくていい』

と慰めるように声を掛けた。そして、

『あと、この人形に『お父さま』というのは止めておけ。そこにいるみんなもそうだが、『マキナ』と呼ぶように』

デウスというのは神のことであるから、仁も遠慮して、『機械』を意味するマキナ、を身代わり人形の通称と決めたようだ。

「はい、マキナ様」

そして一行は扉を越え、4階に足を踏み入れた。

そこは比較的広い廊下で、絨毯が敷かれていた。

「間違いありません。この奥は司令室です。この砦はかなり高位の司令官が担当していたに違いありません」

ランド70と71が並んで先頭に立ち、その後ろに『マキナ』、 殿(しんがり) は礼子とアン。やはり並んで進んでいく。

左右には幾つかドアがあり、開けて中を確認していったが、特にめぼしいものは無かった。

そしていよいよ正面扉を残すのみ。

「開けます」

ランド70と71が扉を引いた。今度の扉には引き手が付いていたからである。

ゆっくりと扉が開いていく。かんぬきは掛かっていなかったようだ。

「気をつけて下さい」

アンがそう言った、その時。

人一人が通れるくらいに開いた扉の隙間から、槍を持った金色と銀色の影が数体飛び出してきた。ゴーレムである。

「やはり!」

注意を払っていた礼子は、即座に 超高速振動剣(バイブレーションソード) を抜き放ち、襲ってくるゴーレム2体をたちまちにして斬り伏せた。

剣技は知らなくても、礼子の身体能力に付いてこられるゴーレムはそうはいない。

そしてランド70と71も、それぞれ1体ずつ敵ゴーレムを倒していた。

金色が2体、銀色が2体。計4体の敵ゴーレムが転がった。

「これで終わりでしょうか?」

アンがマキナをかばいながらそう言った。この一行の中で一番弱いのがマキナ、次がアンである。

「多分そうでしょう」

そう答えながら、ランド70と71は再度扉に手を掛けた。

今度は何も飛び出してくることはなく、扉は開け放たれた。

「ここまで来たか」

彼等の正面奥には、初老の男が座っており、先ほど倒したものと同じ、金色と銀色のゴーレムが左右に立っている。

そしてもう1体、2メートルほどあるゴーレムが、男の真正面を避けるようにして、礼子達の前に立ちはだかっていた。

「私こそは 統一党(ユニファイラー) 主席、ドナルド。君たちには私の最高傑作、ゴーレム457号が相手する。行け!」

その声と共に、ゴーレム457号は床を蹴り、アンに襲いかかった。

初老の男、つまり現在の 統一党(ユニファイラー) の主席ドナルドは、礼子の規格外さを 魔導投影窓(マジックスクリーン) で見ていたため、一番与し易そうなアンを狙ったのである。

確かにアンはあまり強くはない。

「バリア」

だが、仁から授けられた 守護指輪(ガードリング) を作動させる程度の素早さはある。

そして、 守護指輪(ガードリング) は、かつて礼子の30パーセントでの打撃を防いでいる。

ゴーレム457号の拳はアンの手前10センチで止まっていた。

「な、何!?」

一瞬止まった457号の胴体を、ランド70の 超高速振動剣(バイブレーションソード) が薙いだ。

超高速振動剣(バイブレーションソード) の前には極限まで硬化を掛けられた鋼鉄といえどもさしたる抵抗も出来なかった。

上半身と下半身に分かれた457号が重い音を立て、床に倒れる。

「な、なな、ななな……私の最高傑作が……」

青ざめるドナルド。そんな彼に向かってマキナ=仁が声を掛けた。

『こんなのを最高傑作だなんて情けない。最高傑作はいつでも『ネクスト・ワン』だ』

礼子は黙ったまま、その言葉に肯いた。

「ぐぬぬ……生意気な! 古(いにしえ) の技術がそんな簡単に負けるわけがない! そうだ! 負けないぞおおおお!」

だがドナルドは目の前の事実を認められないらしく、半狂乱になりかかっていた。

『アン、 麻痺銃(パラライザー) だ』

見かねたマキナ=仁が指示を出す。アンは即座にバリアを解除し、 麻痺銃(パラライザー) をドナルドに浴びせた。

「ぎゃっ」

そしてもう一度、 衝撃(ショック) に切り替えてから再度浴びせる。

衝撃(ショック) では波長の関係なのか、それとも波形の関係なのか、気絶しない者もいるのである。ゆえに精神操作されていると思しき相手には2度浴びせる必要があるのだ。

ドナルドが気絶すると同時に、左右に立っていた金銀のゴーレムが襲いかかってきたが、ランド70と71にたちまち倒されてしまった。

「さて、ここに黄金の破壊姫がいるのかと思ったのですが、いませんね」

礼子が部屋を見回してそう言った。

「あら? おねえさま、あそこに誰か倒れています」

同じように部屋を見回していたアンが、壁に掛かったタペストリーの陰に倒れている人間を見つけた。

「誰でしょう?」

発見したアン、礼子、マキナがそこへ行ってみる。ランド70と71は周囲を警戒だ。

倒れていたのは老人だった。その怪我を調べたアンは、

「胸骨が折れていますが、まだ生きているようですね」

と診断。なにか有益な情報を持っているかも知れないと、マキナ=仁は持ってきた回復薬を使う事にする。

胸の傷に塗布すると少し老人の呼吸が楽になったようだ。そこで今度は口から飲ませる。

回復薬を何とか飲み込んだ老人。呼吸が規則的になり、血色も戻ってきた。

そして老人は目を開けた。