作品タイトル不明
33-36 対守護神
「よし、計画を詰めよう」
転送銃の準備を終えた仁は、蓬莱島にいるメンバーを呼び集めた。
仁、エルザ、グースといった顔ぶれだ。
「700672号からも聞いたんだが、『 始祖(オリジン) 』の考え方は、我々とは異なっている点も多い。そこは気をつけなきゃいけないな」
「確かにな。我々にとって当たり前のことが、彼等には当たり前じゃないというのはあり得る。その逆も然り、だ」
「ジン兄、特に気を付けるべきことは、ある?」
仁は頷いた。
「ああ。まずはそれを話そう。『 始祖(オリジン) 』は、人口減少を経験しているからか、殺人を極端に嫌うらしい」
あるいはモラルの問題かもしれない、と仁は補足する。
「その一方で、自分たちが最高、というか、選民思想めいたものも持っているようだ」
「まあ、あれだけの技術を持っていれば、それも頷けるか」
『ですが、 守護神(ガーディアン) の性能はさほど高くはないです。ランド隊の半分くらいかと推測されます』
ここで老君が分析結果を述べた。動作の様子や、周囲の 自由魔力素(エーテル) 濃度、材質などから割り出したのだ。
『魔物のいない地域ですので、それでも十分すぎるほど強力ですね。瞬間的にはもう少し出せるでしょうが』
普通の動物を相手にするだけなら、十分なパワーである、という。
「それでも油断は禁物だけどな」
話を戻し、計画の検討に取りかかる。
「とにかく、不確定要素が多すぎる」
と、仁。グースもそれを受けて意見を述べる。
「転送銃で 守護神(ガーディアン) を転移させてしまう、それはいいが、何体出てくるのか」
「それはとりあえず銃10丁とカートリッジ100個を用意した」
「それで足りたとして、そのあとに何が起きるのか、わからない」
これでは、とても計画とはいえない、行き当たりばったりな行動指針である。
『ですが、やってみないことには始まりません』
「そうなんだよな……」
『 始祖(オリジン) 』が持っているはずの惑星改造技術。ゆえに、『長周期惑星』接近による災害を防ぐために、その技術が欲しい。
少なくとも協力を仰ぎたい、と仁は思っているのである。
「やるしかないか」
当たって砕けろ、とばかりに、仁は決断した。
これには700672号に、
『失敗しても、この星が危うくなるような反応をすることはないだろう』
と言われたからでもある。
『わざわざ手間をかけて改造したこの星が危うくなるなら、きっと力を貸してくれるだろう』
とも。
「『長周期惑星』接近の証拠は用意しておく必要があるな」
『 御主人様(マイロード) 、夜空にかなり明るく輝いていますので、夜がいいかもしれません』
老君も助言をくれた。おそらく『鉛の海』などが光を反射しているのだろう。
少ない情報で最善を尽くすため、仁たちは知恵を寄せ合っていく。
そしてその夜、決行することになった。
* * *
『オノゴロ島』が夜なら、蓬莱島は昼である。
向かうのはランド隊。ランド11から15までの5体である。
1体が改造された転送銃2丁を持ち、それぞれ20個のカートリッジを携帯している。
前回と同じように、転送機を使って5体は送り出された。
〈何をしに来た、 意志を持つ操り人形(ライブパペット) どもよ〉
前回同様、 守護神(ガーディアン) が1体現れた。
「この惑星に危険が迫っている。話を聞いてほしい」
まずは来訪の目的を明らかにする。
〈その必要はなし。 疾(と) く立ち去れ〉
前回同様、とりつく島もない反応だ。
「では、失礼して」
ランド11は転送銃を構え、発射した。
一瞬で 守護神(ガーディアン) が消える。
『 守護神(ガーディアン) 、東の小島に無事転送されました』
スカイ隊のラプターから送られてくる映像を確認し、老君が報告した。第一段階は成功だ。
「頼むぞ……うまくいってくれよ」
〈何をした、 意志を持つ操り人形(ライブパペット) よ〉
十数秒後に、 守護神(ガーディアン) がまた1体現れた。
「話を聞いてほしい。この惑星に危機が……」
〈立ち去れ〉
今度の 守護神(ガーディアン) も聞く耳を持たないようだ。
ランド11は転送銃を発射した。
〈 意志を持つ操り人形(ライブパペット) よ、敵対するつもりなりや〉
〈 意志を持つ操り人形(ライブパペット) よ、力ずくで排除される前に立ち去れ〉
今度は2体の 守護神(ガーディアン) が現れる。
が、相変わらず聞く耳を持たないので、これも転送銃で転移させる。
〈 意志を持つ操り人形(ライブパペット) よ〉
〈 意志を持つ操り人形(ライブパペット) よ〉
それからも、2体、3体の 守護神(ガーディアン) が現れるが、いずれも話を聞いてくれず、やむなく転送銃を使う。
それらはランドを排除しようと襲いかかってくるものもあったが、老君の分析通り、ランドの敵ではなく、転送銃によって転移させることができた。
そうして、32体の 守護神(ガーディアン) を転送させた後。
〈 意志を持つ操り人形(ライブパペット) よ、目的は何だ〉
明らかに、これまでの 守護神(ガーディアン) とは外見が異なるゴーレムが現れたのだった。
身長は2メートル程度。人間によく似たシルエット。
おそらく 守護神(ガーディアン) の上位存在であろうと思われた。
『 御主人様(マイロード) 、第二段階です』
「よし、交渉は、老君主導でランド11にやらせろ」
「私たちは、この星、アルスを守護しようとするもの。聞いてほしいことがある」
〈何を戯れ事を、と言いたいところであるが、 守護神(ガーディアン) を消した手並みは見事なり。話を聞こう〉
「感謝する。では、まずは空を見上げてほしい」
ランド11は、天頂を指差した。
「天頂のやや北、 月(ユニー) のそばに、明るい星が見えるかと思う」
〈見える〉
「その星は『長周期惑星』だ。このアルスに高速で接近中なのだ」
〈その『長周期惑星』というのが、『モデヌ』であるなら、確かに情報にある。1203年10ヵ月の周期で太陽セランを巡っている惑星だ〉
やはり 始祖(オリジン) は『長周期惑星』の情報を持っていたのであった。
いよいよ第三段階である。