軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

33-34 SP投入

蓬莱島が夜、ということは反対側のオノゴロ島は昼である。

視界がよいので、空からはスカイ隊のラプターが支援しつつ、マーメイド隊による海中の調査が進められていく。

オノゴロ島本島は、円錐状の島である。周囲を『C』型の岩が取り囲み、防壁となっており、本島の西側において細い地峡で繋がっている。

また、『C』の字の開口部には2つの島があって、門衛のようだ。

そしてもう1つ、小さな島が随伴するように本島の東側にぽつんと浮かんでいる。

『海中には罠や施設はないようですね』

海中に警備のゴーレムなどがいないのは意外であった。

『ですが、長い年月の間に動作不良を起こした可能性もありますか……』

残る未調査箇所は本島と付随する3つの島である。

『意外と、小島の方に何かがある可能性もあるんですよね』

老君は自分なら、本島にはメインとなる 魔導機(マギマシン) を置き、小島に制御装置を置くだろうと考えたのだ。

『さらに慎重に調査するように』

老君は念を押し、報告を待つことにした。

とはいえ、マーメイド隊は人魚型なので、陸上の調査には不向きである。そのため、海中から島の周りを周回しつつ、調査をしていく。

それぞれ小さい島なので、1時間も掛からずに周回できる。

念には念を入れ、3周して何もめぼしいものが無いことを確認。

残る調査対象は本島である。

一方、スカイ隊は高度を落とし、小島の陸上部分を調査していた。

小さい島なので、植物類は苔と草、わずかな灌木だけ。上空からの確認に支障はない。

『少なくとも、見える部分には異常なし、ですか』

報告を受けた老君は、そのまま本島の調査をするよう指示を出した。

『ふむ、やはり一筋縄ではいきませんね。調査要員を送り込んだ方がいいでしょうか……』

この場合、適任なのは『 忍(しのび) 部隊』であるが、さすがに専用の超小型 魔力貯蔵器(マナボンベ) は用意していなかった。

『と、なりますと次善ということで『 隠密機動部隊(SP) 』ですね』

『 隠密機動部隊(SP) 』は、再編成してからというもの、適宜投入と方針を変更したため、仁をはじめとするファミリーのメンバーに常時張り付くことはなくなった。

故に手空きのメンバーがいるわけである。

『標準成人男性型の『エルム』『アッシュ』が空いていますね。彼等に任せましょう』

万全の装備を調えた後、転送機により2体は送り出されたのである。

* * *

オノゴロ島本島に着いた直後、エルムとアッシュは空間に満ちているはずの 自由魔力素(エーテル) がほとんどなくなったことを感知した。

もちろん、 魔力貯蔵器(マナボンベ) があるので行動に支障はない。

2体は、老君からの指示に従って行動を開始する。

「まずは周囲の確認」

「次いで地下の調査、だな」

エルムとアッシュは 魔力貯蔵器(マナボンベ) の魔力を使い、『 地下探索(グランドサーチ) 』を発動した。

「……これは……?」

「何か地下にあるようだな」

空洞の存在が感知されたのである。

「他の地点も探ってみよう」

「それがいいな」

一箇所を重点的に探るのは後にして、まずは全体像の把握に努める2体。

島を移動しつつ、地中を探っていく。

おおよそ島の4分の1ほどを調査した時、それは現れた。

〈何をいたしておるのか、 意志を持つ操り人形(ライブパペット) たちよ〉

全身が鈍い 銅(あかがね) 色をした、身長2.4メートルほどのゴーレムである。オリハルコン製かもしれない。

〈ここは侵すべからざる聖地なり。速やかに立ち去るべし〉

エルムとアッシュは、このゴーレムに関しての映像を老君に送り続けている。

そして老君は、ゴーレムに対して交渉すべし、と指示を出した。

「この島がどういう役目を持っているのか、どうか教えていただきたい」

エルムが頼むが、ゴーレムの反応は冷淡だった。

〈その必要はない。 疾(と) く立ち去れ〉

アッシュが食い下がる。

「そこをなんとか。そもそもそれを知るためにここへ来たのですから」

〈くどい。勧告に従わなければ力ずくで排除することになる〉

ここで老君は、2体に1つの試みを指示する。

「 自由魔力素(エーテル) が少ないことと何か関連があるのですか?」

すると、 銅(あかがね) 色のゴーレムは少し違う反応を示した。

〈それくらいはわかっているのか。然り。この島は管理島なり。さあ、立ち去るべし〉

「情報感謝します。どうすれば、それ以上のことを教えてもらえますか」

「どうすればよいか、どうか教えていただきたい」

老君の指示に従って食い下がるエルムとアッシュ。

〈言った筈だ。ここは聖地である。本来なら誰も踏み入れることは許されていないのだ〉

「貴方の役割は何なのですか。 守護神(ガーディアン) ?」

〈その呼称を知ってはいるのか。そうでなければここまで来ることもできぬだろうな。だが、それでも聖地を侵すことは許さぬ。立ち去れ〉

「どうしても?」

〈どうしてもだ〉

どうあっても、ゴーレムの意志は変わらないようだ。

「わかりました、ここは立ち去ることにします」

〈 疾(と) く 去(い) ね〉

ここは引くべしと、老君は指示を出し、エルムとアッシュは転送装置を使い、短距離の転移を行った。

転移先はオノゴロ島付近で待機している巡洋艦『梓』の中。

『ご苦労でした、エルム、アッシュ』

老君が2体を 労(ねぎら) う。

『不完全な接触でしたが、 守護神(ガーディアン) と思われるあのゴーレムについて、いくらかわかりました』

その情報は、早速仁に報告された。

「……やはり 守護神(ガーディアン) がいたのか」

『はい、 御主人様(マイロード) 』

700672号から注意されていた 守護神(ガーディアン) 。その性能や役割について、老君はそれなりに分析していた。

『外装はオリハルコン製で身長は2.4メートルほど。これが『 始祖(オリジン) 』の標準なのかもしれませんね』

ゴーレムを作るとき、目的にもよるが、警備用であるなら自分たちより若干大柄に作るだろう、と老君は推測した。

が、同時に、大きすぎると、生活空間での行動に不都合が生じる(例えば天井に 支(つっか) える、ドアを通れない、など)であろうから、節度ある大きさ、ということになる。

「性能はよさそうだな」

送られてきた映像を見る限り、全体的なバランスはよさそうだ。

外見も、全くごつくなく、軽鎧を着込んだ騎士、といったイメージがある。

また、わずかな動きしか観察できなかったが、動作も洗練されている。

『ですが、パワーはどうでしょうか』

老君も意見を述べる。

『 自由魔力素(エーテル) がほとんどない地域で動いているのです。 魔力貯蔵器(マナボンベ) のような対策をしているとはいえ、大パワーを長時間出せるとは思えません』

「だな」

得られた情報は少ないが、それを使って今後の方針を決める作業を、老君主導、仁検討、という流れで行っていくのであった。