軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ぶっ倒して終わりだろ?-11

「メノウ……師匠はどうやって掘り進んだんだ?」

「シャベルでドリルのように身体を回転させて掘り進んでいた。そして私はそんな鏡殿の腰に捕まり一緒になって回転して地獄を見た」

その時を思い出してかメノウは、「うっぷ」と口を抑えて表情を歪ませた。そんなメノウの顔を見てレックスも表情を歪ませる。

「物は試しだ……とりあえずやってみるか」

意を決したのかレックスは唾を飲むと、先程まで歪ませていた顔を一変させてピリッとした張り詰めた空気を纏わせる。まるで挑戦するとでも言うかのようにシャベルを握り返すと地面へと視線を向けた。そのまま素早くシャベルを動かして掘り進めようとするが、再生するかのように盛り上がる土塊のせいで全く進む事が出来ないまま数分が経過する。

「よし……諦めよう」

「やる気になってから諦めるの早くないですか? ちょっとー、どこ行くんですか!」

周囲に土を撒き散らせただけで特に何の進展も無く、再生しない地点まで掘り進めた穴から出て来ると、レックスはシャベルを投げ捨ててスタスタとどこかに行こうとするが、ティナに向けられた冷たい視線に気付いて歩を止めて振り返る。

「どうしようもないだろう! 僕達はまだ制限解除をする前の師匠程のステータスすら持ち合わせていない! この中でステータスが平均的にバランスよく一番高いのは恐らく僕だ。僕にどうしようもないならもう諦めるしかないだろう?」

「タカコさんがいるじゃないですか、レベルもタカコさんの方が上ですし……力と素早さだけならタカコさんの方が上なんじゃないですか?」

ティナの言葉に一同はタカコに視線を向ける。暫く黙ってじーっと堀り進めた穴を見つめていたタカコも、その視線に気付くや否や大きな溜め息を吐いて首を左右に振った。

「無理ね。私も前に話は聞いて知っているけど、制限解除をしていない鏡ちゃんで少ししか掘り進めなかったって言ってたから。……私も少しずつなら掘り進められるかもしれないけど、まず体力が持たないわ。別の方法を考えるしかないわね」

「……この地面を掘ろうと思えば再生が追いつかない程の速度で掘り進む必要があります。となれば、再生が追いつかない程の速度で掘り進むか、圧倒的な力で一気に破壊するように進むか……この二択の内のどちらかでしょう。無論、それは一人の力では無理です」

「鏡ちゃんを除いて……ね」

デビッドはレックスが掘り進んだ穴の中へと入ると、土塊を片手に取り、打開策がどこかに残されてないか模索する。暫く悩んだ後、「ふむ」と答えが出たかのような声を漏らすと、穴から出てタカコへと視線を向けた。

「一人の力で無理なのであれば、この場にいる全員の力を使えばあるいは道を切り開けるかもしれません。というより……それ以外に方法はありません」

「全員の力を合わせるって……どういうことですかデビッド?」

「はい、恐らく皆様はこの三年間の修行により、強力な技……もしくは魔法を身につけられているかと思います。その技を交代で順番に地面に向かって撃ち放つのです」

強力な魔法や技を発動するには、発動までにそれなりの時間が掛かる。その間に土塊は再生してしまうが順番に強い魔法や技を発動するならその間を発生させないため理には叶っているが、クルルは何故か思案顔を見せる。

「確かにそれなら一気に掘り進むことは出来るでしょうが、少なくとも……私の使える一番威力の高い魔法は広範囲に影響があるので、それをしようと思えば魔法と技の被害を受けないように作った穴の上から撃つ必要があります。仮にもし、ダンジョンまでの穴を開通出来たとしても、飛び降りている間に再び土塊が盛り返してしまいませんか?」

「大丈夫よ」

すると、クルルの不安を振り払うように、タカコがクルルの肩をポンッと叩いて親指を立てる。

「最後の順番を私に回して皆で最後に穴の中へ飛び降りればきっと大丈夫よ。確かに飛び降りるタイミングはシビアだけど、私の攻撃は全部拳による攻撃だから周囲への被害はないし」

「確かに殴打であれば周囲への被害はないでしょうけど……殴打で掘り進めることが出来るとは思えません。確かにタカコさんは防御力を無視するスキルを持っているので、こんな土塊なんてプリンのように掘り進められるんでしょうけど……」

「あら? 私のスキルは一つだけじゃないわよ?」

するとタカコは微笑を浮かべると、「はぁぁあああああああああ!」と、見るだけで腰が抜けてしまう程に険しい表情で全身に力を溜め始める。徐々に筋肉が肥大化し、全身にチャージブロウを発動するときに発生するオレンジ色のオーラに包まれていく。

「た、タカコさん……そのスキルは一体?」

「え? これはただ力を入れて身体を活性化させてるだけよ? ついでにチャージもしてるけど」

それを聞いた瞬間、どんどん人間離れしていくタカコの『普通』に全員が遠い目をする。クルルは額に汗を浮かばせながら、「そ、そうですか」と呟き。レックスは、「女……とは?」とただただ目の前に存在する筋肉の塊に驚愕し続けた。

「ほらほら、とにかく大丈夫だから皆準備しなさい! 全員でやれば……きっと鏡ちゃんの力に追い付けるはずよ。いえむしろ……そうじゃないと私達が行く意味なんてないわ!」

そしてタカコが力を溜めながらも激励を飛ばすと、全員の顔つきが変わり、各々が魔法、技を発動するために魔力や力を溜め始めた。