軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25.戦うキャンピングカー

一曲が終わると、次の曲が流れ始める。

「あっ、私が選んだ曲ですね。この大音量、体に響くリズム、最高にハイテンションになります!」

「う、運転してテンションが上がっているのに、音楽でさらにテンションが上がるとどうなるの……?」

「こやつ、絶対にスピード出すぞ。ほら、もうスピードが上がっておるじゃないか!」

「風を切って進むの気持ちいいですねー!」

私とサリサが戦々恐々としている中、ティナだけはハイテンションにアクセルを踏みまくる。どんどん速くなっているのが分かって、怖い!

「ティナ! 安全運転だからね!」

「おぉっ、景色が速い! ティ、ティナ! 少しは落ち着かんか!」

「大丈夫です! 私は正気ですよ! この曲に合う速度にしているだけです! 楽しいですよね!?」

キラキラの笑顔を向けて、同意を求めてきた。だけど、それには同意が出来ない!

「……車を止めて一曲選んだ弊害がここに」

「わ、わらわのせいじゃないぞ! でも、そうしないとティナが可愛そうだったからじゃないか!」

「まぁ、それはそうだけど……」

結局あの後、車を止めて一曲だけ買うことになった。ティナはリズムの良い曲を、サリサは踊りに向いている曲を。選んでかけると、車内はとても賑やかになった。

それはいい。みんなが楽しければ、私も楽しい。だけど、ティナはノリにノッてスピードを上げだした。いい曲聞けば、もっと走らせたい気持ちは分かる。だけど、抑えて欲しかったなぁ。

私たちはどんどんスピードが上がっていく中、恐怖で車にしがみついていた。

「……ん?」

その時、サリサが体を前に出して正面を見つめる。

「何かあったの?」

「……先に魔物がいるようじゃ。あれは……狼の魔物か。かなりの数がいるみたいじゃが……」

「えっ、そうなの?」

「迂回したほうが良さそうですか?」

ティナの質問にサリサが頷くこうとすると――その目がより一層険しくなる。

「いや、群れの中に人がいるみたいじゃ」

「人!? それって、襲われているってこと!?」

「危ない状況ですよ!」

「今にも襲われそうな気配じゃな」

落ち着いてそんなことを!

「とにかく、助けないと!」

「うむ、そうじゃな。じゃが、あの数を相手にするのは、ちと大変じゃぞ。わらわならまだしも、お前たちは無理じゃろう?」

た、確かに……。どれだけの数がいるのか分からないけれど、サリサが苦言を言ってしまうほどに戦力差があるのだろう。

でも、サリサを一人で危険な場所にいかせるのも――。

「だったら、私に任せてください。このキャンピングカーで魔物を倒します」

「えっ? ど、どういうこと?」

「このキャンピングカーに私の風魔法と火魔法を付与させて、突撃します。そうしたら、集団に襲われなくて安全です」

「そ、そんなことが出来るの?」

「出来る気がします。見ててください!」

「「わっ!」」

言い終わると同時にティナがアクセルを踏み込む。どんどんスピードを上げていくキャンピングカー。外の様子を見てみると、キャンピングカーの周りに鋭い風が吹き荒れていた。そして、そこに火が混ざる。

キャンピングカーはあっという間に、風の刃と炎をまとった巨大な塊になった。

「えっ!? ほ、本当に突っ込む気!?」

「や、やめるんじゃー! わらわが戦うから、それでいいじゃろう!?」

「このキャンピングカーが凄いっていうところを見せてあげます!」

ダメだ、ハイテンションになっていて私たちの言葉が届かない! 覚悟を決めて車体にしがみつくと、キャンピングカーは群れに突進していった。

そして、風と火の魔法をまとったキャンピングカーによって――吹き飛ばされ燃やされた。たくさんの狼が吹き飛ばされ、一瞬で絶命していく。

そして、群れを通り過ぎると――ティナは思いっきりハンドルを切った。

「反転します!」

「ま、回る! キャンピングカーが回ってるよ!」

「うわぁぁっ! 体が吹き飛ばされる!」

ぐるぐると回転するキャンピングカー。だけど、そこにまた圧力がかかる。猛スピードで群れに向かって突進を始めた。

「さぁ! 残りの魔物も倒しますよ!」

「い、今ので数が減ったんじゃない!? あとは手で討伐しようよ!」

「いえ、まだ数がいます! このキャンピングカーで排除したほうが安全です!」

「こっちのキャンピングカーの方が危険じゃ! ぬわぁぁっ!」

正面から狼の集団が襲い掛かってくる。ティナはそれに臆することなく、アクセルを全開にして突っ込んでいった。

接触した瞬間、大きな衝撃と共に、狼たちが吹き飛ばされ、燃やされる。こ、こんなの怖くて、黙ってみていられないよー!

「ティナ! もういいんじゃない!? 狼たちの数が減ったよ!」

「……まだ、いましたね。もう一度やります。反転!」

「ま、また回るーっ! うわぁぁっ!」

ティナがハンドルを切るとキャンピングカーがまた回転する。ジェットコースターよりもジェットコースターしているキャンピングカーって他にないよ!?

そして、グンッとスピードを上げて、キャンピングカーは突進していった。

「さぁ、殲滅しますよ!」

ティナを運転中にハイテンションにしちゃダメだ! 絶対!