軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ、キノコ?

「ああ、いいぜ」

「勿論です、イストファ」

「……! ありがとう」

快諾する2人に頭を下げようとしたイストファは、肩を抑えられ「わっ」と声をあげる。

「頭を下げる必要はねえよ。どの道、お前が強くなるのは俺達にとって良い事だからな」

「そうですね。流石に虫相手に格闘戦は出来ませんし。イストファの武器を強くするのは理に適ってます」

「うん、頑張るよ!」

「頑張るんじゃねえ。無茶しねえ範囲って言っただろが」

「そうですよ。今日はもう無茶したばっかりなんですから」

カイルに小突かれ、ドーマに窘められてイストファは苦笑する。

確かに今日はゴブリンヒーローと戦って、その後ゴブリンガードとも戦っている。

しかも腕をすっ飛ばされたばかりだ。ちょっと考えられない無茶かもしれない。

「うん、分かってる。無茶はしないよ」

「だといいんだがな」

「まあまあ、とりあえず先に進みましょう」

カイルを宥めながら促すドーマに頷き、イストファは再び先頭を進み歩き出す。

進もうと思えば木々の間も進めるかもしれないが、今は道を外れる理由もない。

迷宮のように曲がりくねった道を進み、角を曲がって。

ドムッ、ドムッ、ドムッ、と。複数の何かが跳ねる音をイストファは耳にする。

視界に映る範囲には何もない。けれど……この先の曲がり角から近づいてくるような音。

「カイル、ドーマ」

「ああ。初撃は任せろ」

「お願いしますね、2人とも」

態勢を整える3人の前。曲がり角の先からやってきたのは3体のイストファ達の半分くらいの大きさの……赤い傘のキノコだった。

いや、ただのキノコではない事はその正面に顔のようなものがついている事から理解できる。

しかし、一階層のゴブリンやグラスウルフと比べるとあまりにも違う在り方に、一瞬イストファの理解が遅れた。

「キ、キノコ?」

「いくぜ、ファイアボール!」

カイルの構えた杖から大きめの火球が射出され、キノコ達に命中し爆炎を撒き散らす。

だが、やはり威力の問題か多少焦げただけのキノコ達は大きく跳ねるとイストファ達をギロリと睨みつける。

「オオオオオオオ……」

「オオオオ、オオオオオオ……」

「オオオオオオオ」

恨み節にも聞こえる不気味な声をあげながらキノコ達は弾むボールのようにイストファ達へと迫り、そこに再度カイルのボルトの魔法が炸裂して一体を後方へと吹き飛ばす。

「いけ、イストファ!」

「うん!」

メイスを構え走るイストファは、大きくジャンプしてイストファを踏み潰そうとするかのような一体の攻撃を横っ飛びで避けるが、続いてタックルを仕掛けてきたもう1体の攻撃をマトモに受けて「ぐっ」という呻きと共に地面に転がってしまう。

「イストファ!」

「……しまっ、うあっ!」

生まれた隙を逃がさぬとばかりに先程回避した一体が跳び、イストファを踏みつける。

メキリという骨の軋むような音を感じながらも、イストファは全身の力を使いキノコを弾き飛ばす。

然程重くはないのが幸運であっただろうか。もう少しキノコ達に重量があれば、今ので戦闘不能になっていたかもしれない。

だが、それでは終わらない。吹っ飛ばされて戻ってきた残り1体のキノコがイストファに体当たりを喰らわせて、大きく吹き飛ばす。

「うぐ……っ」

「イストファ!」

走り寄ってきたドーマがイストファを受け止め、馬鹿にするような笑顔を浮かべて跳ねるキノコ達を睨みつける。

「イストファ、メイスを一度返してください」

「え……?」

「恐らくですが、あのキノコ達はそんなに頑丈には見えません。イストファの短剣でも斬れるはずです」

「……うん」

イストファがメイスを渡すと、ドーマは立ち上がり手の中でメイスをクルリと回転させる。

立ち上がったイストファも短剣を抜き、シャンッという涼やかな音が森の中に響く。

やはり、こっちの方が手になじむ。そんな事を考えながら、イストファはドーマと並び立ちキノコ達を睨みつける。

「私が一体押さえます。イストファはすみませんが、残り二体をお願いします」

「任せて」

「では、いきますよ……カイル!」

「ああ、いくぜ!」

駆け寄ってきたカイルが二人の間から杖を差し込み、キノコ達へと向ける。

「フリーズコフィン!」

一体のキノコの周囲に現れた氷の粒が殺到し、キノコを氷の塊の中に閉じ込める。

それでもカイルの魔力の問題か、ガタガタと氷の塊を割ろうとして暴れるが……それで充分。

イストファとドーマは視線を交わし合うと武器を構えて走り出す。

残り二体のキノコ達も仲間を助けるという思考はないのか、イストファ達を迎撃するように跳ねて接近してくる。

「でやあああ!」

イストファの短剣が再び踏み潰そうとしてくるキノコを躱しながら横薙ぎの一撃を喰らわせる。

予想していたよりもアッサリと切り裂いた感触と、キノコの「オアアア」という悲鳴のような声。

その向こう側では、ドーマのメイスがキノコを弾き飛ばしている。

「よし、いける……!」

「油断しないで!」

「うん!」

キノコの身体からは血のようなものは出てはいない。

そもそもキノコだからそんなものはないのかもしれないが……切り裂かれた部分をそのままにイストファへと敵意を向けてくるキノコへと、イストファは油断なく短剣を構える。