軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

こういうのを見ると

「モ、モンスターだあああ!!」

「騎士団は何をしてる⁉ 早くあの化け物をどうにかしろおお!」

逃げ惑う貴族達は重臣であり、それ故に会場を警護していた緑鎧騎士達はその対応にかかりきりになってしまい、王を警護している白剣騎士団は審判役の1人以外は当然のように王を最優先している。

だが、そのうちの1人がステラの居る場所まで走ってきて敬礼する。

「ステラ殿! 陛下より、あのモンスターの……」

「お断りよ」

「討伐依頼が……はっ?」

即座に断られ困惑した様子をみせる白剣騎士に、ステラは満面の笑みを浮かべる。

「イストファの命くらいなら守るけど。別にこんな国の王族、滅びようと私はどうでもいいのよねー」

「し、しかし!」

「それに、ほら」

ステラの指さす先。そこにはミノタウロス・ラゴウと戦うイストファの下へと走っていく4人の姿があった。そう、4人……である。

「カ、カイラス様!? それにブリギッテ様まで!」

「美しきは友情。それと責任感ってやつかしら。こういうのを見ると『捨てたもんじゃないな』って思えるから素敵よね」

そう、ステラに動く気配がないのを見て取ったカイルはすぐに走り出していたし、直後にドーマとミリィも走り出していた。そして……ブリギッテも。

ブリギッテは当然だがイストファのパーティメンバーでもなければ友人でもない。しかし、そうしなければという気持ちに突き動かされたのだ。

「なっ……カイラス様にブリギッテ様!? 危険です!」

「言ってる場合か! ミリィ! アイツの動き止められるか!」

「やってみますけど、相当時間が必要です!」

「よし! じゃあドーマ、ミリィのフォロー頼むぜ!」

「ええ!」

「それじゃ、いくぜえええ! メガン・ボルト!」

カイルの放った強大な電撃がミノタウロス・ラゴウを吹き飛ばす……まではいかずに、しかし揺らがせる。

響いた轟音に逃げようとしていた貴族の一部が足を止め、それを放ったカイルを驚きの表情で見る。

「今の魔法は、カイラス様が……?」

「馬鹿な。玩具の魔法士と呼ばれていた、あの方が……」

そんな雑音など、当然のようにカイルの耳には入らない。どうでもいいからだ。

「よく分かりませんけど、時間が必要なら……!」

ブリギッテが、ドレスの隠しポケットからガラス管を数本、指の間に挟むように取り出し投擲する。

かなり手慣れた動きで放られたガラス管はミノタウロス・ラゴウの身体の表面で割れると、その身体に根付き一気に成長を始める。

「グガ……!?」

「吸血ヤドリギですわ……私の特製でしてよ、効くでしょう!」

ミノタウロス・ラゴウを縛り付けるように成長する吸血ヤドリギは……しかし、ミノタウロス・ラゴウが身体の表面に奔らせた炎で焼き尽くされてしまう。

だが、それを隙とみてとった白剣騎士の剣とイストファの振るったルーンレイカーがミノタウロス・ラゴウを打ち据え……それでも斬れずに弾かれてしまう。

「くっ……硬い!」

「炎だ少年、避けろ!」

「その身の自由を、許さない……目は閉じよ、喉は涸れよ! 腕よ、足よ、指よ、その身の全てはすでに汝のものならざりければ……此処に呪神の法をもちて、宣言する! 束縛の呪い!」

ミリィの杖から放たれた紫色の輝きがミノタウロス・ラゴウに吸い込まれ……再び、その動きが停止する。だが、それも一瞬。ミノタウロス・ラゴウの放った炎をイストファ達が回避する程度の隙しか作れはしなかった。

「ダメです、魔力が違いすぎます……! 束縛系はそんなに効果がないです!」

「充分だ! ライトブレイドォ!」

カイルの放った光の刃がミノタウロス・ラゴウに命中し……しかし、光の刃が砕け散るのを見てカイルが「げっ」と唸る。

「マジかよ……! って、うおっ!」

ミノタウロス・ラゴウがカイルを睨み、炎を放つ。

カイルの身体能力では避けきれないそれを……しかし、ドーマがカイルを抱えて跳ぶことで回避する。

「全然効いてませんよ⁉ どうするんですか!」

「知るかバカ! 俺だってなあ、アイツが普通のミノ程度だったならぶった切る計算だったんだよ!」

「ケンカしてる場合ではなくってよ!」

再びブリギッテがガラス管を投げつけるが、ミノタウロス・ラゴウはそれが自分に当たる前に炎を放ち焼いてしまう。

「もう対応しましたの……!?」

「あー、くそっ。大体ルーンレイカーで斬れねえってのは想定外だぞ……!」

そう、イストファのルーンレイカーは先程から何度もミノタウロス・ラゴウに命中してはいるし、放たれる炎をマジックイーターの能力で吸収することで形態を保ってもいる。だが、その身体を貫くには至っていない。

それでもミノタウロス・ラゴウはイストファが最大戦力だと分かっているのだろう、あるいはガラハドの執着がまだ残ってでもいるのか……白剣騎士をも無視してイストファを狙い続けている。

「考えろ……このまま闇雲じゃ勝てねえ。やはりどう考えても俺達の勝ち札はルーンレイカーだ。だが、どうすりゃ……」

イストファの振るうルーンレイカーの放つ光は、もうだいぶ弱くなっている。魔力不足であるのは見て明らかだが……だからといってどうすればいいのか。

「魔力だ。なんとかあの剣にデケえ魔力を吸わせりゃ……」

だが、イストファは魔力を一切持ってはいない。

カイルやドーマ、ミリィが近づいて悠長にルーンレイカーに魔力を注ごうものなら、その隙をミノタウロス・ラゴウは見逃しなどしないだろう。

「……魔力?」

そして、カイルの呟きに……ブリギッテは、心当たりがあった。