作品タイトル不明
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「ああ、あの子ね」
「あれだけ遊んでいたら仕方がないよ」
だよね~
私だって毎日ダンジョンに潜っていても、家族の会話は十分してきた。
そこでオルセロー嬢の情報も共有している。
彼女は随分遊んでいたようだ。それも婚約者のいる相手とばかり・・・・・・身体の関係までもって夏季休暇の間に2組の婚約を壊したとか。
よく学園に来れたよね。
今ごろ父親のオルセロー男爵は多額の慰謝料を請求されて頭を抱えているだろうに。
でも、いつもならオルセロー嬢の側には誰かしら男子生徒がいて庇っていたのに今日は一人もいない。
「あれも嘘泣きね」
「誰かが助けてくれるのを待っているようだけど無駄だね」
「ええ、皆んな謹慎させられて休んでいるか、次にあの子に近付いたら廃嫡か家を追い出すって言われているそうよ」
そこまで情報を掴んでいるのも驚きだけれど、他家にもオルセロー嬢の噂が入っているのだろうね。
誰が噂を流したかは・・・・・・ねえ?
このまま何事もなかったかのようにオルセロー嬢が学園に通えるとは思えないんだよね。相当な恨みを買っているだろうから、庇ってくれる人がいなければ危険だよね。
てか、 フ(・) ィ(・) オ(・) ナ(・) の記憶によればオルセロー嬢は、リオネル殿下含む男子生徒たちと親しくしていても誰かと身体の関係があるという噂は一度もなかった。
まあ、婚約破棄や解消された男子生徒は何人もいたけれどね!
ラシュベル様やグレン様もその中に入っていたからね!
今回はフィオナの中が私になって、飛び級したことも関係があるのかもしれないけれど、殿下たちがオルセロー嬢のアピールに見向きもせず、親しくしていないことが意外と大きいのかもしれない。
それにしてもアンバー様は別として、私が入学するまではリオネル殿下たちも前回と同じようにたくさんの令嬢たちと親しくしていたと聞いていたのに、今はラシュベル様はリナ様に、グレン様はベルティナ様に捨てられないように必死になっている。
そして、リオネル殿下はエル姉様へのバレバレな好意に気付いてもらおうと頑張っている。
この変化がどう私に影響するかはまだ分からないけれど、あと約半年ほどで学園は卒業する。それまでは気は抜けない。
いえ、彼女は既に影を使って人に危害を与えている。
その証拠を掴んで必ず責任を取らせる。
そして、オルセロー嬢に隠された秘密も暴く。
今の フィオナ(私) はそれだけの力を身につけているのだから。
今回は殺されたりしない。
家族を悲しませたりしない。
誰が呼んだのか、先生の介入でオルセロー嬢が解放されたようだ。
顔を上げた彼女の顔には一筋の涙の跡すらなかった・・・・・・
「強かな子ね」
「ええ」
ホントそれだわ。呆れる。
あの日以降オルセロー嬢が学園を休んでいるとの噂が私の耳にも入ってきた。
噂の内容は予想通りのもので『家に監禁されている』『慰謝料の支払いで学園に通えなくなった』『たくさんの人から恨みを買って恐怖から家から出られなくなった』などなど。
本当の理由は分からないけれど、学園に登校してきたとしても男子生徒たちは、もうオルセロー嬢の側によることはないのは確かだ。
そうなると、女子生徒たちから嫌われてる彼女は一人でいるしかない。
後ろ指をさされてつまらない学園生活になるだろうなぁ。
なんて思っていたら登校してきましたよ!
何事もなかったかのようにね!
休んでいる間に何があったのか知らないけれど、か弱いイメージだった彼女はどこに行ったのか、コソコソ話す令嬢たちをキツく睨んでから素通りして行く。
「彼女、次に問題を起こしたら家を追い出されるそうよ」
「・・・・・・そう」
「何か仕掛けてくるなら、フィーが卒業するまでの間だろうね」
「そうね。接点が無くなるもの」
「・・・・・・」
前回までと全然違う。
今の彼女が私の命を奪ったとして、一体彼女に何が残るのだろう?何を手に入れられるのだろう?
私は公爵令嬢だ。
本来なら男爵令嬢の彼女がどうこうできるような地位ではない。
ここは高位貴族の令嬢に怪我をさせても問題になるような世界だ。
それに何かあれば家族が黙っていない。
少し考えれば分かることだ。
前回までだって報復はあったはずなのに・・・・・・
フィオナの命を奪った彼女はその後生きていられたのだろうか?
その時、彼女は後悔をしたのだろうか?
何(・) 度(・) も人を殺めるような人間の考えなど理解しようとするだけ無駄なのかもしれない。
もうすぐ冬季休暇に入る。
まだ彼女に動きはない。
見かける度に一人でいる。
もう、彼女に蕩けるような顔をする者も、甘い言葉をかける者もいない。
今期、最後になる昼食を摂りに食堂に向かっていた時だ。
パチンッ!
隣にいるエル姉様の方から弾けるような音がした。
「エルシア嬢!大丈夫か?」
エル姉様を庇うように前に立っていたのはリオネル殿下だ。
有難いのだけど今回ばかりは余計なお世話だったかな?
まあ、コレも特訓の成果が出た結果なんだろうけれどね。
私たちも対策を立てていたのにな。今回は無駄になっちゃった。
「ええ、問題ありませんわ」
「やはり影を使っていたか」
おやおや?リオネル殿下も気付いていたのかい?
そのまま公爵家に用意されている個室に向かった。
そこでリオネル殿下たちが話してくれたのは、ベルティナ様やリナ様が誰もいない階段で突き飛ばされたのは間違いないという状況から、影を使った黒魔法ではないかと推測したらしい。
まあ、リオネル殿下なら王家に仕える影の存在を知っているだろうから黒魔法の使用に辿り着くのは安易に想像できただろう。
彼らは彼らで犯人を捕まえると意気込んでいるので、まあ頑張ればいいと思う。
私は私で彼女との対決が近いことを感じていた。
明日が今期の終業式だ。
明日何事も無ければ冬季休暇明けになるだろう。
・・・・・・それにしても私ではなくエル姉様を狙ったのは絶対に許さないわよ。