作品タイトル不明
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~クスター・オルセロー男爵令嬢視点~
どういうこと?
どうなっているの?
あたしはヒロインでしょう?
市井でお母さんと2人で暮らしていた。
朝から晩まで働き詰めのお母さんのお陰で、贅沢はできないけれど、食べること、住むところに困ることはなかった。
服だって近所の人にお下がりを貰ったり、 お(・) 友(・) 達(・) が買ってくれたりで、いつも身綺麗で過ごせていた。
過労から突然お母さんが亡くなって、これから誰に頼って生きていけばいいのか途方に暮れていたそんな時、あたしの父親だと名乗るオルセロー男爵・・・・・・お父様があたしを迎えに来てくれた。
自分が貴族の娘だったと知って驚くよりも当然だと思った。
ずっと こんなところ(市井) であたしが終わるはずがないと・・・・・・いつか今よりもっと良い暮らしをあたしなら必ず手に入れられると思っていたから。
だって、市井にあたしより可愛い子はいないから。きっとお金持ちで素敵な人に見初められるという自信があった。
連れていかれた先は大きなお屋敷だった。
あまり歓迎されていない事は、出迎えた使用人の顔を見ればあきらかだった。
それから今日からあたしの部屋だと無表情な使用人に案内された部屋は、可愛らしい家具に大きなベット。
クローゼットには色とりどりの新しいドレス。
可愛らしいあたしに相応しい部屋だった。
残念なのは部屋にはトイレは付いているけれど浴室までは付いていなかったこと。
その夜の晩ご飯で父親から家族を紹介された。
眉間に皺を寄せたキツそうな妻と、あたしに目も向けない腹違いの兄。
・・・・・・こんな2人と上手くやっていけるわけがない。
妻がグチグチと何やら言っていたけれど、目の前に並んだ料理を早く食べたくて頭に入ってこなかった。
その後、使用人たちにお風呂に連れて行かれ、頭のてっぺんから足の爪の先まで無表情だけれど丁寧に洗ってもらった。
そのままふかふかのベットに潜って、朝起きた時には前世の記憶が蘇っていた。
頭をぶつけたわけでもなく、高熱が出たわけでもなく起きたら前世の記憶があった。
で、ここまでの状況を思い起こせば・・・・・・
あたし転生したんじゃないの?
コレって、もしかして・・・・・・あたしはヒロイン?
まず市井で暮らしていた。
母親が亡くなる。
貴族の父親が迎えに来る。
男爵という地位の低さ。
まるで乙女ゲームのヒロインの境遇そのまま。
でも自分の名前だけでは、どの乙女ゲームか小説か漫画かそれともアニメか一致する記憶はない。
仕方がないわね。
天真爛漫だとか純新無垢だとかよくあるヒロイン都合の頭の悪い女になるつもりは無い。
でも、その技は使うつもりだけどね。
これは男爵夫人に頭を下げるしかないわね。
朝食の席で男爵夫人にこれから先のことを聞いた。
よかった。間に合いそう。
あたしは約1年後に王都にある学院に通うそうだ。
今のあたしは文字も読めないし書くこともできない。
このまま学院に入学しちゃうと、攻略対象者と恋愛する前に退学させられてしまう。
それに、前世の時から思っていたんだけどヒロインって礼儀作法やマナーが身についていないパターンが多かった。
そのせいで嫌味を言われたり、バカにされたりしていた。
あたしだったら完璧な令嬢になって誰にも文句は言わせないヒロインになるのに!って思っていた。
だから決めたっ!
男爵夫人にきつく当られようが、どんなに大変でも礼儀作法とマナーだけは身につける!ってね。
もちろん読み書きも覚えて勉強も頑張った。
そして努力の結果、完璧な令嬢となり学院に入学した。
そうそう入学前に魔力と属性検査が行われ全属性だった。この結果、やっぱりあたしがヒロインだと確信した。
・・・・・・入学式の日に何かしらのイベントが起こりヒロインと攻略対象者の一人が出会うのが王道でしょ?
誰にも出会わなかったんだけど・・・・・・
もちろん、あたしは可愛いから周りからの視線は痛いほど集めていたけど、見るからにモブばかりだった・・・・・・
生徒会長のリオネル殿下が壇上に立った時は、彼が攻略対象の1人だと分かった。
調べれば騎士団長の息子や、宰相の息子も、大商会の息子もいた。
全員、タイプは違うけれど凄い美形。
結局、この国の名前や攻略対象者の名前を知っても前世で散々やってきた乙女ゲームの記憶とは一致しなかったけれど、全部に手を付けていた訳じゃないからこの世界を知らなくても仕方ないと早々に諦めた。
でも内容やイベントにそう大差はないだろうし、あたしがヒロインで間違いない。
だったら・・・・・・慌てなくても攻略対象者とのイベントは必然で起こるはず。
それまでは近くのモブで我慢すればいい。
これといった出会いイベントもないまま、最初の魔法の授業のとき、自慢の全属性を 1(・) つ(・) ず(・) つ(・) お披露目してやった。
周りからの嫉妬や羨望の眼差しが気持ちいい。
これが決め手となり、一気にあたしに話しかけてくる男子生徒が増えた。
でも、やっぱりモブばかり・・・・・・それでもその中から見た目のいい男だけを側に置くことにした。
だけど、そのモブの婚約者だと名乗る女や完璧な作法やマナーを身につけたあたしに礼儀がなっていないと文句を言ってくる女が後を絶たない。
結局はヒロインのあたしに対する嫉妬や妬みだろうけれど、いちいち相手にするのは面倒で、か弱いフリしてモブ達に守ってもらっていた。
そんな時、飛び級で3年に入った女が全属性を無詠唱で同時に使用したとの噂が耳に入ってきた。
はあ?そんな女が居たらあたしの存在が霞むじゃない!
校舎が違うから会うことはないだろうけれど・・・・・・面白くない。
少し心がやさぐれていた時、大商会の子息であるアンバーと出会った。