軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13

~レオニール回想~

『フィー!時間をかけ過ぎだ!』

『魔法無しってジンが言ったからでしょ!』

『これぐらいの試練なら簡単に乗り越えろよ』

『確かに無駄な動きが多かったわよ』

フィオナ嬢の戦闘はいつの間に終わっていて令嬢とは思えない砕けた口調で言い合っていた。

3人とも黒髪・・・・・・この3人はあの有名な『異界の使者』じゃないのか?

SSランクが2人とSランクが1人。冒険者の間だけでなく、国の上層部にまで名の知れた有名なパーティー『異界の使者』

この国にたった4人しかいないSSランクの冒険者の内2人が『異界の使者』だと聞いた。

ではフィオナ嬢がSランクなのだろうか?

話の内容を聞けば、剣だけでこの階層まで来られて、剣だけで魔物を屠れる実力があるということだ。

ははっ、最後に見た彼女の力強い目はそのままだが、随分変わったな。

あれが本来のフィオナ嬢なのか・・・・・・よかったな。ちゃんと感情を表に出せるようになったんだな。

呆然としていたメンバーの瞳に光が戻ってきた。

彼らも気付いたのだろう。

目の前で言い争っているのが『異界の使者』だと。

『助けていただいきありがとうございました』

代表してリオネル殿下がお礼を言い、俺たちも頭を下げた。

『ああ、気にするな。俺はジン、歩けるだけの体力は残っているか?』

『はい』

『じゃあ着いてこい』

本当に着いていくだけだった。

結局、80階のボスまでフィオナ嬢1人で倒してしまった。

コレがSランクか・・・・・・レベルが違いすぎる。

フィオナ嬢がボスを倒してくれて現れた転移魔法陣で無事地上に戻ってくることができた俺たちは『異界の使者』にお礼を言って別れた。

・・・・・・最後まで俺を、いや俺たちを見なかったな。

今日はこのまま宿を取ることにし、そのままギルドの酒場で軽い食事をすることになった。

『ねえ、すっごく可愛い子だったね。僕、口説いちゃおっかな~』

アンバーは見た目もいいが、ネストール子爵家の3男で大商会の子息だけあり金は持っている。

そして女の扱いが上手い。女性には甘く優しくをモットーに、来る者拒まずで色んな女性と付き合いがある。

『ええ、とても魅力的な女性でしたね。私に婚約者がいなければお近づきになりたいと思うほどでした』

ルーブル侯爵家の嫡男で父親が宰相をしているラシュベル。

真面目で周りをよく見て気配りもできる。頭脳明晰で卒業後はリオネル殿下の側近に決まっている。

『確かに見た目は可愛らしい女性だったが、俺はか弱い令嬢の方が好ましく思う』

ラオス伯爵家の次男で父親は騎士団長のグレン。

少し乱暴なところはあるが正義感が強く、幼い頃からリオネル殿下に忠誠を誓っているらしい。

『私は気に入ったよ。あの娘、言葉遣いは悪かったが、どこか気品があったな。・・・・・・それに誰かと似ている気がするのだが・・・・・・誰だったかな』

そうだな。リオネル殿下が昔一目惚れをしたエルシア嬢の妹だからな。何度婚約の申し込みを断られてもずっと思いを寄せ続けているが、今のままでは伝わることはないだろう。

そんな会話をしていると、何やら周りが騒がしくなった。

『おい、あそこにいるの死神の使者だぜ』

『違うだろ魔王の使者だろ』

『いや、悪魔の使者って聞いたぜ』

フィオナ嬢とパーティーメンバーのジンが周囲の視線をものともせず俺たちの座っていたテーブルの隣に座ったようだった。

衝立があって会話は聞こえるが様子は伺えないことを少し残念に思いながら聞き耳を立ててしまう。

それは他のメンバーも同じで隣から聞こえる会話に集中していた。

まあ話の内容は俺とアンバーには関係のない話だったが、話が進むにつれリオネル殿下とラシュベル、それにグレンの顔色がどんどん悪くなっていった。

そうだろうな。この3人は気になる相手にヤキモチを妬かせたいが為に、婚約者以外の令嬢と親しげに振る舞っている姿をワザと婚約者に見せつけていたからな。

リオネル殿下にはまだ婚約者はいないが、エルシア嬢の気を引こうとしていたのは一目瞭然なのだが・・・・・・

殿下に優しくされて勘違いする令嬢は後を絶たない。

そして、ラシュベルとグレンに至っては自分の婚約者に素直に気持ちを伝えられないくせに、ヤキモチは妬いてほしい。が為の馬鹿な行動をしていた。

・・・・・・よかった。俺は綺麗な身体だ。

いや、何がよかっただ。

とっくにフィオナ嬢との縁は切れているというのに・・・・・・

まっ、殿下もエルシア嬢に一途だし、ラシュベルとグレンも自分の婚約者にベタ惚れだから間違いは犯したことはない。と、思う。

ただ、行動がな。

まあ、盗み聞きとはいえフィオナ嬢が言った女性目線を知れたのは、この3人にとってはよかったのだろう。

だが、知ったところで、間に合っていればよいのだが・・・・・・

そして今日、フィオナ嬢が学院に入学してくる。

最後に会ったのは5年以上前だが、俺のことを覚えてくれているだろうか・・・・・・

一度は俺の婚約者になるはずだった彼女だからなのか、フィオナ嬢が気になって仕方がない。

何か困ったことがあれば助けになってやりたいと思うのは余計なお世話だろうか?

俺には無関心だったフィオナ嬢、あの日兄姉に微笑んだ彼女の笑顔を俺にも向けて欲しいと思うのは俺の我儘だろうか?