軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【おまけ④】ワルい子三人娘はゆーうつです。

「はぁ〜、やっちゃいましたわねぇ〜」

とある、いつものお茶会。

親しい二人と作戦会議を決行した伯爵令嬢エティッチは、お行儀悪くテーブルにグッタリした。

何を隠そう、エティッチ達は『夜会でアレリラ様に対してやらかしました』三人衆である。

幼なじみであるカルダナ伯爵令嬢も、遠い目をしてズズーっとお茶を啜る。

「まさかミッフィーユ様が、イースティリア様と恋仲でなかったなんて、本当に予想外でしたわ……」

「お姉さま達、お行儀わるいですわよ〜……」

苦言を呈する妹分、クットニ子爵令嬢も声にハリがない。

「上手いこと、ミッフィーユ様にやられてしまいましたわねぇ~」

エティッチと仲良しの二人は、人の噂話とか悪い話とかが大好きだった。

そーゆーのを聞いたり話したりしながら、なるべく事なかれ主義で、金魚のフンのように社交界を泳いでいきたいと常々思っていた。

ミッフィーユ様に、それをキレーに利用されてしまったのである。

長いものには巻かれる。

強い相手には逆らわない。

今まではそーして、適度に嫌味や悪口を楽しみながら上手いことやってきたのだけれども。

「どーしましょーねぇ。今後、侯爵夫人の派閥が出来ても、入るのは難しそーですわねぇ〜」

カルダナの言葉に、他の二人は暗い顔でうなずく。

ちなみに三人とも、特にミッフィーユ様に恨みはない。

従う相手の狙いを読めないのは、手下の立ち位置では笑止千万。

その程度の機微も分からないとなると、社交界の荒波は乗り切れないのである。

「まだまだ修行が足りませんわねぇ~」

エティッチは、ミッフィーユ様という自由で後ろ盾が強く、しかも権力とかあんまり関係なーい人の側でのほほんとしたかっただけだった。

しかしこれからの社交や結婚のことを考えると、巻き込んだ二人にちょっと申し訳ない。

「情報の裏取りくらい、きちんとしておくべきでしたわねぇ〜」

イースティリア様とミッフィーユ様の噂はあまりにも『公然の秘密』過ぎたので、ついうっかり忘れていた。

ーーー嘘だけは言わないようにしてましたのにぃ〜。

まぁアレが嘘である、と知っていた人間の方が少ないだろうけれども、とエティッチはため息を吐く。

しかしグチグチ言ってるだけでは仕方ないと思ったのか、カルダナが話を進め始めた。

「でも、アレリラ様がお飾りでないとなると少々困りますわねぇ、エティッチ様。わたくしたち、真正面から喧嘩売りましたわよ……?」

カルダナの言葉は事実だった。

これがお飾りでなくとも、『ミッフィーユ様が、イースティリア様を一方的にお慕いしている』という構図ならまだマシ。

お家同士の仲が良くとも、アレリラ様とミッフィーユ様に限っては対立するという、エティッチ達的には美味しい……恋愛沙汰程度のゴシップを、特等席で楽しめる位置にいられたから。

でも、それも。

「このままだと、ミッフィーユ様はアレリラ様と仲良しさんになりそうですわねぇ、お姉様たち」

「そぉなのよねぇ〜……!」

そうなるとだ。

ミッフィーユ様にくっついて、勝手にアレリラ様に文句を言った三人娘……ということになり。

社交界での立ち位置がピーンチ! なのである。

「対立派閥に入りますかぁ〜? お姉様たち」

「無駄でしょうねぇ〜。ウェグムンド侯爵家の家名だけでなく、イースティリア様ご自身が、陛下と殿下の信任が厚いんですもの。ミッフィーユ様は公爵家で猫可愛がりですし、あそこと対抗できる派閥なんて今後存在しませんわよ〜」

少なくとも後、十数年は無理である。

夫に対する陛下の信任が厚い、ということは、女性社交界の筆頭である王妃陛下が、アレリラ様を派閥に取り込む可能性が高い、ということに他ならないからだ。

「マジ終わってますわぁ〜……」

ちょっとさえずって、ミッフィーユ様とアレリラ様の嫌味の言い合いを楽しもうとした対価としては重過ぎないだろうか。

失敗で社交界の肩身が狭くなるのはよくあることなので、婚約者もいない自分たちの結婚相手の格が下がるのは、まだ良いとして。

これが波及して、自分達のせいでお父様達の立場が悪くなったらそれこそ大問題である。

「仕方がありませんわ。ミッフィーユ様に媚びましょう!」

エティッチは、そう決めた。

「多分、わたくしたちにもう少し大人しくしなさい、って意味合いでなさったんでしょうし、しばらく大人しくして下手に出れば、お許しいただけるでしょう!」

「小物ですわ……」

「まぁ、カルダナお姉様。わたくしたちにとっては今さらですわよ〜」

エティッチ達は、別にアレリラ様やミッフィーユ様が嫌いなわけでもなければ、相手を貶めて優位に立ちたいなんてプライドも持ち合わせていない。

人の噂話とか悪い話とかが、大好きなだけである。

でも、それが社交界のパワーバランスが崩れる原因になるような、大それた立場には決してなりたくないのだ。

「そうと決まれば、ミッフィーユ様が参加なさりそうなお茶会をリサーチですわよー!」

元気を取り戻したエティッチは、いつも通りに二人と仲良く、人の噂話に花を咲かせるのだった。