軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大いなる叡智、それは力

「クルス。生産状況はどうだ?」

「バストゥール様、順調です」

王都より離れた地にて、私はとある計画を実行することにした。

ここ魔法生体研究所では魔道士協会本部の指示の下、魔法生物を作り出している。

開発主任のクルスはここを任されており、研究員達と共に日々魔法生物の研究や生産を行っていた。

以前からエクセイシア国内で密かに戦闘実験を繰り返していたが、ようやく質が安定してきたところだ。

例えば魔石を動力として動くマジックゴーレムはあらゆる属性を持たせることができる。

開発当初はステータスが20程度だったが今は最低でも100キープしていた。

強力なものであれば200超えも珍しくない。

このレベルとなれば、一級冒険者でも苦戦は免れないだろう。

「本日、マジックゴーレム七体。平均ステータスが120、レベル30です」

「まずまずだな。極力、200に近づけろ。レベルのほうは40程度あればいい」

「ハッ! しかしプリンプルンを始めとした魔法具現体のほうはいい出来です。レベルは平均45です」

「ふむ、やはり魔石などの媒介が必要ない魔法生物のほうが強力かもしれんな」

ステータスばかり重視される傾向にあるが、レベルもかなり重要だ。

敵対した者とのレベル差による補正は最大でステータスを半減以下にさせる。

レベル差が15以上もあれば、そこまで落ちてしまうのだ。

三級冒険者の平均レベルが大体30と考えれば、レベル30のマジックゴーレムが数体いれば補正がなくてもかなりいい勝負になる。

「続いてプリンプルン三体。平均ステータスが160、レベルは36です」

「上出来だ。王都で放った個体には劣るが、これも数体いれば一級冒険者との勝負も視野に入ってくる」

「エクセイシアの騎士団長のレベルが噂によれば50以上、部隊長で40程度と考えればもう少し上を目指したいですね」

「私もレベルだけでいえば騎士団長には及ばん。それにあの王子……あれも厄介だ」

「あれはレベル以前にスキルが要警戒かと……」

しかし私はさほど心配していない。

どういうつもりか知らないが、あの王子はスキルを出し惜しみする傾向にある。

それだけでも、つけ入る隙は十分にあった。

それにここで開発しているのはマジックゴーレムとありきたりな魔法具現体だけではない。

「クルス。あれの開発はどうだ?」

「超魔法具現体……。あと一歩のところです。もう少し時間があれば完成しましょう」

「あれが完成すれば、このエクセイシアを本格的に支配できる。王都ではマジックゴーレムとプリンプルン程度ですませたが、次はあんなものではない」

「今頃、王宮は大混乱でしょうな。同時に民の不信も募ります」

「それに先日、放ったマジックゴーレム数百体もそのうち王都を襲うだろう」

あの王族どもめ。

大人しくしていれば、神に選ばれし我々の裁量で生かしてやったものを。

我らを切ったことがいかに悪手か、すぐに思い知らせてやろう。

勘がよければ今頃は支部にでも捜査が入っているだろうが、そうなった時にはきちんとニーバスに指示を出してある。

出来るだけ抵抗して、いざとなれば支部を爆破しろとな。

隠し通路による脱出手段を確保しているニーバス達とは違い、敵はそのまま瓦礫に埋もれて一網打尽だ。

あらゆる情報と共に連中の戦力を削ぐ。

支部一つ手放すくらい何も惜しくはない。

我々にはこの魔法生体研究所があるのだからな。

「ここが見つからなければ、我らにはノーダメージだ」

「えぇ、そうです。周辺は冒険者ですらあまり立ち寄らない危険地帯の上にバストゥール様の結界が張られてますからね」

「それも幾重にも張り巡らせている。視覚や方向感覚を狂わせてる第一の結界、魔力による干渉以外受け付けない第二の結界……」

「監獄のバストゥール様の下に配属されて、心から安堵しております」

そう、私は魔道士としても名を馳せている。

監獄の異名はその名の通りで、結界魔法はただ身を守るものではないのだ。

「いつまでも支部長室のデスクで椅子を温めているわけにはいかん。私は魔道士として、いずれは協会の頂点に立つべきなのだ」

「このクルス、生涯お供します」

「頼もしいな。これからも」

突然、轟音が聴こえた。

魔法生物の暴走か?

そうであれば、ものによっては厄介だな。

「バ、バストゥール支部長! クルス支部長! ここが見つかりました! 敵襲です!」

「なんだと! 何者だと言うのだ!」

「例の少女とその一味です!」

「い、一体なぜここがわかった! それに結界はどうなっている!」

これは予想外だ。

それに私の結界を? 信じられん。

「クルス。超魔法生命体を出せ」

「あ、あれをですか!? まだ未完成なのでさすがに危険です!」

「あの少女はそれほどの相手だ。それに私も久しぶりに本気を出す。それと少女一味のステータス算出も忘れるな」

「了解しました。ゲートを封鎖して同時に超魔法生命体ネクスト、ネーム"ガメビトン"を解放します」

マテリと言ったか。

何やら特異なスキルを持っているのか?

神の気まぐれで与えられたものと、神が選んだもの。

どちらが上か、すぐに思い知るだろう。

私はこんなところで足踏みする男ではない。

我らの大いなる叡智の前にひれ伏すがいい。