軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大いなる野望とかどうでもいいんで

「マイプリンセス……いや、マテリ。協力、感謝する。ファフニル国の者達も、よく戦ってくれた」

「今、ぶっ飛ばそうかなって思いました」

クリード王子が深々と頭を下げてくる。

今回、シルキア王女にお願いしたら二つ返事でブライアスさんと兵隊を提供してくれた。

ついでにすっかり王女直属の親衛隊と化していた勇勝隊も。

「まずはブライアスとアルドフィン……だったかな? 君達への報酬は後ほど検討する。事後処理が済むまでは宿泊場所を手配しよう」

「お心遣い、感謝します」

「勇者として当然の仕事をしたまでです」

報酬と聞いてその淡白な反応、信じられません。

この堅物どもに欲はないのかな?

「それにしてもなんで王都に大量の魔物が?」

「わからない。マイ……マテリ。君は何か知らないか?」

「知らないです」

「南東の警備隊の生き残りによれば、突如として現れたそうだ」

あれは私が王子の前で倒したゴーレムに似てる。

次に見たのはルーシエちゃん親子を助けた時だ。

エクセイシア国内に生息する魔物だと思って気にしてなかったけど、王都内だけじゃなくて外に大量に現れたとなると――。

「報酬だ」

「なんだって?」

「報酬の匂いがする。私はめげないよ。今回はダメだったけど、辿ればそこに報酬があるはず」

「あぁ、報酬か。もちろん君にも用意しよう」

「え? あ、はい」

クリード王子に言ったつもりはなかったけど、受け取りましょう。

今回は私が勝手に動いただけだから、要求するつもりはなかったんだけどね。

さすがにこれで報酬を要求したら、物欲の化身だよ。

それより私の報酬センサーにどうにも引っかかるものがあった。

ここまでミッションが出てこないということはグランドミッションが関係してるかもしれない。

だったら思いつくことを片っ端からやってやりましょう。

「クリード王子。ちょっと耳を貸してください」

「なっ! ち、近いぞ! 君はそんな少女だったのか!」

「いいから話を進めないとぶっ飛ばしますよ」

「あ、あぁ」

クリード王子にあることを耳打ちすると、さすがに顔をしかめた。

「それは……いや、可能性としてはあるかもしれない」

「いいですよね?」

「君がやることに間違いはないと信じている。いいだろう、任せるよ」

「ありがと!」

理屈はわからないけど、不可解な現象が起こっている。

そしてこれを辿ればグランドミッションに行きつくかもしれない。

合流したミリータちゃんも同じ考えみたいで、戦場に落ちていたゴーレムの破片を拾って何か調べていた。

「言っておくが、報酬のためじゃねえぞ」

「ま、まーたミリータちゃんは私をそういう人間だと思ってぇ」

「これ、自然界に生息する魔物じゃねえべ。野生のゴーレムはここまで精巧な人型を保ってねぇからな」

「つまり報酬?」

「クリード王子、これ見てくれ」

私を完全無視したミリータちゃんがクリード王子と話をしている。

ミリータちゃんの話によれば、自然発生するゴーレムはその辺の岩とか鉱石が変異して魔物化するとのこと。

確かにいつかの鉱山で遭遇したゴーレムは歪な形をしていた。ような? どうだっけ?

「見てくれ。この破片、魔石だ。この純度の魔石がそこそこの割合で含まれてるゴーレムとなると……人工的に作られたもんかもしれねえ」

「なんだと! ゴーレムを人工的に作れるものなのか!?」

「主犯がいるかもしれねぇな」

「ううむ……。わかった、こちらでも調べてみよう」

クリード王子が考え込んで、そしてゴーレムの破片を回収していった。

お勤め、ご苦労様です。

さてと、私はというと目的地は決まっている。

「マテリ。これはどうもきな臭い」

「クリード王子にも言ったけど、次の目的地は魔道士協会支部だよ」

「はぁ? なんだってそんな……」

「ミッションがだんまりなら、こっちから近づいてやろうかなと思ってさ」

悪徳貴族達が従えていた魔道士達に近づいた途端、ミッションが発生した。

つまり魔道士狩りを狙って近づけば、ミッションが発生するかもしれない。

グランドミッション狙いも兼ねて行動するとなれば、悪くないと思う。

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ミッションが発生!

・バストゥールを討伐する。 報酬:神域の聖枝

・魔道士協会エクセイシア支部の魔導士を全滅させる。報酬:エンチャントカード・魔道士

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「ミリータちゃん、フィムちゃん。私は魔道士協会が許せない」

「わかった」

「師匠、魔道士協会が許せないとは?」

フィムちゃん、鈍いね。

ミリータちゃんはすべてを察したよ。

この王都にはびこる悪が何なのかをね。

* * *

「さぁさぁ悪の魔導士達よ! この勇者フィムはすべてお見通しなのです! あなた達がテロの主犯だと!」

「なんのことかわからんな。何の根拠があって」

「ファボアァ!」

「ぎゃぁぁぁぁ!」

魔道士協会エクセイシア支部は王都の中心地に構えていた。

入るなり、フィムちゃんが堂々と名乗りを上げるけどそういうノリはどうでもいい。

受付の魔導士に正義の鉄槌を下した後、無駄に広い迷路みたいな支部を突き進む。

「貴様ら、なんのつもりだ! こんなことをして」

「ファファファボァァァァ!」

「ぎえぇぴぃぃーーー!」

「大した腕だ! だがその程度でこの支部が」

「ファボアァッ!」

「あびゃぁあぁーーー!」

出てくるわ出てくるわ、次々と魔道士達が。

いいよいいよ。ミッション達成条件の一つは魔道士の全滅。

バストゥールってのが誰なのか知らないけど、魔導士なら同じことだ。

「そこまでだ。このエクセイシア支部一の強化魔法の使い手であるノキン様が相手になってやるぜ!」

「邪魔だべぁーーーー!」

「ぐぅふッ!」

ミリータちゃんも割と張り切ってらっしゃる。

どんどん向かってくる魔道士達を手早く討伐して、ついに最深部。

このドアの奥に偉そうに居座ってるのがきっとバストゥールだ。

残りの魔導士は片づけたからそうに決まってる。さぁ!

「ようこそ、神に見放された者達よ。この私が副支部長のニーバスだ」

「よっしゃぁぁぁ! 最後の一人ィィーーーー! ん?」

無駄に大きいデスクに肘をついているあの人、なんて言った?

えっと、周囲の取り巻きっぽいのが五人。

あの中にバストゥールが?

おかしいな。経験上、名前が出た討伐ミッションは大体ボスクラスなんだけどな。

あのニーバスはいわゆるその他大勢。

いやいや、マテリ。ちゃんと確認してからでも遅くない。

「なるほど。確かにそれは焔宿りの杖だ。そしてもう一つは……見慣れないな。一体それはなんだ?」

「この中にバストゥールっている?」

「支部長に会いたかったのかな? だがあいにくここにはいない。残念だったな」

「は? ウソでしょ?」

「クククッ、いち早く勘づいて支部長を捕えようとしたのだろうが遅かったな。まぁ少し話をしようではないか」

ココニハイナイ?

ココ・ニハ・イーナイっていう名前の報酬?

じゃあ、なに?

バストゥールを討伐できなかったら、自動的にもう一つのミッションも達成できないってこと?

「それほどのアイテムをどのようにして集めたのか、実に興味深い。我々魔道士協会はそれらが大変目障りでね……なぜかわかるかな?」

これからどこにいるのかもわからないバストゥールを見つけ出せってこと?

ふざけないでね?

「それらのアイテムを我らは神器と呼んでいる。神の力が宿りし神器を手にした者は神の力を手に入れることができる。しかし、それを手にしたのが凡人とは皮肉なものだ」

私の報酬は?

ミッションは?

「師匠は凡人などではありません! 凡人なのはむしろ神に選ばれたと驕り高ぶっているあなた達でしょう!」

「君はエルフか。ならば歓迎したいところだな。なぜなら君達は選ばれているからだ」

「え、選ばれている?」

「そうだ。その身に宿る膨大な魔力と叡智……。我々は君達を神の民と呼んでいる」

「神の民……!?」

そっかぁ。ここにきて私の報酬はお預けかぁ。

だったらどうするかな?

探すよ。探してやる。ミッション臭を嗅いで仕留める。

「そう、神の民こそが我々の計画における鍵の一つとなるのだ」

「鍵!? あなた達は一体何をしようとしているのです!」

「クックックッ……。それは」

「ファイアボァアァーーーーーールゥアァーーーーーーーーーー!」

「ぐああぁーーーーーーーーー!」

まず一人。

「な! ニ、ニーバス様が一撃だと!」

「ファボアァファファファファファファファオボボボォォルゥーーー!」

「うわぁーーー!」

「ひぃぃ!」

「グアァァ!」

はい、五人討伐完了。

でもバストゥールの討伐がまだ果たせていない。

「し、師匠……!」

「行くよ」

「は、は、はいっ! ごくり……」

逃がさない、絶対逃がさない。

私の報酬どこ? どこどこどこどこどこどこ?

逃がすか逃がすか逃がすか逃がすか逃がすか逃がすか逃がすか逃がすか逃がすか。

追う追う追う追う追う追う追う追う追う追う追い詰める。