軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

もうそういうのは間に合ってます

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ミッション達成! ゴーレムマスターの証を手に入れた!

効果:ゴーレムのステータスが+50される。

ゴーレムに火・水・地・風耐性がつく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「うふふ、うーふふふふ……」

「マテリ、うふふは後にしてこの子はどうするんだ?」

ミリータちゃんは何を差し置いて後にしろとか言ってるのかな?

よくわからないのを討伐して貰えたこのゴーレムマスターの証が魅力的すぎてすべてがどうでもよくなる。

「こいつ、魔道士協会の魔道士だ。オラの部屋に運んじまったけど、普通に考えて敵でねえか?」

「ミッションが出ないから敵じゃないでしょ。それより助けても報酬が貰えるわけじゃないのにさぁ」

「今、心の底からおめぇを軽蔑した。これまでだな」

「冗談が通じなくて悲しい」

ミリータちゃんはそう言うけど、極めてまともな感性なら助けないよ。

だって魔道士協会って今まで散々迷惑をかけてきた人達でしょ。

暗殺者を送り込むわ、変な研究所を立てて変なもんを開発するわ、城の中に爆弾を仕掛けるわ。

挙句の果てにゾンビパニックを起こすわ、そんな組織の一員と知って報酬を連想しないわけがない。

だからなんでこの女の子にミッションが起こらないのか、誰だって不思議に思うはず。

「ミッションが出ないってことはだな。こいつは敵じゃねぇし、まともな人間の可能性がある」

「ミリータちゃんが私のクリア報酬をそこまで信頼してくれているなんて……」

「今までが今までだからな。ていうか久しぶりにスキル名を聞いた気がするぞ」

「私も忘れかけていた」

謎だよね、クリア報酬。

何の落ち度もない相手に対してはミッションが起こらないのはすごいと思う。

これはあくまで私の予想だけど、このスキルは私が持っている善性に応じて発動するんじゃないかな?

つまり私が善人だからこそ、ミッションがそれに――

「マテリ。それ以上の思考はイラつくからやめろ」

「ついに思考すら中断された上に許されなかった」

いや、私が善人ってのは間違いないでしょ。

いつ私がまともな人に迷惑をかけたってのさ。

誰がどの角度から見ても、私を善人と判断するよ。

「う、ううん……」

「ほれ見ろ、マテリ。この女の子も否定してるぞ」

「なに言ってるの。どう見ても女の子が目を覚ます前兆でしょ」

魔道士の女の子が目を開けた。

ぼーっとしていて、ここがどこなのかわかってない様子だ。

「ここは? あれ? ダムスさんは?」

「ここはドンチャッカ国のオラ達の家だ。オラはミリータ、こっちがマテリ。そっちがフィム。おめぇは魔道士協会だな?」

「私、ダムスさんに連れられて……。それから鉄の悪魔が……ああぁぁあぁ!」

「落ち着け! 悪魔なんていねぇ! いや、ある意味でいるがもういねぇ!」

ミリータちゃん、ややこしくなるから素直にいないって言いなさい。

その鉄の悪魔達は未だに腕を上下させてやる気が消えない様子だけどさ。

「ホウシュウ、ドコダ」

「ソコカ」

「ソコダ」

「やめなさい」

まったくもって誰に似てこうなったのかわからないけど、少し教育しないといけない。

私に似れば品行方正で真っ直ぐなゴーレムになるはず。

欲望を剥き出しにして魔道士達を襲うなんてこともなくなるはず。

だからこんな子達でも、いつか素敵な戦士になると信じているよ。

「あ、悪魔……! 悪魔がッ!」

「落ち着いて。あなた、名前は?」

「リコット……魔道士協会所属で、カイソウジさんに従ってここに……。この国にいる聖女討伐にやってきて……」

「聖女? ミリータちゃん、知ってる?」

ミリータちゃんは首を振る。

そうだよね。そんなものがいるなんて聞いたことがない。

さすが魔道士協会、ついにありもしないものまで見始めたよ。

それでこの子はカイソウジとかいう奴の部下ってわけね。

「フィムちゃんは?」

「聖女……待ってください。何かを思い出せそうです。そう、あれはエクセイシア国での話……」

「あ、それ以上はいいよ」

「なぜですか!?」

私もなんとなく思い当たったからね。

どうせクソみたいな理由で私に逆恨みした魔道士協会が刺客をよこしたんでしょ。

結果的に魔道士協会には散々やっちゃってるし、やられっぱなしで黙っている連中じゃない。

そりゃ報酬も増えるよ。

まさかこんなところまで追ってくるとは思わなかった。

で、問題はこの子。あの人達と同じ穴のムジナかどうか確かめたい。

「リコットちゃんは魔道士協会の指示が正しいと思うの?」

「魔道士はヒーローなの! 弱い人達を守る素敵な力をもったヒーロー! だからあんな人達だとは思わなかった!」

「それはよかったね」

ちょっと危うい気配が漂ってるけど、他の魔道士達とは少し違う気がした。

リコットちゃんはわなわなと震えて、ベッドの脇に立てかけられていた杖を握りしめる。

「そう、魔道士に助けられたのはこれで二回目……。幼い頃、そして今……。私を救ってくれたのはあなた……」

「違うよ?」

「いや、覚えている。鉄の悪魔すら恐れさせた救世主、私のヒーロー……。それがあなたなんだよね」

「違うよ?」

やだ、もうこういうのは間に合ってるんだって。

勇者の師匠に続いてヒーローなんてやれないんだって。

「ダムスとかいうのを倒したのはそこにいる鉄の悪魔でしょ。この子達はゴーレムで、私になついてるだけ」

「ゴーレム? まさか古の時代に使われていたものがどうして……」

「古の時代って……」

「古の記録によれば、ゴーレムを作って従えさせたのは偉大なる叡智を持つ古代魔道士……。絶大な力によって瞬く間に世界に革命をもたらした……」

さて、そろそろ帰ろう。

私達には重大な任務があるはずだ。

「あなたはもしかして古代魔道士の……子孫では?」

「絶対違うから頼むから変な勘違いしないで一生のお願いだから」

「ヒーロー、だぁ……。ヒーローがいたんだ……。私のヒーロー……」

「ミリータちゃん、後はよろしくね」

「待って!」

逃げよう。勇者の師匠に続いてヒーローなんてやってられない。

どうして私の周りにはこういうのばっかり集まるんだろう?

もうホント魔道士協会ってろくでもないね。