軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第30話【閑話】国王の話、その2

《閑話:オードルを粛清した国王視点》

オードルを粛清した後、帝国軍に侵攻した国王は大敗。

そのストレスによって倒れてしまった。

だが誇り高き王家の意志をもつ国王は、見事に復活する。

復活した国王は更なる躍進のため、重鎮を集めて会議を開いていた。

「今の王国の現状を、何とか打開した。皆の者よ、アイデアを出せ」

国王は配下に向かって命令を下す。

王国は先日の帝国との戦いで、歴史的な大敗を喫した。

そのお陰で国王の私物の銀山が、賠償金として奪われてしまったのだ。

しかも最近は軍師や騎士の離反が、多くなってきた。

このままでは王国の維持すら難しくなってしまう。

だから何か打開策を、早く見つけなければいけないのだ。

「それなら陛下。私から申し上げます」

配下の一人が挙手をして、意見を出してきた。

この者は黒羊騎士団の団長。

国王の側近の一人であり、裏の仕事を行っている。

先日も厄介な戦鬼オードルを、見事に暗殺してくれた忠臣だ。

「なんだ、もうせ」

「はっ、陛下。帝国は厄介です。そこで隣国の共和国と連携して、帝国に攻め込んではいかがですか?」

共和国は帝国と同じく、この王国と国境を接する国。

2年前から共和国と王国は同盟関係にある。

「なに、あんな共和国に援軍を求めるだと? 歴史ある我が王国が、そんな恥ずかしい真似ができるか⁉」

国王は激怒する。

何しろこの王国には数百年の、誇りある歴史がある。

それに比べて共和国は、百年ちょっとの浅い歴史しかない。

国王は国として格を大事にする賢人なのだ。

「大丈夫です、陛下。共同軍とはあくまでも名目上。実際には共和国軍と帝国軍を戦わせて、双方を浪費させる。その後に我ら王国軍が、両軍を一気に叩く作戦です!」

黒羊騎士団の団長は、誇らしげに作戦を提案する。

この作戦が上手くいけば、先日の失った銀山も取り戻せると。

いや……それ以上の賠償金を両国から得ることが出来ると、断言する。

「なるほど、そうか。それは最高の作戦であるな! おい、さっそく共和国の大使を呼びだせ。この帝国軍に侵攻する準備をしろと」

この王都内には共和国の大使館があった。

「ぶひひ……これでワシの私財は一気に倍になるぞ……」

こうして国王は共和国の大使を呼びだすのであった。

作戦は完璧。

絶対に上手くいくはずであった。

「失礼ながら、お断りする」

だが共和国の大使は、国王の申し出を断る。

共和国は王国のために援軍を出せないと。

「何故だ⁉ お前たち共和国は、我が王国の同盟国であろう⁉」

まさかの拒否に、国王は顔を真っ赤にしていた。

予想していたシナリオが狂い、声を荒げる。

「この際だから申しますが、我ら共和国が王国と同盟を結んだのは、ある人物の恩に報いるためです」

「ある人物……だと?」

国王は嫌な予感がした。

だが聞かずにはいられない。

「はい、鬼神と呼ばれたオードル様です。あの方が3年前の決戦で、我が共和国を救ってくれました。あの方がいなければ、共和国は地図から姿を消していたでしょう。だから我ら共和国は、今まで王国と同盟を結んでいたのです。オードル様の恩によって、私もここに来ました」

「なんじゃと……また、オードルの恩じゃと⁉」

大使の口から出た人物名。

嫌な予感が的中して、国王は憤慨する。

何故、またあの傭兵の名前が出てくるのだ。

「あの男はもう死んだ! 今は関係ないじゃろうが!」

これ以上のあの男に、周り乱されたくなかった。

国王は半狂乱となる。

「これ以上、グダグダ言うのなら、共和国を攻め滅ぼすぞ! いいのか?」

「陛下、それは宣戦布告という意味でしょうか?」

「当たり前じゃ! 今すぐに共和国を滅ぼしてやる!」

「かしこまりました。では本国にそう伝えておきます。まあ、こちらも、オードル様のいない王国に、負ける要素はないので」

そう言い残し大使は去っていった。

大使館に直行して、共和国に連絡をするのであろう。

大使館からは高速で飛べる伝書鳥を使えば、本国との連絡も可能なのだ。

(くそ……またオードルか……あんな奴がいなくても圧勝することを、大陸中に知らしめてやる!)

交渉は決裂した。

こうして、また国王自らが大軍を率いて、共和国領と侵攻をしていくのであった。

それから2週間後。

共和国との戦いは、あっとう間に決着がつく。

国境沿いの戦いで、王国軍は大惨敗。

軍を率いていた国王は、命からがら逃げだしてきた。

敵の残党狩りから逃げるために、国王は乞食の格好で逃げてきたのだ。

数百年の誇りある王家にとって、これ以上の屈辱はなかった。

「くそっ! くそっ! なぜじゃ……なぜ、こんなことになったのじゃ!」

王都に戻った国王は、半狂乱に陥っていた。

何しろ今回の大惨敗により、王国軍はまた戦力を失ってしまった。

また国王が個人的に所有していた金山を、共和国に賠償金として奪われてしまったのだ。

『だから言ったでしょう陛下。オードル様のいない王国は、もう終わりだと』

停戦協定の場で共和国の大使は、そう皮肉の言葉をかけてきた。

くそっ!

こうなったら聖教会に直談判してやる。

何しろワシと教皇は竹馬の共。親友なのだ。

聖教会にいる聖女を使って、起死回生の戦略を編み出した。

シナリオはこうだ。

聖女は大陸中の市民が好かれている。

神の啓示ということで、その聖女に王国に都合のよい宣言をさる。

これで共和国や帝国にいる市民も、王国の味方になるであろう。

ぶはっはは……!

これで王国は、ワシの権威は復活するのだ。

『申し訳ございません、陛下。聖女して、そのようなことは出来ません』

だが聖女は国王の依頼を断った。

「お前など、聖山に送ってやる! 不敬罪だ!」

国王は怒りのままに、聖女を追放した。

しばらく、あの荒野で頭を冷やしたら、国王の命令を聞くであろう。そういう腹づもりだった。

だが数日後、聖教会の教皇から、とんでもない事件を聞かされる。

『すまないが、聖女様は聖山に向かう途中、落下事故により死亡した。新しい聖女の選定には数ヶ月かかる』

頼っていった教皇から、そんな事実を告げられた。

聖女が聖山に向かう途中で、馬車ごと谷底に落下して亡くなったと。

『それよも国王。聖教会が貸していた金を、返してくれ』

不幸はさらに続く。

竹馬の友である教皇から、借金の返済を催促されたのだ。

たしかに借りてはいた。

だが、このタイミングでそんな大金を返したら、ワシの私財は無くなってしまう。

「くそっ……これも、死んだオードルの奴の呪いなのか……」

バタン!

津波のように押し寄せてきた不幸に、またもや国王は倒れてしまった。

ストレスにより脳がパンクしてしまったのである。

国王の髪の毛はストレスにより、老人のように真っ白になっていた。

「くそっ……ワシはこのままでは終わらんぞ……」

だが倒れた国王は知らなかった。

オードルを粛清した報いが、まだ終わっていないことを。

国王を更なるどん底が待ちかまえているのであった。