軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第109話:パルマの鉄人兵

マリアとニースの後を追い、天空に浮かぶ遺跡に転移。

二人の気配がある古代の屋敷まで、あと少しの所まで到着した。

だがオレたちの前に、危険な守護者が立ちはだかる。

“パルマの鉄人兵”と呼ばれる古代文明の巨人だった。

「ねぇ、オードル。あれをスルーしていけないの?」

「それは難しいな、エリザベス。オレとガラハッドなら大丈夫だが、リリィたちが狙われる」

動き出しを見たところ、鉄人兵の直線的な機動力はかなりある。

下手に後ろを見せて、非戦闘員を狙われたら逆に危険。

ここで仕留めておいた方が良策なのだ。

「それなら私たちもやるわ!」

『ワン!』

「エリザベス、フェン。今回は休んでいろ。オレだけでいく」

魔女から受けた二人の傷は浅くない。

あの鉄人兵は普通ではない。

ここは無傷なオレが、二体とも相手をしてやる。

「それなら私が右の方を頂きますよ、オードルさん」

ガラハッドが前に進みでる。

意外な男が名乗り出だ。

この剣聖の目的は魔女の排除。

同行はしているが味方ではないはずだが?

「ガラハッド、お前の目的は魔女だけじゃなかったのか?」

「あの鉄人兵も確実に魔女の差し金でしょう。それに私も身体が鈍っているので、準備運動をします」

なるほど、そういうことか。

それなら一体をガラハッドに任せられる。

オレが左の獲物を。

ガラハッドが右のだ。

「おい、二人とも! あのパルマの鉄人兵は一体で、国を滅ぼすんだぞ⁉ バラバラで大丈夫なのか⁉」

後方に下がりながら、リッチモンドは心配している。

相手は人外の存在。

共闘して一体ずつ倒した方が、いいのではないかと。

「オレの方は問題ない」

「私も問題はありません。さて、いきますか、オードルさん!」

ガラハッドが先に動き出す。

一気に間合いを詰めて、鉄人兵に斬りかかる。

相変わらず見事な神速の斬り込み。

「むっ……これは」

だが剣聖の剣は弾かれてしまった。

鉄人兵の装甲が、予想以上の固さがあったのだ。

『Ugaaa!』

「おっと?」

鉄人兵が鋭く反撃してきた。

ガラハッドはヒラリと回避。

予想通り、鉄人兵の攻撃はかなり素早い。

だが剣聖を捉えられるだけのスピードはない。

「オードルさん、お気をつけて。普通の金属の装甲ではないようです」

「そうだな。もしかしたら金属ですらない……かもしれないな」

ガラハッドの警告を受けながら、目の前の鉄人兵を観察する。

相手の装甲はかなり分厚い。

全体に鎧を着ているように見えるが、動きは信じられないほど滑らか。

それに人型ではあるが、人の急所らしき器官は存在しない。

つまり急所が見えない。

かなり厄介な相手なのだ。

「オードル、相手はそれほど素早くないわ! 距離をとって慎重にした方がいいわ!」

後方のエリザベスから、アドバイスが飛んでくる。

たしかに敏捷性では、こちらの方が上。

ヒット&アウェーを繰り返していれば、安全にダメージを与えることも可能であろう。

「さて……オレも負けずにいくとするか!」

だがオレは真っ直ぐ向かっていく。

何故ならこんなところで、無駄な時間をかけている暇はない。

捕えられているマリアとニースのために、短期決戦に挑むぞ。

「いくぞ、鉄人兵!」

オレは闘気を高めて、大剣を構えて斬り込んでいく。

相手の装甲は、あの剣聖の一撃を弾くほどの高レベル。

普通の斬撃では通用しない。

狙うは破壊力のみ。

威力を重視した必殺の一撃だ。

『Grururu』

「ん? 口が光っている?」

その時である。

目の前の鉄人兵の口が、光を帯びはじめる。

なんだ、あれは?

「あれは、もしや“パルマの光”⁉ オードル、気をつけるんだ! そいつは強力な炎の光を吐き出すつもりだ!」

後方のリッチモンドからアドバイスある。

古代文明の知識が一致したのであろう。

なるほど口から火を吐き出すのか。

「面白いな、鉄人兵! 覇(あ) ぁああああ!」

だがオレは構わず斬りかかる。

狙うは鉄人兵の口元。

危険な炎の光を放つなら、まずはその口元を吹き飛ばしてやる。

『Ugaaaa⁉』

鉄人兵の口元を吹き飛ばす。

「 斬(ざん) ぁあああん!」

続いて胴体。

大剣で強引に横に斬りつける。

『Uga……Ugaa……』

鉄人兵は胴体を真っ二つに。

やがて動かなくなる。

「なかなか面白い相手だったな」

動かなくなった鉄人兵に、念のために止めをさしておく。

中身は見たことがない装置が詰まっている。

金属が液体のようにピクピク動いていた。

きっと古代の特殊な金属なのであろう。

リッチモンドが調べたら喜びそうだが、今は時間がない。

さて、こっちは片付いた。

もう一体を相手しているガラハッドに、加勢にいくとするか。

「その心配はご無用でしたよ、オードルさん」

少し遅れたタイミング。

ガラハッドも相手を仕留め終えていた。

正確で鋭い斬撃で、相手の関節を狙って戦ったのであろう。

鉄人兵は五体バラバラになりながら、機能が停止していた。

「相変わらず見事な剣術だな、ガラハッド」

あの素早い鉄人兵の関節を、ここまで正確に狙って切り刻んでいく。

しかも斬撃の威力は高めて。

こんな見事な戦い方が出来るのは大陸でも、剣聖と呼ばれたガラハッドだけであろう。

「いえいえ。私などたいしたことはありません。それよりも、この硬い装甲をそこまで真っ二つにするオードルさんの方がお見事すぎます」

「そうか? まぁ、それぞれの戦い方の違いだな」

オレの戦い方は。戦場で磨き上げてきた実戦術。

どんなことをしても生き残れば問題ないのだ。

さて、邪魔者は消えた。

屋敷の中に向かうとするか

「片付いた。行くぞ」

後方で待機していたエリザベスたちに声をかける。

「片付いた……って簡単に言っているけど、この硬い装甲を、よくもあんなに簡単に斬り裂けたわよね……」

鉄人兵の残骸を確かめながら、エリザベスは言葉を失っている。

たしかに普通の硬さではなかった。

だが所詮は闘気術も使ってこない相手。

ただ大きくて頑丈なデクの棒だったな。

「国を滅ぼしてきた“パルマの鉄人兵”をデクの棒扱いとは……さすがのボクも言葉がでないね……」

リッチモンドも調べながら苦笑いしている。

「ところで、オードル、この鉄人兵を、ゆっくりと調べてみても……」

「だめだ。後にしろ、リッチモンド。もしも追加で出て来たら危険だ」

鉄人兵は二体だけとは限らない。

他に出てくる前に、屋敷の中に移動した方が無難だ。

さぁ。いくぞ。

「そうだよね……そうするしかないよね……まぁ、ボクも分かっていたよ!」

リッチモンドは後ろ髪を引かれながら、寂しそうに付いて来る。

その気持ちも分からなくない。

何しろ鉄巨人は古代文明の遺産。

部品の一つを解明しただけでも、大陸での文明が一気に変わる可能性もあるのだ。

仕方がないから、後で時間があったら拾って帰ろう。

それよりも今は二人の救出が大事。

全員で芝生の抜けて、古代の屋敷へと地移動していく。

「オードル様、あの屋敷……何かおかしいです。お気をつけて」

リリィが聖女の力で警告してく。

一見すると三階建ての普通の建物。

だが周囲が、不思議な力で被われているという。

「たしかに古代の屋敷にしては、建物が綺麗すぎるな?」

どんな頑丈に建てても、自然で風化していく。

だが目の前の古代屋敷は、つい最近に建てられたように見える。

明らかに何かの力で守られている感じだ。

「私の感じですと……あの正面の玄関から、入った方がいいかと思います、オードル様」

「そうか。それなら正面から入った方が安全だな」

オレの脚力なら、一気に三階まで上ることが出来る。

だがこの屋敷は普通ではない。

魔女の罠が張られているとも限らないのだ。

ここはリリィの聖女の力を信じて、正面のルートを選択する。

「さぁ、中に入るぞ」

罠がないことを確かめてから、正面の大きな扉を開ける。

こうしてオレたちは不思議な古代の屋敷に入っていくのであった。