軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

5日目夕飯 と6日目

魔法剣の練習に夢中になるあまり、いつもより遅く到着した食堂。

二股女とキャベンディッシュは、何を思っているのか、いつも一番人の多い時間に劇場公演を始めるので、多少人の減った今の時間にはもう居ない。

食堂内も、心なしかゆったりとした時間が流れている気がする。

いつものように、端の席に座り、注文を済ます。

自然と話題は先程まで練習していた魔法剣の事になり、これは画期的な魔法の使い方であると、ユーグラムに絶賛された。

所で、練習中ずっと不思議だったんだが、今まで杖から魔法を打ち出す方法が無かったのなら、何の為に杖は有るの?

ユーグラムに聞いてみると、魔道具に魔力を籠める時に必要なんだとか。

魔道具は、魔力を籠めた道具であり、使わずにほっておくと、魔力が自然に抜けて行くのだとか。

完全に魔力の抜け切った魔道具を、魔力を足して再度使うことは出来ず、途中、魔力の抜け切る前に補充する必要が有るのだが、魔力は人によって違う性質を持つため、魔道具にただ魔力を籠めると、使えなくなるらしい。

そう言えば、マジックバッグを作った時に、俺のマジックバッグを見て、個人仕様の魔道具って驚かれた覚えがある。

それでは困るので、杖を媒介にすることで、魔力を増幅し、杖を通す事で個人の特定出来ない魔力を魔道具に流せるらしい。

杖の用途は分かったが、じゃあなぜ先程は、杖に魔力を籠めて魔法を打ち出す練習をしたのか?を聞くと、少し恥ずかしそうに、

「私は武器の適性が無いので、取り敢えずテイルスミヤ先生の真似をして、杖に魔法を纏わせてみたのです」

と言った。

フム、それならあんな指揮棒ではなく、普通の金属の棒の方が耐久性もあるし、いざと言う時に、相手を殴りとばす武器にもなるんじゃない?って言ってみたら、ああ!その手があった!みたいに驚かれた。

「確かに、ケータ様の仰る通りですね!明日はそれで練習してみます!今まで魔力切れを起こした事が無かったもので失念していました!そうですよね、外に出れば、いつ何時何が有るか分からないですからね!」

「でも明日の休みは、さすがに他のクラスの奴等が多く訓練所に押し寄せると思うよ、演習前だしねー」

「ああ、そうでした!そうなると、どこか適当な訓練所を借りなければいけませんね」

「それなんだが、一つ提案がある」

「どうしたんです?アールスハイン王子、提案?」

「ああ、今日やった魔法の使い方は、ユーグラムの言う通り、過去に無い画期的なものだ、これは俺達だけで秘匿して良いものでは無い。学園で広めるのはもう少し先になるだろうが、それよりまず軍に広めるべきかと思ってな、明日一度城へ戻り、父や将軍に話してみようかと考えている。その時に手本として魔法剣を見せるのだが、二人にも手伝ってもらえないだろうか?練習場所なら城にいくらでもあるし、武器の扱いなら専門の者が多くいる。ユーグラムにアドバイスをしてくれる者もいるだろうしな」

「それは、願ってもないことですが、よろしいのですか?突然の訪問などして?」

「二人の事は、手紙に何度か書いているし、問題は無い。他に予定が有るなら断ってくれて構わない」

「俺は行ってみたいです!庶民の俺にはお城に訪問なんて夢のようだしね!ただ、マナーとかは自信ないな~」

「公式の訪問では無いんだ、マナーは特に気にしなくて良いさ」

「それなら是非!魔法剣の練習もしたいですしね!」

「私もご一緒させて頂きます」

「決まりだな、では明日よろしく」

話も纏まって、明日はこのメンバーでお城に行くそうです。

おはようございます。

お天気は、雲の多めの晴れ?これは曇り?

今日は朝御飯の後、お城に行きます。

昨夜の内にアールスハインが手紙を出したので、お城から迎えが来るそうです。

幻の四男秀太の声に唆されて、軽い気持ちで作った魔法剣が、ドンドン大事になっている様子に、小心者な心が震えております!つい出来心でー!って笑って許して欲しいです!

内心で一人言い訳を考えていたら、シェルが部屋に来たので、着替え。

今日の服は、動き易さ重視か、生成り色の半袖Tシャツに紺色のオーバーオールです。

食堂につくと、ユーグラムとディーグリーがいて、挨拶をして着席。

注文を済ますと、今日の予定を話そうとしたのに、

「グラム~久しぶり~!全然見掛けないから、病気なのかと私、心配しちゃった~、ねぇねぇ、今日こそ一緒にご飯食べてくれるでしょ~?」

甘ったるいキンキン声ってとても不快。

なぜかいつも一緒にいるキャベンディッシュが居ないので、ユーグラムに目をつけた二股女が突撃してきた。

最近は、ほぼ存在を無視していたので、今日は油断してバリアを忘れてた!

迂闊な自分に反省していると、能面の様な怖い顔でユーグラムが、

「以前にも言いましたが、愛称どころか名前で呼ぶ事も許可した覚えは有りませんが?それと貴方と共に食事をする予定は今後も一切ありませんね!」

「な~に~?照れてるのぉ?あ!それともディッシュやエチェットとばっかり居るから焼きもち焼いちゃった?フフッ私はまだ誰の物でも無いんだからぁ、側に来てくれれば、グラムとだって仲良くするのに~、グラムったら照れ屋さん!」

とても不快。つい無意識にバリアを張ってしまうくらい不快。

バリアに弾かれ押しやられた二股女が、バリアを叩き蹴りつけ、何事か叫んでいる様子。

防音だから聞こえないけど。

給仕さんは普通に通れるので問題なし。

二股女をガン無視で食事をする。

前世にも、ムカつく女は多くいたけど、こんなに嫌悪を感じるのは我ながら珍しい。

なぜこんなに嫌いなんだろう?

チラ見すると、迎えに来たのか生徒会長に宥められて、涙目で生徒会長にすがる二股女。

やはり不快にしか感じない。

朝御飯が不味くなるのは困るので、これ以上考えるのはよそう。

安定の朝御飯用のお子様ランチも美味しく頂きました。

食事を終えて、お茶を飲みながら今日の予定を話していると、バリアの外に生徒会長が立って、バリアを叩き何か言っている。

二股聖女は、キャベンディッシュと共に中央の席にいるので、生徒会長をバリアの中に入れてあげる。

勢いよく叩いていたバリアが、急に無くなったので、つんのめる様に入ってきた生徒会長。

ちょっと間抜けな姿に、

「会長何の用です?この後予定が有るので、用が有るなら手短に」

ユーグラムが、能面の顔で冷淡に聞けば、

「貴様!先程の聖女様への無礼な態度は何だ!地に頭を付けて謝っても許されない態度だぞ!」

「聖女様とは誰の事です?彼女は辺境の国の王族では?ご自分を聖女様などと公言しているのであれば、その方が問題有るのでは?」

「!貴様!彼女をどうにかしようとしているのか?!そんな事は私が決して許さんぞ!」

これもまた不快である。

つい無意識にバリアの外に押し出してしまった。

アールスハインが苦笑して、シェルが密かに爆笑して、ユーグラムが頭を撫でて来て、ディーグリーが生徒会長に手を振っている。

バリアの外では生徒会長が何か叫びながら叩いているが、ガン無視の方向で。

バリアを維持したまま食堂を出て、そのまま学園の正門へ、ササッとお城の馬車に乗り込んで出発!

遠ざかる正門をみると、生徒会長が地団駄踏んで悔しがっている。

気にする人がいなくなったので、遠慮せずシェルが爆笑し出す。

釣られてディーグリーも笑い出して、アールスハインも苦笑。

ユーグラムだけは無表情だが、周りの空気がフワフワしてるので機嫌は直ったのだろう。

街中なのでゆっくりと進む揺れる馬車に、アールスハインの膝の上でいつの間にか寝ていたらしい。

馬車の止まる衝撃で目を覚ましたら、城に到着していた。

王族以外の人間がいるので、城の正面入口から入る。

映画やテレビでしか見たことの無い城の入口が、フルプレートアーマーの騎士によって開かれる様は、感動的だった!

ファ、ファンタジー!

散々魔法とか使っている癖に、変な所で感動してしまった。

入口が開くと、ザ・執事なデュランさんが出迎えてくれた。

「アールスハイン王子、ケータ様お帰りなさいませ、アッセンブル殿、ラバー殿、ようこそ御出下さいました」

「ただいま、父上と将軍には連絡がついているだろうか?」

「勿論で御座います、お二方共に大変興味を持たれておられました」

「本日は突然の訪問、失礼致します」

「お気に為さらず、お誘いしたのは王子の方からと聞いております。今回は何かご協力頂けるとか、ありがとうございます」

「御世話になります」

「ようこそラバー殿、あまり緊張されずとも、皆様気さくなお人柄の方ばかりですよ」

「あ、ありがとうございます!」

「でゅらんしゃんたらいまー!」

「お帰りなさいませ、ケータ様。姫が首を長くしてお待ちですよ」

「………あーい」

それぞれに挨拶を済ませ、長い長い道のりを歩く。

俺は抱っこされてるので楽チンだが、広いな城!

今日は、王族の居住区ではない所で王様達と会うらしく、見たことの無い場所ばかり通る。

もう既に戻れる気がしない。

ガギン!コギン!グガーン!!ドスドス、おう!ヤー!ハッ!バリバリ!ドウ!

と色々混ざった音が聞こえて来て、ザ・執事なデュランさんが開けてくれたドアの先には、王様、将軍さん、宰相さん、イングリードが既にいてお茶を飲んでいた。

アールスハインと俺が軽く挨拶をして入ったのに、ユーグラムとディーグリーが膝をついて挨拶をしようとして、イングリードに、楽にしろ的な事を言われて、恐縮して部屋に入ってきた。

俺を抱っこしたアールスハイン、ユーグラム、ディーグリーが3人掛のソファーに座り、向かいに将軍さん、宰相さん、イングリードが座り、奥の一人掛けに王様が座る。

既にアールスハインが手紙を出したので、内容は分かっているらしく、

「それで?その魔法剣とやらは俺にも使えるのか?」

とイングリードが切り出した。

魔力コントロールの苦手なイングリードは、そこが気になるらしい。

「そうですね、兄上と同じように魔力コントロールの苦手な担任でも使えたので、兄上でも大丈夫でしょう」

別に嫌味では無い。

事実なだけなので、聞いた皆が苦笑している。

「じゃあ早速見せてもらおうか!」

新しい可能性に待ちきれないイングリードが立ち上がったが、緊張している二人に茶くらい飲ませてやれ!と、将軍さんに言われて、じゃあ先に行ってる!と部屋を出て行った。

「すまんな、あれは今までに無い技術を修得出来るかもしれんと聞いて、興奮しているのだ」

ガハハハと笑う将軍さん。

将軍さんも隠しているが、興味津々な感じですな!

忙しなくお茶を飲んで、皆で騎士団訓練所に移動した。