作品タイトル不明
第48話 再会
帰ってきてからの1週間は残念ながらそれほど面白い事は起こらなかった。
まぁそうそう起きてもらっては困るのだが…。
プリンターなどが来たのでとりあえず転移陣を印刷してこちらでも使用出来るか試してみる事に…。
普通に宅配便として届いてそちらの方に驚かれてしまった。
まぁ置き配にしたので対面で受け取った訳では無いのだが…。
「普通はああやってくるのをスキルでなんとかしてるだけですからね」
と2人には言い含めておく。
残念な事に俺を含め祖母、エルナ、メイが外出不可の為、転移陣を学校に持っていってもらった。
学校から家への転移は成功、消費魔力も小型の魔石一つ分程度らしい。
プリンタによる精度のおかげとメイは言っていたが…。
「あそこまで凝縮出来るのは、1周回って気持ち悪い」
とエルナが引いていた。
「学校に置いちゃダメなの?」
行き帰りが楽になるので学校にも置いて置きたいみたいだが…。
「隠蔽術式入れると魔力無くて消えちゃうし見られたら大変だろ?」
「個室貰えばなんとかなんないかな?」
「お前は一体どんな権限を持ってるんだよ…」
「学校内のことなら割となんでも?」
アヤネ1人がいるだけで陸上部は全国区に名前が出るので学校側の忖度がひどい。
「他の部の助っ人も頼まれてるからねぇ…」
「他の部でも名前を売ろうとしてるのか…」
「戻ったら兄さんも頼まれると思うよ」
ちょっと復学したくなくなってきた。
ちなみに母の方は若返ったのを化粧でなんとか誤魔化せているそうだが…。
「徐々に若返るように努力していくわ」
と日に日に若返るように調整するそうだ。
日々厚化粧するのが面倒らしい。
残念ながらそれは手伝えないので申し訳ない。
祖母は外に出れなくなってしまったのが申し訳なく思っていたのだが、甲斐甲斐しくエルナとメイの面倒を見てくれて助かっている。
正確には2人と着せ替え人形にしてる節があるが…。
祖母の服に合わせてエルナとメイの服も下着等も含めて一式頼んだのでそのファッションショーをしているようだ。
ただ、3人とも異性に対する慎みがないので平気でリビングで下着姿になっていたりするので勘弁して欲しい。
ただ、最近エルナから何やら視線を感じる。
何か思ってる事があるなら言って欲しいのだが…そういう様子もないので少し困っている。
アヤネが学校から帰宅した後は、勉強を教えているのだが…。
受験も推薦だったせいもあって中学での勉強内容がガッツリ欠損していた。
「サーセン!」
「学期末とはそこそこの点数は取ってただろうが」
魔法に関しては天才と呼ばれているのになぜこっちの勉強内容はすぐ抜けてしまうのだろうか…。
「脳みそがパンパンだからかな?」
「そんな事いったらこちとらもっと入ってるんだぞ甘えんな」
と叱りながら勉強を教えていく。
ちなみに日本語の勉強をしている2人は教育アニメの内容位であれば聞き取れるようになっていた。
ただ、喋るのはまだまだ時間がかかりそうだった。
まぁそれも元々先生をしていた祖母が教えているのですぐに物にしてしまいそうな勢いである。
祖父も先生だったそうだが…。
男が1人で心細いよ…じいちゃん…と早すぎる祖父の死を憂いた。
ちなみに言葉を教えているうちに少しずつ言葉遣いが若くなっていった。
昔を思い出しているようだ。
そんな日々を過ごしている間に再会の日がやってきた。
転移魔法が上手くいったので来週からは復学する手筈も整えている。
後は、住居と戸籍なんかの問題をなんとかするだけである。
「車借りれてよかったよ」
「こんなデカいの初めてだから話しかけないで…」
うちにある車は残念ながら軽自動車。
今回借りたのはワンボックスカー、母は緊張しながら運転している。
「まぁ何かあっても私達がいればなんとか出来るから」
「実際に魔法は見せてもらったけど他にはどんな事が出来るん?」
質問を投げかけたのは祖母である。
すっかり言葉遣いが若返っている。
「例えば、車が何かにぶつかりそうになったとしても結界で防げます」
「それってぶつかった側が削れるよな?」
動的なものを守るというのであれば、こっちの動きを止めなければ結界内でぶつかる事になる。
つまり結界を張った場合はこちらが動いている限り障害物を削っていかなければ反動は防げない。
「絶対トンネルでやるなよ…崩落する」
「しないわよ…」
「なんかすごいってことだけわかったわ」
そんな不穏な会話をしているのだが…。
エルナとメイは不安そうにしていた。
「なにこれ、鉄の塊が走ってる…」
「ヒィィイ」
という異世界人ならではの流れをようやくこっちの世界でやることが出来て何よりである。
その流れを嬉しそうな顔でアヤネは見ていた。
どうやら経験者だったようだ。
そして無事に名古屋に到着した。
「俺は会う人がいるから、4人は観光しててくれ」
「名古屋で観光?」
おい、やめろ。
母がとんでもない事をいっているが、まぁそれなりに見て回るとこはある。
「服とか色々あるでしょ?内見は午後からだから」
「はいはい、そっちは1人で大丈夫なの?」
母から心配を口にされるが…。
「1人のが都合が良いから」
と言い含めておれは目的のホテルへと向かった。
そしてホテルに到着してから連絡を入れる。
少し時間が経ってからボディチェック等を受けてから部屋へと招かれた。
「大層なお招きだな、さすが官房長官様」
「当然の対応だと思ってほしいがね」
テレビで見た時よりも老けている気がする。
オフだからか?
表情に疲れもにじみ出ていた。
まぁ今の現状を考えればそんな表情にもなるか…。
部屋の奥に進むと女性が腰掛けていた。
「変わらないはさすがに失礼だな、年相応に綺麗になったみたいだな。カナ」
「こっちはまだ信じられていないのだけど…その謝辞だけは素直に受け取っておくわ」
「久々の同級生との再会な訳だし、本音で語ろうぜ。敬語とか使ってるとむず痒くてな」
明らかな年下からの提案に2人は面食らっているようだが。
「その不遜さは、あいつっぽいな…。まぁいいとりあえず詳しく話しを聞かせてもらおうか」
「ええ、信じるのはそれからよ」
さすが官房長官まで上り詰めた男と最高裁判所長官まで上り詰めた女だ。
座ってるだけで圧を感じる。
ってかこの立場の2人から今から尋問を受けるって地獄では?
と考えながらも久々の親友達との再会に少し口角が上がっていた。