軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

80話 発見しました!

俺たちは村を出て、川に沿って北へと向かっていた。

「なるほど……つまりは、モニカもいまいち分からないってことだな」

俺の言葉にモニカは頷く。

「村を出てとにかく南へ南へと逃れてきましたので……ただ、水は必要ですから川に沿って移動してきました」

「ですが、モニカさんはその川で襲われたのですよね?」

イリアが訊ねると、モニカは「はい」と答えて続ける。

「ですから、川から離れ、森に入った可能性もあります。それでも、水と魚を得るためには川に行かなければ……」

現在の彼らの食料源は、イリアたち鬼人以上に限られているはずだ。

木の実や山菜の採集は安全だが、あまり量は確保できない。腹も膨れない。

腹を満たすのは肉が一番だが、武器がないので狩りは不可能。

ならば、残りは漁になるだろう。

手づかみは至難の業だが、さっきのモニカの機敏な動きを見るに、熊のごとく魚をすくい上げるかもしれない。槍の代用で尖った枝を使うこともできる。

どんな生き物だって食べなきゃ生きていけない。

生存のために必要なら、多少の危険は冒すはず。

川が危険と知っていても、漁をすっかりやめるだろうか?

話を聞いていた狼……人狼のメルクが鼻をくんくんと動かせながら言う。

「メルクに任せる。モニカと似た匂いが、北から風と一緒にやってくる。きっと仲間がいるから安心する」

淡々としているがはっきりとしたメルクの言葉に、モニカは頭を下げた。

「メルクさん……ありがとうございます。誰か……誰か見つかるといいのですが」

モニカの話だとエルフは、全員で千名ほどだったらしい。

だが今回の襲撃で少なくとも三百名は命を落としたとも言っていた。

残り七百名は、散り散りになりながらも何とか合流……七百人もいれば、何かしら手掛かりは見つかるはずだ。

村を出てもう五時間は歩いただろうか。

途中アーマーボアとヘルアリゲーターが数体襲撃してきたが、すべてイリアが斬り捨てた。肉は俺の魔法工房で保存してある。あとでエルフたちに分けるとしよう。

それ以外は特に川岸や川に変わった様子は見られない。死体や血が流れてくることもなかった。

そんな時だった。

俺たちの先を進むメルクが歩みを止めた。

空を進む天狗のアスハと目を合わせると、手でどこかを見るように調べる。

アスハは頷きその方向を確認すると、こちらに降りてきた。

「ヨシュア様。この向こうに、中州があります。そこにもぞもぞと動く茂みが」

メルクが補足するように言う。

「モニカと同じ匂いがそこからする。きっとエルフに違いない」

その言葉に、モニカが「本当か?」と顔を明るくする。

「しかし、中州か……急ごう。もしかしたら、中州から陸地に戻れなくなったのかもしれない」

俺は河原を北に走った。

すると、確かに川に草が生い茂る中州が。

思ったよりも急流で、とても歩いては渡れない。

アスハが言う。

「私がお運びしましょうか?」

「いや、アスハ。大丈夫だ……ビルド──ブリッジ」

魔法工房の中の岩を使って、中州まで石造りの橋を架けることにした。

石材を積み上げていくと、簡単なアーチ状の橋が現れる。

「よし、できた。行こうか……モニカ?」

モニカは橋を見て、ぽかんと口を開けながら目をぱちくりさせていた。

「こ、これはなんでしょう? 何故、急に目の前にこんなものが?」

「あ、ああ、モニカは見たことがなかったな……これが俺の魔法なんだ。俺は道具を作れるって言っただろ。まあ、これは橋で道具じゃないけど……」

「そ、そうでしたか……道具もこんな簡単に作れるものなのですか?」

モニカが言うと、イリアとメルク、アスハは無言でぶんぶんと首を横に振った。

困惑するモニカだが、今はゆっくり説明してられない。

「いや魔法は練習すれば誰でも……ともかく今は仲間と合流しよう」

俺が言うと、モニカははっとした顔をして頷く。

「そ、そうでした。行きましょう!」

俺たちは急ぎ橋を渡った。

モニカは恐る恐る一歩ずつ進んでいたが。

きっといきなり道ができたのが信じられないのだろう。

そうして道を渡り終えると、メルクが俺の前を進んでいく。

「こっちにいる。この先……うん?」

メルクは突如首を傾げた。

「どうした、メルク?」

「何か別の生き物の匂いが一緒……」

メルクが足を止める中、モニカは声を上げた。

「私です! モニカです! 誰かいるのでしたら、出てきてください!」

「この声は……お姉ちゃん!?」

すぐに茂みから高い声が上がった。

「この声はフレッタ!? フレッタですね! 今行きます!」

モニカは嬉しそうに返事した。

どうやら茂みにいるフレッタという子はモニカの妹らしい。

だが、

「……来ないで!」

茂みからは意外な言葉が返ってくるのだった。