軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

134話 授業を行いました!

「皆、先生が来た。ちゃんと椅子に座る」

メルクが教室内でそう声を発した。

しかしメルクの声は、子供たちの耳を素通りしていく。

「皆、魔法を学ばない。もういい、メルクたちだけでやる」

メルクは不満そうな顔を正面に向けた。

他にちゃんと椅子に座っているのは、アスハとユミルだけだ。

「……まあ、魔法を使っている間に興味を持ってくれるだろう」

それに人間の学校のようにするつもりはない。あくまで交流の場所になってくれれば十分。

そういう意味では、もう成功だ。

ここにはフェンデル同盟に加盟する全ての種族の子供がいて、皆一緒に遊んでいる。

制服や教材も作ったが、これもあくまで自由に使う感じだ。制服に関しては、物珍しいせいか皆着てはいるが。

「それじゃあ、魔法を教えるぞ……といっても、ユミル以外には俺から教えられることはない。さっそく、ロネアに頼んみるか」

俺は魔法工房から、セレスの名が刻まれた召喚石を出す。

すると、声を発するまでもなく、俺の隣にロネアが現れた。

ロネアは片膝をつく。

「お呼びにより参上いたしました」

「あ、ありがとう」

ロネアの服は、割と際どいデザインだ。

魔王軍にサキュバスという種族がいるが、彼女たちのように腰回りや胸がかろうじて隠れるような服を着ている。

そのせいか、跪くと胸が強調されて……

俺はメルクたちに顔を向けて言う。

「め、メルクとアスハに魔法を教えてあげてくれるか?」

「ヨシュア、なんだか調子が良くない?」

メルクの問いかけに、俺は首をぶんぶんと横に振る。

「そ、そんなことない。ろ、ロネア頼んだぞ」

「はっ。それでは」

ロネアはそう言って、メルクとアスハの前に立った。

俺はユミルが座る席の前に立つ。

「……ユミルはまず回復魔法からやってみようか」

「分かったのじゃ。できれば、ヨシュアの生産魔法を使えるようになりたいのじゃがのう」

「紋章次第では上達するかもしれないがな……そういえば、ドワーフたちは紋章を知っているか?」

「いや、知らぬのう。それがあれば、魔法が使えるのか?」

「魔法が上達しやすくなったり、他にも何かが上手くなったりする」

「ほう、ワシらにもあるかのう?」

「そればかりは、神殿のやつじゃないと分からないな」

紋章を明らかにする魔法は、主に神殿の者が得意とするところだ。

そういえば、ヴァースブルグには今、神殿騎士団が常駐している。

神官のヴィンスが戻ってきたら、紋章を診断してくれないかな。

もっとも、ヴィンスが亜人嫌いだとまずい。

それとなく探る必要がありそうだ。

「まあ、ともかく回復魔法を教えよう。まずは魔力を集めるところからだ」

俺はその後、ユミルに魔法を教えた。

ユミルは全く魔力が扱えないというわけではなく、何とか回復魔法は覚えられた。

「ふむ……案外難しいものじゃのう。なんというか、まどろっこしいのじゃ!」

ドワーフは生まれつき、手先が器用だ。

鍛冶など道具を使う作業は、すぐに上達したのだろう。

しかし魔法はそう上手くいかない。

だから不満そうなのだ。

俺は諭すように言う。

「ユミルは覚えが早いほうだぞ。俺なんか、今ユミルが使った魔法を覚えるのに一週間もかかったんだから」

「本当か? ヨシュアがそう言うなら、もっと頑張るのじゃ!」

「そうか。でも次の魔法はまた今度にしよう。しばらくは同じ魔法を練習だ」

「了解なのじゃ! それにしても、メルクたちはどこに行ったのじゃ?」

「え? そこに……あれ?」

メルクやアスハが座っていた場所には、二人の姿はなかった。ロネアの姿もない。

一瞬ひやっとしたが、三人の魔力は確かにそこにある。

「姿を隠す魔法か? それも、闇魔法の一種なのか?」

その言葉に、ロネアは姿を現す。

「はっ。メルク様とアスハ様は、よく一人で偵察に向かうことも多いと聞きましたので」

「昔話に出てくるニンジャみたいで面白い」

「これなら、姿を見られなくてすみますね」

メルクとアスハも満足そうに姿を現した。

「二人とも、すごいじゃないか! 俺も覚えたいが、とてもじゃないが一つの魔法をそんな早くは覚えられない」

「なら、メルクが今度はヨシュアにこの魔法を教える」

「それもいいが……その前に皆、メルクに教えてもらいたいみたいだぞ」

俺が言うと、メルクは後ろに振り返った。

そこには目を輝かせる子供たちが。

「今のどうやったの!?」

「かくれんぼに使えそう!」

「教えない。真面目にやっていたメルクたちだけが使える」

メルクの言葉に、皆がぶーぶーと言い出した。

アスハが小さく笑う。

「ヨシュア様の言う通り、皆、集まってきましたね」

「ああ。皆、面白そうって分かれば学びたがる。無理やり教えるより、興味のあるものを学んでもらおう。ロネア。悪いが、皆にも教えてあげてくれるか?」

「かしこまりました」

ロネアは頭を下げると、他の子供たちにも今の魔法を教え始めた。

同時に俺も回復魔法を皆に教えてあげるのだった。