軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第81話】王の子息② 王子の我儘

ゼウラシア王の2人の息子、ゼランド王子とウラル王子。

てっきり背の高くて気の強そうな方が兄のゼランド王子かと思ったけれど、少し小柄で気の弱そうな方がゼランド王子だった。

まだ幼さすら残る2人は、公の場に出ることもほとんどない。

しかしその子供らがなんの用だろう?

僕が首を傾げていると、気の強そうな方、弟のウラルが僕の前にツカツカとやってくると、僕に向かって指を差す。

「貴様はロアというらしいな!? この天才ウラル様と勝負してもらおうか!」と宣言した。

、、、、、ちょっと誰か説明してくれませんか?

けれど誰も説明しようとしないので、僕は取り巻きに宥められたウラル王子が落ち着くのを待って、話を聞くことに。

このウラル王子。今まで取り巻きや兄であるゼランド王子に、盤上の戦術戦で負けたことがないそうだ。

そこで再三に亘りゼウラシア王に自分も戦場に赴きたいと希望しているが、一度も許しが出ない。

そこで先日の新兵の演習だ。レイズ様の相手をしているのは大したことのなさそうな文官。まぁ僕のことなのだけど。あんな文官が指揮してもレイズ様と良い勝負ができるのであれば、自分はもっとできるはずだ。

このまま自分の意見を聞いてもらえないのであれば、せめて実力を見てほしい。あの文官に勝てる指揮を見せたら、自分の言うことを一つ聞いてもらう。すなわち、自分を戦場に連れてゆけ、と。

、、、、なるほどなるほど。拗らせてるなぁ。周りに誰か止める人いなかったの?

「そういうわけですまないが、今日少しだけ相手をしてもらえんだろうか?」というゼウラシア王も少し困った顔をしている。王も人の親ということか。

「場所は先日の演習場周辺で良いだろう。ウラル王子にはグランツ隊とラピリア隊をつける。ロアの方はリュゼルとフレインの部隊で良いな? 部隊の数はそれぞれ300だ。私はウラル王子の指揮に口は出さぬ。無論ロアにもな。それからゼランド王子をロア隊に入れよ。良い経験になるだろう」

と、テキパキと段取りするレイズ様。うーん。もう事前に話は決まっているという事ね。

「それぞれの隊には私共書記官も参加します。レイズ様の助言などの不正がないかをきちんと監視させていただきます」

澄ました顔のネルフィアだけど、ちょっと口元が笑ってる。この状況を楽しんでるなぁ。

「しかし今日この後ですか? 随分と急ですね。リュゼルやフレイン隊の準備もあるでしょうから、明日にでも改めては、、、」

「それでは、貴様が明日までにレイズから助言を受けるかもしれん! 戦いは今日だ!」鼻息の荒いウラル王子。またちょっと興奮してきたな。

はぁ。面倒臭い。

「えっと、、、両軍の数や部隊以外に決め事はありますか?」

僕の質問に答えたのはウラル王子だ。

「本番同様の戦場だ! 決まりごとなどあるわけがなかろう!」

「、、、ですか。じゃあ、戻って部隊を整えたら演習場に向かいます。それでいいですか?」

「構わぬ! そうだな、一刻ほどは作戦会議の時間をやろう。もちろん、レイズはこのまま私の傍におるのだぞ! 私も作戦会議を開く! グランツとラピリアを呼べ!」ウラルの命令で慌てて走り出す側近達。それを見て満足げに退出するウラル王子。

レイズ様は、僕の横を通り過ぎながら、小声で「手早く済ませろ」とだけ言い残していった。

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「、、、、、というわけで、ウラル王子が率いる、グランツ隊とラピリア隊と戦うことになったんだけど、、、」

「それはなんとも、、ばかば、、、、いや、急な」馬鹿馬鹿しいと言いかけて、室内にゼランド王子がいたため慌てて言い換えるリュゼル。

ウィックハルトとフレインは、少し腑に落ちない顔をしている。

「なあロア、本当にウラル王子はそんな攻撃的だったのか?」とフレインが聞いてくる。

「まぁ、強気だったね」

「俺が知っている王子と随分と印象が違うな」とフレインが言えば、「私もそんな王子ではなかったと記憶していますが、、、、」ウィックハルトが続く。

「そうなの?」

「ええ。活発ではありましたが、、、、何か、焦っているのでしょうか?」

「僕のせいです、、、、」ぽそりと呟いたゼランド王子にみんなの視線が集まる。

「何かご存じなのですか?」ウィックハルトの質問に、少し黙ってから、もう一度「僕のせいです」と言うと俯いてしまう。

無理やり聞き出すわけにもいかないし、どうしたものかなと考えているうちに。ゼランド王子に近づく者が一人。ルファだ。

ルファはゼランド王子の前に立って両手を腰に当てると

「前を向きなさい! 男の子でしょ!」と一喝。

驚いて顔を上げたゼランドは「君は一体?」と聞いてくる。

そうだよね。なんでこんな場所に少女が? ってなるよなぁ。

「私は第10騎士団のルファです」ふんすっと胸を張るルファ。

「君が騎士団?」

「王子、事実ですよ。こちらの方は先日第10騎士団に入隊された立派な団員です」そのように補足してくれたのはネルフィアだ。

「このような少女も戦場に出ていると言うのに、、、私はなんと情けないのか、、、」

「まだ私も戦場には出てないよ? これからは一緒に行くけれど。それで、なんで貴方のせいなの?」

年の近いルファに聞かれて、少し緊張がほぐれたのか、ゼランドはポツリポツリと事情を話し始めた。