軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第34話】ルシファル

「確か君は、ロア、だったかな」

ドリューとのやり取りから数日後、王宮内をウィックハルトとルファと歩いていると、後ろから声をかけられた。

振り向くと、そこにいたのは最悪の相手、第一騎士団長ルシファル=ベラスだ。

ルシファルの背後には3人の部下。いずれもこちらに鋭い視線を向けている。

「あ、、、ルシファル、さま。どうも」僕がペコリとお辞儀を返すと、大股で近づいてきたルシファルは手を差し出してきた。

「先日のハクシャの戦いの話は聞いた! 実に素晴らしい活躍だった!」

屈託のない笑顔に僕が目を白黒させながら固まっていると「握手だ」と、手を差し出したまま待つルシファル。

正直に言えば断りたいけれど、この場で断っておかしな遺恨を残すのもなぁ。。。僕が渋々ながら、表面上は緊張している風に「あ、ありがとうございます」と言いながら握り返すと、さわやかな笑顔で満足げに手を戻す。

「失礼ながら特に実績のない文官に王が興味を持つとは、何か裏があるのかと思ったが、、、なるほど、王やレイズの目は確かだったと言うことだな。我が軍に将来有望な将が誕生したのは喜ばしいことだ」

何やら上機嫌で僕を褒めそやすルシファル。僕が未来を知らなければ、この国の英雄にして一番人気の将軍にここまで言われれば感激するのだろうけれど、僕にはどうしても何か裏がある気がして気が気じゃない。

「いや、なんなら第一騎士団に欲しいくらいだ! どうかね? 今からでも移籍しては? 歓迎しよう!」

と、突然ぶっ込んできた。

「ええ!? いえ、申し訳ありませんが、、、、」

「冗談だ。いや、歓迎するのは冗談ではないが、強引に引き抜いたらレイズに恨まれるからな!」などと言い放つ。

「ルシファル様、そろそろリフレアの使者とのお時間が、、、」

側近に促されて

「ああ、そうか。すまないがこれから同盟国の使者を迎えねばならん。また今度時間のある時にでも話を聞きたいものだ、では」

と、さっと身を翻す。

そのほんの一瞬、ひどく暗い瞳がこちらを見たのを、僕は見逃さなかった。

「僕たちも行こうか」2人に伝えてルシファルに背を向けてから、まだなんだか背中に視線が突き刺さっているような気がして振り返ると、一人の騎士がこちらを睨んでいる。

僕が振り向くと、何事もなかったように踵を返したその姿には見覚えがあった。

あの人は、、、、確か、、、、

「あの男が睨んでいたのは私です。放っておきましょう」と言うのはウィックハルト。ああ、そうか、と納得する。

最後までこちらを睨んでいたのはヒーノフという騎士だ。第一騎士団の中でも弓の腕が自慢。

ただ、大陸の10弓に数えられてはいない。その人が蒼弓、ウィックハルトを睨む。つまり、そういうことか。

「対抗心が強くて、面倒な男です」というウィックハルトの顔は心底うんざりしている。今までも何かしらあったのだろう。

と、ルファがずいぶん大人しいなと思ったら、少し下を向いて、僕の服の裾を掴んで歩いていた。

「どうしたの? 大丈夫?」

「私、、、、あの人たち、苦手、、、、」

、、、、、、奇遇だね。僕もだよ。

それにしてもリフレア神聖国の使者か。

同盟国である以上、使者がやって来るのは普通のことだし、歓待となれば王の親衛隊である第一騎士団が対応するのは当然だ。だけど、心がざわりとする。

、、、、同盟国である僕らの国に、リフレア神聖国が攻め込んだ理由。それは未来でも結局よくわからなかった。

原因がわかれば対処のしようもあるかも知れないけれど、、、、難しいかな。第10騎士団が歓待役だったら良かったんだけど、、、、

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第一騎士団の執務室。

本来は主人であるルシファルの座る場所に、法衣を纏った痩身の男が座っている。

ルシファル以下、側近の将たちは床に跪いて、法衣の男を見上げていた。

「ルシファル、お久しぶりですね」

「はっ」

「計画は順調ですか?」

「多少の変更はございますが、概ね順調でございます」

「、、、、それならば重畳。我らの理想のために、貴方にはもうしばらく骨を折ってもらわねばなりません。よろしくお願いします」

「はっ。もったいなきお言葉にございます」

この場所に全く状況を知らぬ者が居たのであれば、その姿は主従のそれにしか見えなかった。

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瓶詰めの保管部屋に戻ってきた僕らに、ディックが駆け寄ってきた。

「どうしたの? ディック?」

「探していたんだぞぅ! レイズ様が呼んでるんだよぉ!」

「レイズ様が? 分かった、すぐに行くよ。それじゃあルファは瓶詰めの管理をよろしくね」

「違うぞぉ」

「違う? 何が?」

「呼ばれているのはルファもだぞぉ」

「ルファも? 何があったんだろう?」

ともかく僕らは、ウィックハルトも含んだ3人で、レイズ様の執務室へ急ぐのだった。