軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第337話】フェマスの大戦23 運命の一手

「ぬうん!!」

戦場にザックハートの槍が唸り、敵兵が吹き飛ばされる。それが何度か繰り返され、徐々にザックハートの回りからは敵兵が避けて空間ができた。

そのぽっかりと空いた空間に、一人の騎士が飛び込んできた。騎士はザックハートを見ると、口角を上げる。

「なるほど、噂に違わぬ無双ぶりよ。しばし、私の相手をしていただこう」

「貴様は?」

「聖騎士団、騎士長の五席が一人、ショルツと申す。一手、願いたい」

ザックハートと比べると小柄な体躯であったが、纏う気配は強者のそれだ。

「、、、よかろう。貴様の首を掲げて進軍してやる」

言葉を交わすはここまでとばかりに、先ほど塁壁を砕いた巨槍を軽々と横に薙ぐ。

「できますかな」

ショルツは騎馬ごと体勢を低くすると、前傾姿勢のままザックハートとの距離を詰めてゆく!

ショルツのわずか頭上で空を切る巨槍。初撃を避けたショルツは、地面へと押しつけた騎馬が跳ね上がる勢いを利用して、速度のある一閃を繰り出してきた!

「小癪な!」

ショルツの放った槍はザックハートの右の肩当てを跳ね上げ、その肩に赤い線を残す!

一瞬の攻防ののち、距離を取る両者。

「やるの。その腕で無名とは惜しいものだ」

「一応、国内ではそれなりに知られているのですがね」

軽口ののち、再び槍は交錯する。

周辺の兵士たちは、敵味方問わず、嵐のような戦いにとにかく巻き込まれぬように逃げ回るのだった。

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「なかなか手強いわね」

思ったよりも強い抵抗を示すリフレア兵に、ニーズホックは感心したような声を漏らした。どうやらそれなりに優秀な指揮官が敵にいるようだ。先ほどからニーズホックの用兵に合わせて、細かく部隊を動かしながら行手を阻んでくる。

「一度強行突破しますか?」

レゾールの提案。その横顔は、突撃したくてたまらないように見える。気分が高揚しているのだ。こういう時のレゾールは、強い。

「分かった。レゾール隊と、、、適当にもう一隊連れてかき回してきなさい。アタシ達はあっちの元気なのをこのまま支援するから」

ニーズホックが言った”元気なの”とは、今大暴れしているフレイン中隊だ。先んじてリュゼル隊が突っ込んできて奮闘していたが、フレイン達も合流して、その勢いを増していた。

彼らは東の砦の攻防戦以外、ここまでほぼ戦闘に参加しておらず無傷に近い状態であったため、前線にいる味方の中でも最も余力のある部隊だった。

また、ここまで戦いに参加できなかった鬱憤が溜まっていたのであろう。ここぞとばかりに敵を突き崩している。

勢いがあって良いのだが、ニーズホックから見て少々前のめりな感じがある。普段であれば冷静に事を運ぶ将達だろうけれど、今回は色々あったから仕方ない部分はある。

しかし、向こうに用兵上手がいるなら、その勢いを利用して罠に嵌めてくるかもしれない。ニーズホックはフレイン中隊が孤立しないように、上手く立ち回りながら敵と戦っていた。

「では、少し散歩してきます」

嬉しそうに言ったレゾールは「前に立つもの、全て突く!!! 突撃!!」と叫ぶなり、敵陣を切り裂いてゆく。

その様子を見てニーズホックは少し苦笑する。前がかりなのは第二騎士団も一緒か。

陽がゆるりと傾き始めた。暮れるまであと一刻くらいかしら?

慣れぬ地形で夜戦は避けたいところね、、、

そう思いながら、ニーズホックは夜戦になった時の対策を考え始めるのだった。

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「おらあ!! 次だ!!」

リュゼルが先頭で敵指揮官の首を獲り、咆哮した。

指揮官を討たれ、またその迫力に怯んだ敵目掛け、リュゼル隊が一斉に攻めかかってゆく。

「う、うおおおおおお!!」

必死に槍を振り回す中には、新兵のロズヴェルやノーキーの姿も見えた。散々リュゼルに鍛え込まれた彼らも、なかなか堂にいった戦いを繰り広げている。

もう新兵とは呼べんな。ロズヴェル達の戦いを見たリュゼルは目を細め、成長を喜びつつも、近づいてきた敵兵をまた一人、切り伏せた。

リュゼル隊はとにかく前へ前へと切り進み、フレインがラスター隊に上手く指示を出してリュゼル隊が包囲されぬようにフォロー。

現時点でリフレア兵にかなりの損害を与えているが、それでもまだ、リフレア兵も反撃するだけの気概を見せていた。

文字通り、敵味方入り乱れての大混戦。

両軍ともに死力を尽くした極限状態の戦いは、この直後、決着に向けて大きく動き出すことになるのであった。

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戦況を見守っていたサクリの元に、慌てた様子の伝令が駆け込んできた。

「フェマスの北方より砂塵!!」

同じ頃、敵陣を一度駆け抜けて突破し、再び背後から切り裂きつつ戻ってきたレゾール隊から、ロアの元へも伝令が届く。

「リフレアの北より、軍影を確認!!」

「「来たか、、、、」」

サクリとロアは、期せずして同じ言葉を、呟いた。