軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第208話】皇帝とロア10 密約

「ゾディア! 今回はありがとう、助かったよ」

僕の第一声にゾディアは少し困った顔をする。

「ですが、私の力及ばず、、、一歩先に着いたリフレアとの交渉を優先されてしまいました」

やっぱりリフレアの使者が先着したのか。けれどさすがに早すぎるな。

こうなると、いよいよ確定といえるだろうなぁ。

「別にそれはゾディアのせいじゃないよ。出発前に言ったろ? 皇帝に伝えてくれただけで十分だよ。それにこれはむしろ良かったかもしれない」

「良かったかも、、、ですか?」

小首を傾げたのはゾディアだけではない。その場にいた全員だ。

「うん。少し気になっていた件がこれではっきりした。リフレアと帝国は密約があるのだと思う。同盟とまではいかなくても、不戦協定くらいは結んでいる可能性がある」

そうであれば、これほどスムーズにリフレアの使者がやって来たことも、リフレアが優先されたことにも説明が付く。もちろん僕らのように正規でないルートを使った可能性もあるけれど、前後関係を考えれば密約の方だろう。

追い込まれているルデクと違い、リフレアには余裕がある。強引な方法で帝国に接触を試みたと考えるよりも、最初から外交窓口があったと考える方が自然だ。

ルデクと軍事同盟を結んだリフレアだけど、僕が知る限り帝国と戦った記録はない。未来でも、今回の戦争においてもリフレアが軍を起こしたのは、同盟国のルデクのみという皮肉な状況になっている。

リフレアと帝国に密約があるのではないかという考えはずっとあった。ただ、ルデクが滅んだ後、帝国とリフレアが急接近したと言うこともなかったので、確信が持てないままだった。

結果的に思わぬところで、帝国とリフレアの関係が判明したと言うわけだ。

そうなると僕らの順番が後で良かったかもしれない。リフレアと帝国の関係が想像以上であれば、後から僕らの条件を聞いてひっくり返される恐れもあった。

「なるほど、、、」

納得するウィックハルトに、僕は「まだあるよ」と続ける。

これでリフレアの動きがはっきりした。やっぱり向こうは帝国を動かして、こちらをすり潰そうと考えているようだ。

つまり逆に言えば、今この時点ではルデクトラドに兵を進めている可能性はかなり低くなった。

「それは朗報ですね」今度はサザビーが頷く。

「、、、色々と考えておられるのですね」ゾディアも納得してくれたらしい。

「あ、そうだ、ツェツィー。リフレアは僕らがやってきたことは知っているの?」

そこはかなり重要だ。今後の展開にも影響する。

「いえ、どうも父上は明かしていないようです。表向きはルデクに縁のある僕らだけで、ルデクとの連携を提案しにきた、そのように説明していると聞きました。ゆえに城外に止め置いていると」

流石、利に聡い皇帝、僕らの土産を確認するまではリフレアにも伏せるつもりかな?

だとすれば、皇帝はそこまでリフレアを信用していないのか? どちらかといえばその可能性が高そうだけど、油断はできない。

「なるほど、ゾディア、約束を違えて申し訳ないけれど一つ質問してもいい?」

「なんでしょう?」

「皇帝は僕らのお土産に相応の興味を持っていそうだった?」

「そうですね」

「ゾディアさんが随分と推してくれたそうですよ」

ツェツィーの言葉にゾディアが少し困った顔をする。出発前、ゾディアは助言はしないし、皇帝の情報も僕らへ流さないと言っていたはずだ。

「、、、ありがとう」僕のお礼にゾディアは首を振る。

「お礼は不要です。ここまできたら私も最後まで見てみたくなったのです。なので、これは私の勝手な判断です。ちなみに陛下との謁見では私も同席するように陛下から申しつけられています」

「それは、巻き込んでしまったようでなんだか申し訳ないな」

「今更ですよ?」

全く、ゾディアの言う通りではある。今更もいいところだ。

「、、、、全く、貴方がたはこのような状況も楽しんでいるようにすら見えるのですね」ツェツィーは少し呆れているけれど、この程度で慌てていてはレイズ様に笑われる。

「となると、まず優先するべきはリフレアがどんな話を持ち込んできたかを調べることか、、、あ、そういえば第三皇子がルデク進軍を提案した事情も知っておきたいかな」

と言っても、僕らは城内に出入りできる状態ではない。ここでもツェツィーやルルリアが頼りとなる。

「その辺りは任せなさい。私たちがちゃんと調べてあげるから。ガフォルも協力してくれるわよね?」

「、、、、左様ですな。私は 第三皇子(ロカビル) の周辺を探りましょう」

「ありがとうございます、ガフォル将軍」

「そちらの女性の言う通り、乗りかかった船です。ツェツェドラ様がそこまでされるのであれば、我々にも無関係とはならんと言うことです」

言われてみればそうだ、場合によってはツェツィーやルルリアの立場が悪くなるかもしれない。

僕が申し訳ないと口にすると、ツェツィーもルルリアも「それも今更」と笑った。

僕は良い仲間に恵まれているとしみじみ感じる。

「私も微力ながらお手伝いします。帝都にはそれなりに顔が利きますから」

「ゾディア、、、、」

「何度も言いますが、これは私がやりたくてやっている事。お気になさらずに」

「皆さんが呼ばれるまでは数日かかるそうです。その間にリフレアの話を検討するみたいなので。その間にできる限りの情報を集めてきますので、しばらくゆっくりしていてください!」

そんなツェツィーの頼もしい言葉から2日後、そうも言っていられない事態が起きるのだった。