軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第143話】騎士団合同演習② 競う厄介者達

合同演習2日目は、予定通り新しい武器の説明会だ。

十騎士弓や組み立て式長柄槍の使用方法、それから旧式の弩を各砦の工房で作成する工程、ササールを使った簡易的な長柄槍の作り方などを、第10騎士団とジュディアノ、ホーネットの両名が各騎士団へ説明してゆく。

それぞれの武器を生み出したドリューも同席しているが、本日はやる気のない日らしい。これ以上ないほどくてーっとしている。

集まった騎士団の人たちは真剣そのものなので、ドリューとのギャップがものすごい。

一通り説明が終わると、騎馬の兵士たちを中心に十騎士弓や弩の試射が、そして新兵を中心に長柄槍の試し振りが行われている。

2日目の進行は非常に順調に進み、無事に全ての予定を終えた。。。。ここまでは。

最初に動き出したのは、やはりというかユイメイの双子である。

「おい、トール将軍!」

「今度はこれで勝負といこう!」

そう言ってトール将軍に突き出したのは組み立て式長柄槍だ。

「ほお、先日の負けは得物の違い、、、そのように言いたいのかな?」

「まあそんなところだ」

「これで、真の強者を決めよう」

「待て待て、真の強者、とはどう言うことだ?」食いついたのはザックハート様。

「言葉通りの意味だが?」

「トール将軍の次に相手をしても良い」

双子はどこまでも双子である。ルデク広しといえど、ザックハート様にこのような口を聞けるのは双子だけだ。いや、違った、多分ルファと双子だけだ。ルファはそんなこと言わないけれど。

「そのような大口は、まずは私に勝ってから言うべきだろう? 前回同様に2人一緒に相手してやろう」

トール将軍が双子を煽るも、ザックハート様が割り込んでくる。

「いや、せっかくだ、全員まとめてわしが相手をしてやろう。たまにはトールも自分を見直す時間があっても良いだろう」

ガハハと笑うザックハート様にトール様が微笑む。

「確かにザックハート様もそろそろお年を感じていただいた方が良いでしょう」と返す。

「ほお、言うではないか」ザックハート様が俄に殺気を放ち、たまたま近くに居ただけの新兵が「ひっ」と短い悲鳴をあげて腰を抜かす。

「戦いとは、口でやるものではない」

そう言いながら人数分の長柄槍を持ってきて参入するベクシュタット様。一触即発の状況である。

僕は止めるべきかとレイズ様に視線を向けるも、レイズ様は興味津々でやりとりを見ていた。その隣では先ほどまで一切のやる気を感じなかったドリューが目を輝かせている。

、、、、もしかして、この人たち、騎士団長と双子を長柄槍の耐久試験者とでも思っているんじゃないか? いや、確実に思っている。表情が物語ってる。

穏やかならぬ騎士団長と双子か、レイズ様とドリューのどちらが厄介かと考えているうちに、早々に騎士団長達の戦端が開かれた。

「ふむ、少々軽すぎるの」

ザックハート様が長柄槍を頭上で回転させると、周辺に凄まじい風切り音が響く。元々ザックハート様の主要武器はこの人のためだけに作られた特殊な槍だ。太さも長さも通常の槍よりも二回り大きく、さらに柄まで鋼で作られている。

過日、ルファが攫われた際はその愛槍が誘拐犯の集団のど真ん中にぶん投げられたのだ。直撃した人間が物理的に爆ぜたのも仕方ないことだと思う。

「、、、、、」

ザックハート様と相対するベクシュタット様は、身じろぎもせずザックハート様へ長柄槍を向けている、まさに静と動の睨み合い。

、、、、双方共に長柄槍の使い方としては間違っているけれど。

各騎士団の兵士たちが遠巻きに固唾を飲んで見守る中、頭上で長柄槍を回しながらベクシュタット様に話しかけるザックハート様。

「そういえばお主とやり合うのは初めてかの? ぜいぜい楽しませてもらおう」

「、、、胸をお借りします」

双方の言葉が合図となったように、ザックハート様の持つ長柄槍が斜めに振り下ろされる。

対するベクシュタット様は信じられない反応で、ザックハート様の槍先を避けると、槍をただ真っ直ぐにザックハート様に突き出した。

空を切ったザックハート様の槍は地面を掠り、接続部分でぽきりと折れる。

しかし短くなったことで取り回しやすくなった槍、というかもはや棒を強引に振り抜くと、突き出してきた長柄槍を弾いた。

するとベクシュタット様の槍も接続部分でぽきりと折れた。

短くなった棒を握り睨み合う両者、その向こうではトール様と双子の戦いに大きな歓声が上がる。見れば、同じように長柄槍が接続部分から折れている。

「なんだこれ!」

「脆いな!?」

という双子の声が聞こえる。僕らも何度か試してみたけれど、そう簡単に折れないよ? これ。ここで戦っている人たちが異常なのである。

けれど僕の横では

「ふむ、やはり接続部分になんらかの工夫は必要か」

「そうですね、これは予想外です」

と、レイズ様とドリューが真剣に改良を検討している。ドリュー、さっきまでのやる気のなさはどこへ、、、?

「これではかえって怪我をさせてしまう、誰か! 私に模擬刀を用意してくれ!」

トール様の声に、残りの四人も「こっちにもだ!」と命じる声が響く。

見物する兵士の声援にも力は入り始め、いよいよ盛り上がってきた中で、レイズ様とドリューはもはや見るべきものは見たとばかりに背を向けて帰ってゆく。

僕はしばらく5人の戦いを眺めていたけれど、少し思いついたことがあって、レイズ様を追ってその場を後にした。