軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第142話】騎士団合同演習① 集う厄介者達

第三騎士団。言わずと知れた騎士団の重鎮、ザックハート様の率いる質実剛健を旨とするゲードランドの守護者である。

次に第四騎士団。ロア隊とはキツァルの砦で死線を共にした同胞。派手さはないが、重装兵を中心としたしぶとい戦い方は目を見張るものがある。

第五騎士団は直接的な接点は少ないけれど、かの帝国の攻めを凌いできた人たちだ。他の騎士団に勝るとも劣らないことは想像に難くない。団長のベクシュタット様は寡黙な手紙魔。

さらには第六騎士団。僕とはとても縁の深い騎士団だ。ようやく新しい騎士団長が決まったらしい。

最後に第七騎士団。第四騎士団の双子をまとめて相手するほどの実力者、トール=ディ=ソルルジア様の率いる騎士団だ。

そして僕ら第10騎士団。

それぞれ少数での参加とはいえ、これだけの騎士団が一堂に会するのは帝国との開戦以来初めてのことだ。このような出来事が僕の記憶にないということは、かつての歴史では存在しなかったと断言できる。

今回、各騎士団に集まってもらうにあたり、人数制限を設けさせてもらった。最大で600まで。

理由は新兵の数。被害は大きかったとはいえ、ハクシャ、ゼッタと連勝して沸き立つ国内事情により、募兵に対して思ったよりも志願兵が多かったのだ。

なので、各騎士団600なら、演習時に新兵を入れるとちょうど1000くらいになるのである。

結果的に今、王都近くの演習場には新兵と、演習には参加しない予定の第10騎士団の兵士も含めて、相当な人数の兵士が揃っている。

しかもその中には各騎士団長がいるのだから壮観。叶うなら高台から僕らを見下ろすゼウラシア王に代わって、あの場所から見渡したいものだと本気で思っている。

一応補足すると、第四騎士団は団長のボルドラス様ではなくユイゼスト、メイゼストの副長が率いている。ボルドラス様からレイズ様に向けた親書に「この度はご迷惑を、、、」といった類の内容がつらつらと書かれていたあたり、ボルドラス様の苦労が偲ばれた。

それと第一騎士団にも一応打診はしたけれど「王都の守護があるので」と、やんわりと断ってきた。第10騎士団との関係を考えれば予想通りではある。

僕らが並ぶ前でゼウラシア王が滔々と合同演習の開催に関して訓示を述べている。その横には気を張ったゼランド王子が背筋を伸ばして立っており、なかなかに微笑ましい。

それでもゼランド王子は少し良い感じに雰囲気が出てきた。騎士団を前に王の横にいても、浮いている様子はない。

「本格的な演習は明日からとなる! 各自の研鑽を期待する!」

王の檄が飛び、王の隣にいたザックハート様が「敬!」と叫ぶと、兵士たちは一斉に王に向かって敬礼を捧げた。

合同演習は5日間の予定で行われる。

初日である今日は王の挨拶と顔合わせ程度。移動が間に合わなかった騎士団が出た場合の予備日だ。幸い各騎士団ともに予定通りに集合することができた。

本格的な演習は明日から。明日は十騎士弓や長柄槍の講習の予定。

というわけで、本日は特にこの後の予定はなく完全に自由時間。

前日まで準備に走り回っていた僕は、早々に退散してゆっくりしたいところだったけれど、全く希望通りにはいかないものだ。

ゼウラシア王が宮殿に戻った後、ザックハート様がルファの元にやってきたのと一緒に、ゼランド王子が来たのはまあ、想定内。

双子が絡みに来たのもある程度予想していたけれど、双子を見つけてやってきたトール様、そしてなぜか僕らに近づいてきたベクシュタット様は完全に想定外である。

つまり僕らのところに指揮官が一堂に集まることになり、事情を知らない将官や兵からは何事だ、という視線を集めることとなった。

元々目立つことに慣れきった人たちである。他者の興味など毛の先ほども気に留めることなく、自然体で戯れている。

様子を遠巻きに見るのは面白いけれど、個人的には渦中に参加したいとは思わない集団へ、わざわざ近づいてくる御仁が一人。

「ご歓談中に申し訳ありません。少々よろしいですか」

そのように会話に加わったのはフォガードさんだ。

第六騎士団のベテラン部隊長の中で、唯一降格せずに再建中の第六騎士団を支え、王都とゲードランドの街道整備においては中心人物の一人として指揮した人物。

この人が新しい第六騎士団長。

第六騎士団長の選定には、当初、第六騎士団の外部からの招聘も強く検討されていたのだけど、街道整備の功績などが鑑みられて、最終的にこの人が騎士団長へ任じられることとなった。

フォガードさんが名乗ると、最初にトール様が反応する。

「話には聞いていたが、久しいな、フォガード殿。騎士団長就任おめでとう」

「ありがとうございます。トール殿」そう言ってから、フォガードさんは一瞬だけウィックハルトに視線を走らせる。

ウィックハルトはあえて一歩前に出て

「不甲斐ない私の後任となるので苦労をかけるけれど、フォガードなら任せられる」と握手を求めてみせた。

ウィックハルトの反応も見てから、それぞれフォガードさんに騎士団長就任のお祝いの言葉を伝えてゆく。

こうしてその場が和やかに終わればよかったのだけど、一波乱巻き起こしたのはやっぱり双子である。

「それでこの中で一番強いのは」

「どの騎士団長だ」

そんなことを口にしたと思えば

「いや、違った二番目は?」

「一番は私達だからな」

と続けてのたまう。

「おや? 先日の一戦をもうお忘れかな?」とトール様が挑発し

「ワシを除いた強さ順、と言うことならしっかり話し合うと良い」とザックハート様。

「、、、、」沈黙のベクシュタット様は、片眉を上げる。

「いや、皆さん、、、少し落ち着かれては、、、」フォガードさんのみ困惑の表情で、空中を走る見えぬ火花に巻き込まれぬように、控えめにそのように言うのだった。