軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

5 服を脱がせだなんて、お嬢様はバカなのか?(1)

ハルムがお嬢様に出会ったのは、11歳の時だった。

ルーシエン公爵家の長女、当時10歳のアセリアお嬢様が、歳の近い執事を探しているという。

ハルムの家であるガルドル伯爵家は、父同士で仲が良く、ハルムが執事の座に収まるのにそれほどの苦労はなかった。

勉強の予定調整から勉強のサポートまでをするのに、共に同じ家庭教師についた。

かといって、あまり雑談のようなものをしたことはない。

何が好きかも知らない。

何が得意なのかも。

そんな、一緒に居るにも関わらず、付かず離れずな関係を保ち、そろそろ8年になる。

そんな執事業をしていたから、追放なんてことになったわけだが。

正直、あまり後悔のようなものはない。

多少理不尽なことはあれど、あそこでしがみついていても優秀な兄がいる以上、家を継げるわけでもない。

俺には、どの選択肢でも最善を尽くした自負がある。

その結果、こんな事態になっているのだが。

ハルムは、目の前の細い首筋から目が離せずにいた。

言っておくが、今までお嬢様に懸想のようなものを抱いたことはない。

それどころか、異性として見たことはないと断言できる。

お嬢様以外もそうだ。そういう意味で視線を向けた人間などいない。

仕事の相手以上に、お嬢様のことを考えたことはない。

その仕事というのも、予定の調整や勉強面でしか関わりはなく、顔すらどうでもいいようなことばかりだ。

それが……。

改めてまじまじと見る状況がこれだとは。

小さな小屋の中で二人。いつものようにメイド達の視線すらない。静かな小屋の中で二人。

細い金髪の髪は、綺麗に緩く肩に流れる。

その先に、美人というよりはどちらかといえば可愛い顔立ちの頬の線が見える。

目の前では、ドレスの紐が容赦なくキツく結ばれている。これでは確かに一人では脱げず、苦しいだろう。

お嬢様の言い分はわかる。

一般市民は他人だが、使用人は家の所有物。自分一人で脱げないものなら、所有物に肌を見せる方がまだ理にかなっていると。

だからといってこんな……。

紐を解くと、アセリアの肩のラインがわずかに覗いた。

ああああああああああ……!!!!

心の中で心のままに叫ぶ。

なんだ、これ。

なんで俺はこんなことを。

下へと交差している紐を見ると、どうやら一番上を解いただけでは脱げないようになっているようだ。紐をもっと緩めなければ。

首筋に、手を伸ばす。

指が首筋に着いた瞬間、ピクッ、とアセリアが跳ねた。

ああああああああああああ……!!!!

心は無になりそうにない。

けれど、さすがにここで放り出すほど人でなしでもないつもりだ。

紐を緩めていく。

アセリアの肩が次第に露わになり、アセリアがまたキュッとドレスを自分の胸元へ手繰り寄せた。

考えちゃいけない。

何も考えちゃいけない。

「ふぅ……」

なんとかドレスを緩めることができた。

けれどハルムの目に飛び込んできたのは、更に下にまだ紐がキツく結ばれている服の存在だった。

まだあるのか……!