軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

177 最終話 そして最高のハッピーエンドを

どうしているのが正しいんですの?

アセリアは、自分の手と隣を歩くハルムを見比べた。

……もう、恋人なのですから、恋人らしく歩くのがいいですわよね。

なんて思うのだけれど、どうするとそれが自然なのかわからずにいた。

『腕を絡ませる』なんていう表現が本には出てきたけれど、絡ませる、というのはどういう意味ですの?例えば、手を合わせた状態から、お互いにぐるぐると腕を回しながら近付けば、腕が絡むのではないですかしら。けれど、それが恋人らしいかと言われれば違う気がしますわね。

悩んでいると、隣から腕が伸びてきた。

「掴まって」

「…………」

目の前の腕を凝視する。

「あっ」

その瞬間理解した。

ハルムの腕に両手で掴まる。

確かに、これならば一緒にいる感じがして丁度いい気がする。

いえ、けどそれにしては……、どこもかしこもくっつき過ぎではありませんの?

このまま人前に出るのかと思うと、そういうわけにもいかず、アセリアはすかさず両手を離す。

「ま、まだ早いみたいですわ」

そう言うと、頭の少し上から、ハルムの笑い声が聞こえた。

村は、まだお祭りムードだった。

円形の舞台を囲み、まだ酒を飲みながら騒いでいる人たちが大勢いる。

片付ける気持ちで来たけれど、まだそういう雰囲気でもなさそうだ。

とはいえ、こうのんびりしていては、次の夜が来てしまう。

少しでもすっきりする様に、と辺りを見渡す。

さすがに舞台はもう使ってはおらず、舞台の上には空っぽの酒の樽が3つばかり置いてあった。

「あの辺りから片付けてしまいましょう」

「ああ」

二人で舞台の上に上がる。

「よくこんなに飲みましたわね」

くすくすと笑う。

「ほら、アセリア、持てるか?」

楽しんでいると、ハルムに声をかけられた。

その瞬間だった。

ものすごく、視線を感じた。

じっとみられている感覚を辿っていくと、それは、二人を手伝おうと舞台の上に上がってきていたウィンリーだった。

「もっ……、もしかして二人……!つ、付き合ってるの!?」

その大きな声に反応して、周りで飲んでいた人々がこちらを向く。

ウィンリーったら、こんな公衆の面前で何言ってますの!?

寄りにもよって、三人とも舞台の上だ。

ハルムが広場を見渡し、諦めた様に、

「そうだよ」

と認めた。

アセリアは、つま先から頭の先まで、熱が上がっていくのを感じた。

周りから歓声が上がる。

「わー!」

「まだ結婚してなかったのかよ!!」

「きゃーーー!!」

「アセリアちゃーーーん!!」

まさかこんなことになるとは。

けれどハルムったら、認めましたわね。わたくしたちが恋人同士だと。これほど大勢の人の前で。

ハルムがそのままいつもの調子で空の樽を片付けにかかろうとしたので、アセリアはそのハルムのシャツの袖を指先で引っ張った。

視線が合う。

「ハルム、大好きですわ」

ハルムの顔が驚きの表情のまま、みるみる赤くなっていく。それはもう、面白いほどに。

「きゃーーーーーー!!」

「アセリアちゃん素敵ーーー!!」

「ハルムー!よかったなぁ!」

「このまま結婚式かー!!」

また、周りで歓声が上がる。

青い空の下で、二人は照れた顔で笑いあった。