軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第31話 新たな出発。

僕の16歳のお誕生会が、なぜこんなにもめんどくさいのかというと、成人年齢とみなされて、正式に婚姻できる年齢になるからだ。僕にはまだ正式な婚約者すらいないので、国内外の未婚のご令嬢方がお祝いに押し寄せることになっているらしい。

僕が18歳になり次第、王位を継承させるとおばあ様が言い出したので…僕は後二年間で、母と父の問題を解決させて、ブリア国内外の問題も排除したい。いまだに国内外に強い影響力を持つおばあ様が現役でいて下さるうちに。

今まで、内内の集まりにしか出ていなかった僕を、一目見ようと思っている人もいるだろう。なにせ、ここ3年…父がアヘンを盛られてから、外に出ていない。

東宮の3階には、本当に一握りの人間しか入れないようにしてあるし。勝手に…王太子は体が弱いらしい、だの、寝たきりらしい、だのと言う噂まであったのは知っている。

こんな日でも、母も父も塔から出ては来なかった。

僕はおばあ様と並んで座って、訪問客の挨拶を受ける。

もちろんその中には、フルール国のイザベル王女もいる。今日の彼女のドレスは緑色で、会場がざわついている。僕との先日の噂が広がっているんだろう。

「王太子殿下、お誕生日おめでとうございます」

「ありがとうございます。」

何度も同じ挨拶を繰り返して、僕はにっこりと笑う。

僕はおばあ様の手を取って、一曲踊った。

次にセンターに出たのは…イザベル王女の手を取ったラルフ。

ラルフが幼いころから茶色に染め続けていた髪は、元の銀色に戻っている。銀色の髪に緑の瞳。随分と血が濃いのだろう、ブリアの王家の者はこの色が出る。

ラルフがイザベル王女と優雅に踊っている。

ざわついていた会場が、その美しさに静まり返る。

ちらりと隣に座るおばあ様を見ると、まあ、まんざらでもないお顔をされている。

微妙な立場のラルフを手元に置いて、この方はそれでも大事に守ってこられた。

この先の確証は何一つないが、<王弟>としてラルフを送り出せることに安堵なさっている、そんなお顔だ。

踊り終わった二人が手を取ったまま、おばあ様と僕に挨拶に来る。

すっと椅子を立ったおばあ様が、

「この度、王弟であるラルフが、フルール国王女イザベラ殿下の求婚を受け入れ、婚約することになった」

そう宣言し、玉印の押された許可書をかざして見せた。驚きのざわめきと共に満場の拍手が巻き起こる。

ラルフが王弟殿下であることは、公然の秘密であり、王太后陛下自らそれを口にされたことも驚きではあっただろう。

次の曲が始まり、ラルフとイザベルはまた踊るようだ。

思いのほか…似合っているような気がしてエリーアスは二人を眺める。

*****

ラルフさんとイザベル様がフルールに向かって出発されたのは、殿下のお誕生会の4日後だった。

何台もの馬車に、お土産品が積み込まれ、その中には綺麗な大きな箱に入れられたシャンタルもいた。軍で防腐措置をとったようだが、ちょうど寒い時期なのでそんなには腐敗は進まないだろう。1週間もあれば、フルールの王城まで着くらしい。

東部マテーウス卿のところに寄っていく予定なので、卿もお喜びになるだろう。

…まあ、もちろん、手放しで喜べるような話ではないが…

モニカはそんなことを思いながら、出発していく一団を、敬礼で見送る。

殿下に付き添って執務室に戻ると、イルマさんがお茶を出してくれた。

ラルフさんの席が空くので、代わりに私がお借りすることになった。

席について、お茶を頂く。

珍しくイルマさんもソファーに座って、殿下とお茶を飲んでいる。

「行っちゃいましたね?」

「ああ。」

「うまくいくといいですね…」

「そうだな」

「…大丈夫だと思いますよ…」

と、モニカがつぶやく。

「この国は…エリーアス殿下は、竜の加護を頂けましたので。」