軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

47 噂

冬イベント、もとい冬期休暇の時期を越え、新年を迎える。

ちなみに暦は前世と同じく12ヶ月式で、私たちの国の年度の移り変わりも日本と似たようなものだ。

というワケで、いよいよ断罪パーティーまで三ヶ月を切った。

国王や宰相には企画書を提出しているので、特別に彼らに対して私がすることはない。

ここまできてもアレクシス殿下たちは自分たちの現状を理解していないらしい。

「凄いわねぇ。気付かないって。やっぱり周りの空気が良いからかしら」

「それは大きいと思います」

彼らの周囲は、ヘレンさんとの関係を祝福している。

正確に言うと祝福されているのはヘレンさんとの関係ではないのだが。

元々、彼らは注目を浴びる側の人間だ。

なので少々、周りに自分たちの噂話をされている程度では気にもしない。

もし、彼らの耳に言葉が届くことがあるとすれば、それはヘレンさんか私の名が出た時だけだろう。

ヒロインと悪役令嬢の名前が出た時だけ急に耳が良くなる攻略対象。あるある。

彼らはどうやら最後まであのまま突っ走るようだ。

逆ハーレムルートを諦めていないヘレンさんは、あの三人を連れ回しつつ、攻略完了出来ないメンバーにアプローチを繰り返している。

そんなヘレンさんの行動を見ても、女性陣は特に悪感情を抱いていない。

『勘違いしちゃった哀れな下位貴族令嬢』。そのように見ていて、またシルヴァン様たちも彼女を相手にしないものだから、それは余計に哀れみを誘う姿となる。

実は逆ハーレムルートが完璧になっていた場合は、流石にヘレンさんが女性陣に嫉妬されていたかもしれないわ。

いくら何でも高位貴族令息で美形な彼らが揃い踏みし過ぎだと。

でも、現実は誰も彼もがヘレンさんに侍るなんてことはなかった。

むしろ『そういう趣味』ではない男性たちには相手にもされないことでヘレンさんに向くヘイトが軽減されている。

『やっぱりあの方、そうではない男性には構ってもいただけないのね』と。

あとは、実は噂の主流はともかく、彼らに関する噂には別種のものがある。

『実はロッツォさんは本当にヘレンさんが好きで、彼女をあのグループから救おうとしている』なんて噂だ。

でも、ヒロイックな脚色の後に続く噂は『でも、あの環境から彼女を救い出せない。目を覚まさないヘレンさんの近くに居続けるために、自らの身体を差し出すロッツォ様』だ。

どちらかというと、アレクシス殿下やルドルフ様に弱みを握られ、強引に言い寄られる健気なロッツォさんという構図になっている。

「ドロドロの関係ねぇ」

「誰のせいだと……」

それはもちろんヘレンさんのせいでは?

ロッツォさんの気持ちに気付かず、盲目にアレクシス殿下たちに気持ちを向けるヘレンさん。

そんなヘレンさんのそばに居るために身体を売るロッツォさん。

彼を強引に自分のものにすることに罪悪感を抱くアレクシス殿下……。

肌を重ねる内にだんだんと殿下に心惹かれていってしまうロッツォさん。

そこにルドルフ様まで関わってきて!?

上手くいかないすれ違い、愛と切なさの募る関係ね!

つまり、ヘレンさんがロッツォさんの気持ちに気付かないことが悪いポイントである。

「はぁ……」

「深い溜息ねぇ、弟子1号」

幸せを逃すわよ?