軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

36 セドリック・バロウ

「分かりました。では、検証を続けつつ、王家の名誉も考えた結末にするということで」

「……婚約はどうする?」

「そこまで問題でしたら出来る限り様子を見つつ、年度末パーティーの前に解消でしょうか。ちなみに陛下たちは年度末に同時に国を離れる予定などおありですか? 宰相閣下もです」

「特にないが……」

「ありませんな」

あるあるパターンとしては断罪パーティーの時に大人の責任者がオール不在とかね。

そのせいでアレクシス殿下の暴走を誰も止められず、悪役令嬢は一方的に断罪されるパターン。

この状況なら一番避けたいところ。

「可能であれば、年度末パーティー頃に王都を離れる場合は伝達いただけますと幸いです。その場合は念のため、私はパーティーに出ないか、陛下たちに付いて一緒に国を出ますので」

とはいえ、あるあるパターン読みはあまり当てにならない。

以前のドレスの件とか予想外の方向から来たからね。

ゲームイベントでもないのよ、あれ。

「分かった。その時は公爵家に伝わるようにしよう」

「ありがとう存じます、陛下。あとは……」

私はセドリック皇子に視線を向ける。

「セドリック・バロウ皇子、改めてご挨拶した方がよいですか」

「いや、必要ないよ、オードファラン公女」

「ありがとうございます。皇子はどこまで聞いていますか?」

彼の手元には報告書らしき紙束が置かれている。

何かしら知った上でここに居るのだろう。

「……んー、だいたい全部かな」

ここ数ヶ月のアレクシス殿下周りの噂についてと彼らの行動。

それらが或いは予言通りかもしれない、と、そこまでの報告を受けているらしい。

予言については眉唾としても、とにかく彼も巻き込まれるかもしれないという話を聞いたようだ。

気を配っていないと国際問題になるからね。

「最初は何を言っているのかと思ったけどね」

「そうでしょうね。皇子はヘレンさんのことをどう感じました?」

「うーん、可愛くはあるよね」

「将来の妻にしたくなりました?」

「まぁ、候補の一人には……」

なったんだ。

セドリック皇子って面食いキャラだっけ?

でも、攻略期間が最短で落ちるキャラだし、物凄くチョロいのかもしれないわ。

「ちなみに彼女の周りに居ると漏れなく『薔薇の会』に入会することになります」

「薔薇の会?」

あら? そうか、『薔薇』という隠喩言葉は、流石に隣国に浸透していないのか。

あれは、この世界において我が国発祥の言葉なのだ。

「最近、私たちの国で流行っている演劇、小説などの題目の総称ですね」

「どういう意味……いや、待った。男色家のことをそう言っているのか?」

「ふふ、理解が早くて助かります。ちなみにこの国を揺るがす一大ムーブメントは私がスタートさせました」

そして、今は一人歩きしている。

演劇・小説の他に流行をつくってもいいかな、と思っているところ。

「私はそれに巻き込まれました」

「まぁ、弟子1号。貴方の自業自得とは思わないの?」

「……弁えてはおりますよ、お嬢様」

「ならばよろしい」

フィリップ様も段々と慣れてきた気配がある。

かつての自身を客観視も出来ているし、見所が出てきたわね。

「ところでオードファラン公女?」

「何でしょう」

「君はアレクシス王子との婚約解消を拒んでいると聞いたが、先程の言葉通りなら、それはもういいのかな?」

「拒んでいるといいますか、或いはアレクシス殿下にもまだ挽回のチャンスがあるかもと考えたのです。実際、フィリップ様は問題を自覚されてから態度を改めましたし」

「そうか。しかし、これから、あの彼が目を覚ますとは思えない。あの態度の彼は、いくら落ち目になったところを救われたとしても君の思う通りになるとは考えない方がいいだろう。むしろ、害になると思う。彼のご両親の前で言うのは申し訳ないけどね」

フィリップ様とどこで差が付いたのか、慢心・環境の違い。

「まぁ、今のままの殿下ならそのようですわね」

「ああ、そうなると流石に君も婚約を解消するしかないだろう」

言いなりの労働力ゲットならずね。

「そうなると君は、婚約者が居ない自由の身となるだろう」

「ええ」

「もし、良ければそうなった場合の、君の次の婚約者候補に名乗りを挙げても構わないかな?」

隠しキャラことセドリック・バロウ皇子はそんなことを言い出した。

これは、悪役令嬢あるある。

メインヒーローが攻略されている裏で隠しキャラとゴールイン。

ヒロインちゃんは『私の本命は彼だったのにぃ! ムキー!』パターンね!