軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

直属の独立遊撃部隊

「皆、修練中に集まってもらってごめんね」

牢宮内【ダンジョン】に建てられた屋敷内の大きな会議室。

僕は部屋に備え付けられた黒板の前に立ち、座席に座っているオヴェリア、カルアをはじめとする皆を見渡した。

僕の側には父上をはじめ、カーティス、カペラ、ティンク、ファラ、アスナ、ジェシカという面々も立ち並んでいる。

「リッド様はともかく、ここにライナー様までいるなんてな。おい、ミア。一体、なんの話だと思う?」

「さぁ? 俺が知るわけねぇだろ」

「貴女達、こういう場で私語は厳禁でしょ。口を慎みなさい」

兎人族のオヴェリアからの問いかけに猫人族のミアが肩を竦め、狼人族のシェリルが注意する。この三人はいつもこんな感じで、意外と仲がいいんだよね。

「はいはい、わかりましたよ。でも、皆も気になってそわそわしているみたいだぜ」

オヴェリアはおどけて答えつつ、室内をぐるりと見やった。

この場にいる皆には高負荷修練を中断し、急遽集まってもらっている。

彼女の言うとおり、何事かと気になっているようだ。

僕は咳払いをし、手を叩いて耳目を集めた。

「実はね、僕直属の独立遊撃部隊の名前が決まったんだ」

そう告げると皆の顔が一瞬固まるも、すぐに「おぉ⁉」と色めき立った。

「へへ、部隊名が決定したってことは、あたし達は正式にリッド様直属ってわけだな。腕が鳴るぜ」

「あんまり張り切るなよ、オヴェリア。部隊で真っ先に活躍するのは俺だからな」

オヴェリアが右手を拳にし、自らの左の掌を叩いて威勢の良い音を鳴らすも、すかさずミアが首を横に振った。

「はは、寝言は寝て言えって。そんな言葉、最近習ったばかりだろ」

「なんだって……?」

「二人とも、口を慎みなさいと言ったばかりでしょ」

シェリルはため息を吐き、睨み合う二人を宥めつつ「それから……」と続けた。

「一番活躍するのは二人じゃないわ。リッド様に心から一番の忠誠を誓っているこの私に決まっているじゃない」

「はぁ⁉」

「んだと⁉」

「なによ、本当のことを言っただけでしょ」

オヴェリアとミアに睨まれても、シェリルは全く引かずに睨み返している。

そんな三人の後ろの席では、鳥人族のアリア、エリア、シリアが目をきらきらさせていた。

「正式にお兄ちゃんの直属部隊かぁ。これでもっとお兄ちゃんの側にいられるかな」

「……うん、それは間違いない。直属ということは私達の上司はリッド兄様になる」

「はい、些細なことでも『報告』という口実で会いにいけますよ」

アリア、エリア、シリアの三人は楽しそうにしているけど、些細なことでの報告で会いに来られるのはちょっと困るかも。

会いに来てくれる分は嬉しいけどね。

三人が語らう席の横では、狐人族のラガードが頭の後ろで手を組み感慨深そうにしている。

「俺達がリッド様の直属、か。はは、鉢巻戦でぶつかった時には考えられなかったな。ノワールも、そう思うだろ?」

「そうね。あの時と比べて私達は強くなったわ。でも、リッド様の直属ならもっと強くならないといけないでしょうね。頑張りましょう、ラガード」

狐人族のノワールはそう言って、彼に微笑み掛けた。

「あぁ、任せとけ。ノワールのた……じゃなくてリッド様のためにも俺はもっと強くなるぜ」

「ふふ、頼もしいわ、ラガード」

彼女に笑顔を向けられ、俄然意気込むラガード。

彼はノワールのことが好きだから、僕が二の次なのはしょうがないだろう。

熱々な二人の後ろ席には、牛人族のトルーバとベルカランがいる。

「これで僕達は、正式なリッド様の直属部隊所属になるのか。ベル、君は今からでも辞退してくれて良いんだよ」

「いいえ、私の意思は変わりませんよぉ。バルディアに来た時からぁ……いえ、故郷に捨てられた時からトルーバと一緒に生きると決めてますからねぇ。むしろ、望むところですよぉ」

「そっか、そうだね。じゃあ、僕から言うことは何もないよ。一緒に頑張ろう」

「はい、頑張りますぅ」

トルーバとベルカランは目を合わせ、こくりと頷いた。

ラガードとノワールに負けず劣らず、二人も熱々だ。

ベルカランが牛人族領から追いやられる際、トルーバは彼女を救うべく奮闘したと聞いている。

以降、二人は特別な想いで結ばれているそうだ。

ただ、ベルカランのことになるとトルーバの目が据わることがあって、怖いけどね。

「……俺がリッド様の直属に選ばれたということは、やはりあの獣化の形態変化を求めてのことだろうな」

腕を組み、思案顔でこちらを見ている馬人族のゲディングだ。

すると、彼の呟きに「そうでしょうね」と隣にいた馬人族のアリスが相槌を打った。

「多分、私もそうだと思う。貴方がリッド様、私がファラ様かしら。どちらにしても、主を背中に乗せるなんて責任重大ね」

「あぁ。だが、胸が躍るよ」

アリスの言葉に、ゲディングはにやりと笑った。

獣化の形態変化。

馬人族領を訪れた際、部族長アステカからゲディングが教わった魔法だ。

自らの姿を馬に変えて凄まじい力を発揮できるだけでなく、人を乗せて自由自在に動き回れる。

獣化の新たな段階だ。

アリスもゲディングから教わって、獣化の形態変化を会得している。

なお、形態変化した際、ゲディングは黒馬、アリスは白馬だ。

「あ~あ、皆はしゃいじゃってるよ。直属の独立遊撃部隊って、どんなものかわかっているのかねぇ」

「わかってないでしょ」

「リッド様って意外と人が悪いとこあるんだよねぇ。まぁ、そういうところも仕えがいあって良いんだけどね」

室内が色めき立っているなか、淡々とした表情で部屋を見渡している子達がいた。

狸人族の三つ子の三兄弟、ダン、ザブ、ロウの三人だ。